14.誤
朝早く1人で起きた。毎日いつも幼なじみか家族に起こされている俺が、自分の意思で起きたなんてこれは凄いことだと自分ながら思う、オレえらい。
「さて」
制服に鞄。準備も済ませ、こっそり家を出る。
「はぁ」
冷たい朝の空気が丁度いい。熱くさせていた俺を冷静にさせた。議論をするには冷静が大事だ。それはいいことだと思う、おかげで思考回路も冷めた。
うん……ぶっちゃけ会長こわい。でも いかないとな
「かっこわりぃー」
屋上に入れない俺は屋上に出る扉の前で座り込んでいた。
「さみぃー」
学校に忍びこむのは簡単なんだよな。旧校舎一階の誰も使ってない男子トイレの窓の鍵は壊れているからさ
忍ぶのは簡単。……簡単なんだけど問題が2つ。
一つ、まず屋上に入れない。
二つ、これが深刻な問題だ
「会長これねぇじゃん!」
いや来るかどうかさえ分かんないけどさ。なんていろいろ悶々としていると誰かが階段を上がってくる音が聞こえた。
まさか……警備のおいちゃん!?
いやいやさすがにこの時間は無いよな。え?じゃあまさか教師!?もっとまずいじゃんっ!とりあえず近くに放置され続けている段ボールの中に隠れる。
うわ 最悪 きたねぇ!くっっせぇー!
コツコツコツコツ。
来た。
ガチャガチャ、ガチャガチャ。なにやら屋上のドアノブを捻る音がした。あ、鍵閉まってます。
「会長?」
と思い、顔だすと
「きゃあぁぁあ!?」
会長ではない少女……と、いうか
「お前!なんでいんだよ」
木村 緑 がそこで尻餅ついていた。さてはこいつ盗み聞きしやがったな
「な、なんでそんなとこいるのよ!!」
「そんなことよりどっか行けよ!!」
「なぁっ!?ひっ、酷いー!そこまで言うことないじゃん」
「お前がいたら邪魔なんだよ」
会長と話せないだろうが似非ツンデレ
「なんの話するの?私がいたら邪魔な話?」
「当たり前だろ」
緑は泣き虫なうえに、話の邪魔しかしない。スムーズに事を運びたいなら勿論いないほうが都合いいに決まってる。
「まさか」
緑は泣きそうな死にそうなよく分からない顔で俺に迫ってきた
「会長に告白するの?」
沈黙が流れる。
こいつ……馬鹿か!?
「んなわけあるか!」
頭を叩くと、とうとうこらえきれないとばかりに泣き出した。
もう本当わけ分かんないけどさ、この状況一応俺が悪いのか?
「なあお前さ」
泣いてる幼なじみにハンカチを与えながら俺は目をそらした。
「どっから学校の中に入った?」
まだ先生来る時間じゃねーし。なによりまさか男子トイレに入ったりしないよな。いやでも緑だしなーありえないわけじゃないしなー
「ぐす、普通に、う、裏門から」
俺が行った時には閉まってたよな。まさか
「先生早くくるタイプの奴いたのか」
コツンコツン……
誰かが階段を上がってくる音が響く。
階段の手すりのわずかな隙間から下を除くが、見えない。
「やべー」
「どうしよう!先生だったら怒られるよ!」
怒られるだけならまだいいが……最悪の場合、反省文もしくは別室行きも先生によっては十分ありうる。
「仕方ない」
「え」
俺は緑を押し倒した。これしかない!!