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彼と彼女と復讐者

泣かなかった彼女

 彼女はとても強い人だった。

 だから私は、何故彼女が決して泣かないのかなんて、考えたこともなかったのだ。彼女は強い。だから泣かない。理由なんてそれだけで充分だと思っていた。


 だからこそ、気付かなかった。彼女は泣かないのではない、泣くことができないのだということに。彼女はどれほど悲しくても泣きたいと思っても、決して涙を流すことができなかったのだ。


 彼女はとても強い人だった。けれど同時に、とても脆い人でもあったのだ。

 あの頃の私は、愚か過ぎて。そのことに、気付こうともしなかった――――――――。


 彼女は勇者として召喚された存在だった。家族も友人もいないこの世界で、ただ強く戦っていた。いつだってやさしく笑っていた。だから誰一人気付かなかった。彼女の心が少しずつ疲弊し、壊れていったことに。



 ――――――――彼女が壊れ始めたのは、いつだったのだろう。


 元の世界に帰る術がないと、知ってしまったときだろうか。


 彼女とともに召喚された彼が、人間に殺されてしまったときだろうか。


 それでも私は、彼女に幸せになってほしかった。もう一度笑ってほしかった。その為なら、何だってできると思っていた。

 

 

 けれど。彼女は、もう、 


 

  

 いない。

 


 

 だから。

 



 さあ、はじめよう。彼女の願いはただひとつ。この世界に、復讐を。

 誤字・脱字等ありましたらご報告いただけると幸いです。


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― 新着の感想 ―
[一言] 彼女の苦しみを気付けなかった無念さがよく出ていて、冒頭からその想いがしみじみと伝わってきました。 惜しむらくは世界に復讐する動機が描かれていなかった点かな、と思います。彼女が死んだ責任が世界…
2011/04/03 20:47 退会済み
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