25.愛
「はぁ」
ぶち、ぶち
「お前等覚えてろよ」
草をむしりながら、傍らで地味に草を掴んだまま堂々と、サボっている友どもを睨む。遠くで彼らはその声を聞いて微笑んで親指を立てた。
「この後遊びに行こうぜ」
「人の話聞けよ、誰が行くかよ」
「そんなに怒るなよ~いいじゃん先生の機嫌とっておけばいいことあるかもじゃねーか。まぁ、ボランティアってやつ?」
「良哉」
葉木が俺に教えてくれている……真実を。
「お前欠点とったろ」
「ぎく」
タオルで顔を隠す良哉。いや、もう自分で言ったようなものだし、そういうキャラじゃねーだろお前
「……お前な」
「いいじゃねーの?俺らダチじゃん、まじダチじゃん?ダチ以外の何者でもねーじゃん」
「意味の分からんこというな!」
俺達は草むしりをお昼まで頑張った。逃げなかった俺偉いと思う。
「悠馬?」
汗を拭いながら俺に声をかけたのは緑だった。
「あ」
なんとなく、気まずい空気が流れる。
緑はそんな俺を察したのか、いつもと同じような屈託の無い空のような笑みを浮かべた。俺はソレをみてふいにもホッとしてしまった。
「めずらしいね、悠馬が奉仕してるなんて」
「こいつのせいだよ」
良哉を指差し、肩をすくめた。
「そうなんだ」
「おうおう、休日に夫婦そろっていちゃつくなよな」
「イチャついてねーし。てか休日に学校来たのだれのせいだよ」
そんなこといったら、緑がうざいだろうっと思い、ちらっと緑を盗み見れば、きょとんとした後、笑った。
「やだぁ、夫婦なんかじゃないってばー」
「あらまぁ謙遜しちゃって」
葉木も悪乗りしてくる。
こいつら二人そろうとめんどくさいな。
「そんなんじゃないもんね、悠馬」
「あぁ」
「ん?あ、呼ばれたからもういくね?」
「おう、がんばれよ」
また再び遠くから緑の名前を呼ぶ部活仲間の女子の声が聞こえた。緑はそれに大きな声で返事すると俺に手を振って走っていった。
何も知らない俺はその背中を見送る。
「悠馬と私が夫婦?ふふ」
緑は口を押さえた。
「そんな関係で終わるわけ無いじゃない」
私と悠馬は、もっともっと深く濃密に素晴しい関係で終わるのよ、夫婦なんて形だけの、それもありきたりの愛で終わるつもりなんて無いわ、それ以上に、いいえ、狂ってしまうぐらいの綺麗で濃厚な愛でお終いするの
「ふふ」
待っててね、悠馬……もう少ししたら、迎えにいくわ