23.酷
学校に行くと、生徒会長が俺を待っていた。
「……」
気まずい面持ちで近づけば、腕を組まれた。
「!」
「悠馬くん!おはよう」
いい笑顔で挨拶。
「お、はようござ、え?ます」
なにこれ怖ぇえ
「あ、ネクタイずれてるよ?はい」
「え?あ、す、すみません」
「どうしたの?顔色悪いわよ?大丈夫?」
むしろそっちこそどうした。大丈夫なのか?主に頭が。
「いや、だいじょ」
「しんどうそうだわ!今すぐ帰りなさい!風邪をこじらせては大変だもの!さぁ、ほら、回れ後ろ!今すぐに、さぁ帰れ!」
「最後本音出てません!?」
なんだこれ新手の嫌がらせ?
「ダーリン、おっはよー」
メンドクサイ女No,1エリス登場。
「わぁ、朝から堂々と浮気するなんていい度胸だなぁ、私の愛がたりなかったのね」
ニコニコしながら言う台詞か!?しかも朝っぱらから何のいじめだ!ほかの奴らだって見てるじゃないか!本当、なんのいじめだ。
「彼は気分が優れないようなの」
「へー、そりゃ大変」
「思ってねぇだろ!」
「そうなのよ、大変なのよね!もう目の前も霞み足元もおぼつかないぐらいで、おなかもゆるゆるでピーなのよね!!」
「最後のイヤ過ぎる!!俺普通に平気だから!」
そんな設定、次の日嫌なほうに弄られるにきまっている。
「駄目よ!帰りなさい!」
俺、いろんな意味で泣きそう。
「あなた、死ぬわよ」
小声で会長は言った。
「え?」
「しょうがないわね、保健室に連れて行ってあげるわ」
しぶしぶ背中を押されて、保健室へと連行されていった。そしてついた保健室で鍵を閉められた。……うわぁ、嫌な思い出が蘇るなぁ
「で、死ぬってなんすか」
「飛鳥の話したでしょ……前に」
「あぁ、はい」
会長はカーテンを閉めながら俺の顔を真剣に見つめた。
「アイツがまた近づいて来たのよ」
「アイツ?」
会長は黙って頷いた。
「アイツは飛鳥に近寄って、飛鳥に一歩前に踏み出すようそそのかした」
「……いいことなんじゃ」
「死の一歩よ!」
「?」
死を望み、自己を否定していた飛鳥、私は必至にその考えを否定し、その脆い手を掴んでいたのに、あいつは何処からも無く現れ、飛鳥の背を押した。
「アイツが、また、現れたの、見たのよあなたの家の近くでアイツが歩くのを」
「だから、アイツってだれっすか」
つか、俺の家知ってたんすか。
「私も知らないけど、あいつは嫌い……気をつけなさい」
会長は俺を指差した。
「アイツは死神よ」
「へー」
エリスが面白いものを見つけた子どもの声を上げた。
「じゃあさ、死神は誰が殺すの?」
俺達はエリスを見た。
「え?そういうことじゃなくって?」
空気嫁。