聖域侵略
実験体の捕獲のためついにNASAが動き出す!
リューヘーが目を覚ました時には3分クッキングの番組が放送されていた。献立は稲荷ずしだった。
テレビの右上のデジタル時刻表記は14時15分と表示されていた。
引きこもりのリューヘーは自室から出ることはないので食事などは親が定時に部屋の前に
置いておくというスタイルだった。
リューヘーは食事が用意される時刻をすでに回っていることを確認し、部屋のドアを開けた。
しかしそこには食事ではなく宇宙服を着た男が立っていた。
リューヘーは無言でドアを閉めた。
「…………」
リューヘーは目尻を擦り、もう一度ドアを開けた。
宇宙服を着た男が3人に増えていた。
リューヘーは無言でドアを閉め鍵をかけた。
「なになに、なんなの!?今日のご飯宇宙服なの!?たべれません!」
リューヘーは半泣きで部屋に仁王立ちしている1/1の俺の嫁の後ろに隠れた。
ふとテレビを見ると自分の家が映っていた。
アナウンサーが家の玄関の前で中継している。
「えー、先ほどNASAが実験体の住居に入りました。」
リューヘーは普段密閉している窓の隙間から外の様子をうかがった。
そしてそこには大勢の報道陣と見物客で溢れ返っていた。それを見て悟った。
「はは、なんだ夢か。びっくりした」
リューヘーは安心してのそのそと布団のなかにもぐりこんだ。
その数秒後すさまじい爆破音と共にドアが吹き飛んだ。
リューヘーは飛び起きた。爆破の影響でドアと共に吹き飛んだ
1/1フィギュアの首がリューヘーの足元にコロコロと転がってきた。
そして宇宙服達が入り込んできた。奴等の一人がその首を拾い上げて言った。
「私達はあなたを迎えにきました。御同行願います。」
「はひぃ、た、たすけて」
リューヘーはチワワの様にプルプル震えていた。
「何も心配はいりません、あなたを旅行にご招待するだけですよ。永遠にね……」
首だけになっても「俺の嫁」は相変わらずにこやかにほほ笑んでいた……。
NASAの方々、宇宙服でくる必要あったの?
意外とお茶目さんなんだな。