4.逆
「小学生の企画が嘘なら嘘でいいっす」
メンドクサイし。正直協力するつもりもなかった。
「俺が聞きたいのはなんで俺が会長に苛められてるかってことですよ、ちゃんと今日挨拶したでしょ」
ガン!っと真横にあった椅子を蹴られる。
怖いんですけど、どこのヤンキーですか!
「はぁ?」
本当になんなんだ!?
「分かってないわね、私は一度ターゲットを見つけたら逃がさない主義なの」
「横暴なんですね、分かります」
首を掴まれる。
「いいじゃない?アナタ自殺志願者でしょ?自分で自殺する前に私の玩具になってよ」
「言い方やらしいわりに殺気がおそろしいっす……ぐへ!?」
首を強く絞められた。
「ねぇ、本当に死にたい?」
「ころ……そうとしてんの……ごほ!おま……」
酸素が逃げていくような感覚に陥る。
っていうか会長ちゃっかり手跡残らないように布用意して首と手の間に敷いてで絞めるとか、どんだけ計画的犯行なんだ。
「……ちょっと聞いてみようかな」
会長が手を離した。
俺は咳き込みながら起き上がった。こんどは会長が机に座った。
「話してごらんよ?死にたい理由。聞いたら私酷いことするの止めてあげるかもだよ」
かも、かよ。
「アンタには関係ないはなしっす」
「話してっていってんの」
足を組みながら強気な体制。
俺はちょっとイラっとした。
「じゃあ会長が先に話してくださいよ」
「何を?」
「どうして俺が嫌いなのか」
「前に話したじゃない」
「あんなんで納得できません」
よくよく考えてみれば、挨拶してないの俺だけじゃないしな。俺だけ殺意もたれるってのもおかしな話だし、あの時屋上がたまたま開いていて、会長がたまたま居たというのもどうかと今更思う。
実は仕組まれていたんじゃないのだろうか。
「なんて」
「教えてあげない」
そういって会長はツンっとそっぽを向いた。
お前はどっかの似非ツンデレか。
「俺警察にでも教師にでも訴えますよ」
「ドウゾ?」
自信満々な顔で俺を見た。
「一時期やんちゃをやってた君と、真面目一筋な私、信用してもらえるのはどっちかしらね」
「ただし、俺がテープレコードもっていたら状況は反転しますよね」
んなもん普通にもってないけどな。
「ふっそれで私を脅迫したいの?」
「脅迫してるのはそっちだろうがっていいたいけど言っても無駄そうだから言わない」
「思いっきり口から出てるから」
あれ?
「俺だってあんなふうに殺されそうになったら次もあるんじゃないだろうかって、警戒しますよ」
してなかったけどな。挨拶したらもうないだろうとか純粋に思ってたけどな。
会長は考えるようなしぐさで何かを思案していた。
「テープレコーダーは誰にも渡したりしません、のでこういうことはコレっきりにしてください」
それじゃあと帰ろうと鍵をかけたら泣声が聞こえた。
「?」
振り返ると会長が泣いていた。
(え?ちょおっ、え?なんで?俺が泣かしたことになるの?!)
おろおろしながら会長の傍によると、会長は上目遣いで怯えた声で言った。
「やっやめて……」
「は!?」
がっぐん!ごん!!
「っ!?」
会長はかわいらしい涙目で人の足を払い、オレはそのせいで会長を押し倒すような形になった。
「いやぁぁ!許してぇ!」
「自分でしといて許してもくそもないでしょ」
何やってんのあんた
「ごめんなさい、ごめんなさい私が生意気言ったから……御願いもう許して!」
「何いってるのかわかんないんすけど」
ガラララ……
「でさー」
「ははは!あ、会長遅れました……っ」
「……」
生徒会の先輩と目ががっちり合う俺。
「え?」
「オマエェ!!!会長に何してるんだ」
「えぇぇぇぇ!!?」
会長がつんつんと俺の顔をつついた。
「テープレコードっていうのはね、スイッチ入れないと入らないの、君はそんな動作やらなかった。つまり、テープレコードなんてもっていない、持っていたとしてもスイッチを入れていない。でしょ?」
この女!!?
「いいかげん、会長から離れろ!」
会長なんてだいっ嫌いだアァあああああああああああああ!!!!