表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/88

泣いた悪猿⑱

「そんなの、わかんねえよ。オレにだってわかんねえよ。でも、ユウコは待ってくれんだよ。何でかわかんねえけど、待ってんだよ。オレにだってどうしてなのか、わかんねえよ……」

永山は情けないくらいに涙を散らした。後悔や懺悔という概念を持つほどに、このマシラは賢くなかった。子供など食わなければこんなことにならなかったとは、発想すらなかった。ただ死の恐怖と、正体のわからない悲しみが永山の脳内を支配していた。

「……この、エテ公めがっ」

死神は悪態をつきながら永山の腹をもう一度蹴飛ばした。そして、しばらくの間が空いた。ああ、またあの刃物を袖口から取り出しているのだろうな、と永山は思った。最後にあと一度だけでいいからユウコの唐揚げを食べたかったと、そんなことが頭を過ぎった。

観念して目をつぶった永山だったが、最期の一撃は待てど来ない。不審に思い目を開けると、死神はトドメを差す用意をするどころか、背中を向けてこの場から去ろうとするところだった。

「……どうしてだ?」

永山は呻くように言葉を発した。

「どうして、オレにトドメを刺さない?オレは、一度は貴様を殺した一味なんだろ?オレは確かに高谷山で首俵さんと組んでた。お前はあんときの小僧なんだろ?どうやって生き延びたのか全然わからねえけど、それはもうどうでもいい。オレにトドメを刺さないのはどうしてだ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ