表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/88

泣いた悪猿⑪

マシラたちの常識からすれば人間を一年以上も断つというのは、苦行とも言えることだ。目の前にゴロゴロいる食料を、わざわざ無視することなのだから。永山の知る百匹を越える仲間内でも、そんなことをしているのは“飛騨派”と呼ばれる親人間派閥に属するものの、その中でも特に極端な思想を持つほんの十匹ほどなのだ。それほど罪の浅いものでも、お目こぼしいただけないというのだろうか?こいつはマシラの眷族を壊滅させたいらしい。

だがしかし、永山の言う理屈はあくまでマシラたちの常識を前提としていた。永山も人間に混じって生きている身だからわかることだが、人間からすればたかが一年の間だけ人を殺していないから無罪同然を主張するなど、話にもならないレベルなのだろうことは汲み取れた。

交渉は決裂してしまった。永山が持つ切り札は、ついに彼の命を繋ぐのには役立たなかったようだ。

「……すまねえ、ユウコ……オレ、ここまでみたいだ……」

永山は愛する女性の名を呟いて、辞世の言葉としようとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ