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泣いた悪猿32

家に帰り、体の大きな永山を背もたれ椅子にして小柄なユウコは借りたDVDを鑑賞しはじめた。内容はなんということのない凡庸なメロドラマだった。一分と持たずに飽きた永山は退屈になって後ろからユウコのシャツに手を入れ腹を弄った。

「トウジ君、お預け!映画見たことないとか、天然記念物過ぎなんだから。面白いんだから、ちゃんと観なさい!」

手の甲の毛を引っ張られた永山は、ユウコのシャツに手を突っ込んだままにすることだけは譲らず、仕方なしに映画鑑賞してみることにした。見も知らない男女がチチクリ合ったり喧嘩したりするだけのストーリーに、永山は何ら面白い点を見出すことはできなかった。やがて映画を楽しむのではなく、人間どもがどういう思考で映画鑑賞なるものを娯楽とするのか考察することに集中した。


ユウコには架空のカップルの遣り取りを見るのが随分と楽しいらしく、永山の手が時間をかけて徐々に下がっているのも気付かない。映画が終わるまでパンツに手を突っ込むのを我慢できるものか心配し始めた。

おそらくユウコは架空のカップルと、現実の永山とユウコを重ね合わせているものと推測できた。しかしながら架空カップルの男は随分と弱気で、女に想いを伝えるまでの下りで三十分を費やすほど。さっさと押し倒してしまえばいいのに、としか思わない永山には、共感しうる点が見つからない。

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