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泣いた悪猿31

たぶん、ユウコがいなかったら永山の生は鬱屈の一言に尽きただろう。不満とやり場のない憤り、それだけしかなかっただろう。いずれ、あの死神のような刺客に倒されるのを待つのみだったろう。そして、彼を滅する人間に発する言葉は怨みつらみでも命乞いでもなく、感謝であったろう。永山の最期を、邪鬼として格好のつく形にしてくれるのだから。



冬も終わりに近づいたある日のこと

永山はユウコに連れられ、レンタルショップでDVDを借りた。永山はこの手の店に入ったことがなかった。何のための店だわからなかった。七泊で三百円などと書かれていたので、そんな値段で商売になる宿屋があるものかと首を傾げていた。きっとせせこましいスペースに乞食のような連中が詰め込まれひさしを借りるのだろう、そんな所に寝泊まりするくらいなら野垂れ死んだ方がマシだと勝手に想像していたくらいだ。

映像コンテンツを金を出してまで借りるという発想が、永山にはすこぶる奇妙に思えた。人間のやることはつくづくわけがわからないと改めて感じた。楽しそうにDVDを選ぶユウコが不思議で堪らなかった。


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