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泣いた悪猿38

「……てめえ永山、なにトチ狂ったこと口走ってんだ?」

コウタのこの反応も予想できたはずのことだった。

「現実的にだぁ?何だその人間みてえな言い草はよ?てめえ、本当に永山か?なんだっけかあの……ミカドだっけか?ミカドあたりのスパイが化けてんじゃねえだろうな?」

永山の言ったことは、実にマシラらしくないことだった。先のことを考えて行動を決めるなど、彼らの思考回路から外れていた。

「だいたいよ、何だこの娑婆くせえ店は?てめえ永山、いつからこんな、苦い汁を出すだけの店に仲間を誘うようになりやがった?」

コウタの苦言を理解するのに、永山は数秒を要した。このカフェはユウコのお気に入りの店の一つで、きっとコウタも嫌いにはならないと思ったのに。


永山は思い知った。永山は知らず知らずのうちに、彼自身が認識していた以上に人間に近付いていたのだ。

初めは、たかが女一人を騙くらかすために始めた演技だった。非人間的な言動を連発する永山を見て嘆く彼女を見ることが知らず知らずのうちに苦痛に感じてきたので、彼女の望む行動パターンを記憶していった。理解するのではなく、機械的に暗記するようになっていった。

以前より上手く人間らしい演技が出来たときのユウコの笑顔がいつから御褒美に化けたのか、永山本人も覚えていない。

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