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泣いた悪猿39

「はは……兄弟、人間がどんなものを好んで、どんなものを良いと思うか、覚えておくと色々と役に立つもんだぜ……」

永山の言い訳がましい言葉に、コウタの表情は疑惑の色を隠さない。永山は思い知った。いつの間にか、後戻りが困難なほどに人間の考えに染められてしまっていたことに。

「……わかった、もういい。やる気のねえヤツを無理に誘ったって意味がねえ。オレの知ってた永山藤次郎は、知らねえうちに野垂れ死んでたってことだ……」

コウタは席を立った。去る背中はどこか寂しそうだった。永山はどう声をかけて良いやらわからなかった。


「……そうだ、ニセ永山よ。用心しとけ。てめえ、つけ狙われてるぞ」

多分、最後の忠告のつもりなのだろう。コウタが背を向けたまま、立ち止まった。

「オレらの同類だが、どことなく胡散臭え野郎が、てめえを名指しで探してたぜ。オレは最近来たモンだから知らねえって、トボケてやったがな。気をつけろ」

永山の口内から水気が消えた。砂漠で何日もさ迷ったかのように、口がカラカラになった。あのロングコートの死神が脳裏にチラらついたのだ。


「そいつ……デカい奴か?」

永山は渇ききった口を開いて質問した。

「いや、むしろチビだったが?」

そう聞いた途端に、口の中に水分が溢れ出した。実際には常態に戻っただけなのだが、永山は唾が口から溢れそうにすら感じた。

忠告を土産に残し、コウタは去った。なんのかんので、最後まで親友と変わらぬ態度でいてくれた昔ながらの仲間に感謝した。



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