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18.己

 俺はさっそく三人を呼び出した。エリス以外は驚いた表情を見せたが、断らずにはっきりと来るといった。

 ということで懲りずに屋上へ呼び出したのだが……

 「開いてねぇし」

 俺、乙。

 放課後ぐらい開けとけや馬鹿やろぉぉぉ……

 「君、学習しないわね」

 「会長」

 ポケットから鍵を取り出すと屋上を開放した。

 俺は会長に従って中に入った。いや、出たというべきか。 

 「で?用って?」

 「あ、まだ少しまってもらっていいっすか?」

 「?」

 あと二人来ますだなんていえないよな。ココはそろってから……

 「悠馬~ごめん!遅れたー!」

 緑が走ってきた。そして会長を見て驚いた顔を見せた後、顔を真っ赤にさせて怒った顔で俺を見た。

 「どうゆうこと?」

 会長も俺を睨む。

 「うちも呼ばれたから来たけど、お邪魔だったかなー?」

 エリスがいつの間にかフェンスに座った状態で俺達を見て微笑んだ。本当にいつの間に。

 「よし、そろったな」

 「どういうことなのよ!」

 緑が俺に珍しくも無いけどつっかかってきた。

 「前回は邪魔が入ったから、俺の意思が通じていないと思ったから、俺の意思をはっきり言っておこうと思ってな」

 「ほう」

 会長が腕を組んで俺を見下げた。

 「君の意思がどうであれ、聞かないって言わなかったかしら私?」

 「それでも言いますよ」

 「な、何で私も?私も居たほうがいいってこと?」

 「当たり前だろ」

 じゃなきゃ呼んだ意味ない。

 「で?君が伝えたいことって?」

 エリスが微笑んだ。

 「俺は、俺。あんたらはあんたらだ。つまり、あんたらがどうゆう理由で俺に近づいて俺に茶々入れてくるのかは知らんが、俺は、俺なりに生きているんだ。邪魔するな」

 会長が眉をゆがめた。

 「つまり、うっとおしいって言いたいわけね」

 「むしろウザイッス」

 「ちょ、私も!?」

 緑が俺の目の前に出てきた。

 「私は幼馴染なんだよ!?今までだってずっとこうだったじゃない!それもっ……うざかったっていうの……?」

 「あぁ」

 「っ」

 涙を瞳にため、肩を震わせた緑は、嗚咽を小さくもらし、走って階段を駆け下りていった。

 お前がしていることは、俺にとってただのエゴなんだよ。正直有難迷惑でしかない

 「会長も、俺に構ってる暇ないんじゃんじゃないっすか?アメリカいくんしょ?」

 「そうね……でも君には関係ないわ」

 「じゃあ俺のことも関係ないで済ましてくれますか?」

 「……そう、反抗するって事ね」

 「最初から言ってるっしょ、自殺願望者にこだわるなら俺じゃなくてそこのガールにしてください」

 「うち?」

 エリスが自分を指差した。

 「もしくは、そういう職にでも就いて下さい。俺は会長の相手するのはこりごりなんですよ」

 「……こりごり?何様のつもりよ自分で自分も愛せないような、周りを見下して、自分さえも見下して、あんたみたいなどうしようもない人間が、何を偉そうなことを言ってるの?」

 「それなら会長だって、何様なんですか」

 「人間よ、普通の人間!あんたとは違うのよ」

 「俺だって人間だ!あんたは間違ってる!生にこだわろうが死にこだわろうが人間なんだよ!生死を考えてるのは常に人間だけだ」

 「あんたは生死なんて考えてないわ!」

 「それはあんただってそうだ!」

 「はいはいはい」

 エリスが手を叩いた。

 「双方とも落ち着きません~?」

 彼女はそう言って微笑んだ。  

   

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