5.家
俺は家で電気もつけず部屋にこもっていた。
あの後結局会長がフォローして誤解は解けたが、今度から生徒会メンバーに目をつけられたことだろう。
(無罪なのに!)
「はぁ」
なんだろう、本気で疲れたな。
「ん?」
俺のポケットに紙が入っていた。
電気をつけて紙をみると可愛いキャラクターの絵がついたメモ紙で、可愛い絵に比べて硬い、パソコンで打ったような文字で、メールアドレスが書いていた。
「……会長か?」
無視しようと思ってぐしゃっと潰し、投げ捨てようとした。
が
「……なんだと、手にくっついているだと」
あの女は超能力者か
「なんだ、水糊か……最悪だな」
手がべたべただ。わざわざ水糊使いやがって。俺のポケットもべたべただ。なんか埃固まってるし。何の嫌がらせだ。
あぁ、あれか?メールしないと意地悪するってことか?畜生なおムカつくからやらねぇ
「ち、汚い」
部屋から出て、階段をおりると、ちょっとぽっちゃりを通り越した母親が丁度大量の荷物を持って帰ってきた。
「あら、悠ちゃん丁度良かったわ」
悠ちゃん、バッドタイミングだわ。
「荷物運んでくれないかしら」
逆らうと五月蝿いので黙って従うと、姉がソファーに座ってファッション雑誌を見ていた。その横で妹がテレビを支配していた。
父は、床に座ってお茶を飲んでいた。
哀れ。
「おぉ、お帰り」
親父は俺を見ていった。
「あ、お母さんお帰り。あれ?悠あんた一緒に買い物行ってたの?」
「上から降りてきたんだよ紀子」
「呼び捨てにすんな姉を」
ファッション雑誌を投げつけられるが俺はサッと避ける。
女って野蛮だな。
「あんた、手どうしたの」
片手の事を言っているんだろう。荷物運びなど言うはずないわな
「性格の悪い女子にノリのついたゴミをポケットに入れられてた」
「あら汚い」
母はそういうと俺から荷物を奪った。
「手を洗いなさい」
言われずとも洗うさ。
洗うがのりのべたべたはのかない。
「ノリ子と一緒でノリはうっとおしいな」
「後で殺す」
マネキュアぬり始めたのを確認してから喧嘩売ったが、今後悔した。
本当にしつこいんだった。
「紀子姉、見てみてテレビ」
中学生の妹の恵理は歳の近い俺より、女同士のほうが仲がいい。
……たまに俺にわけの分からないことを聞いてくること以外は、俺的には可愛い妹だと思う。
「悠兄」
妹が指差した。
テレビにはいま流行の女アイドルグループがバラエティ番組で水着になって惜しげもなく肌を露出している。
「ドレが好み?」
「どれもイマイチ」
てか顔どれも同じに見える。
「じゃあさ」
嬉しそうにチャンネルとると刑事系のドラマに変えた。
渋いおじ様や若い俳優が見える。
「どれが好み」
頬を染めながら俺に聞くな。
「………………どれも好みじゃない」
というか何故俺が男に興味持たなきゃいけないんだ。むしろ選んで何の意味があるというんだ。なんで頬を赤らめながら俺を見つめるんだ。妹よ、頭は正気か?
「あんたさ」
姉が俺を見た。
「彼女居ないの?つまんないわよ」
「紀子だって彼氏いないじゃないか」
「ふ、最近できました」
「相手可哀想」
「なんでよ!!」
姉がそういって立ち上がるのと逃亡するのはほぼ同時だった。
家はにぎやか過ぎる!!