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適切な私刑

作者: 小雨川蛙
掲載日:2026/07/25

 この刑が初めて執行された当時は実に批判は多かった。 


 罪は罪。

 罰は罰。

 しかしながら、無実の者を何故裁くのか?

 そう問われれば誰もが閉口する。


 しかし、その反論として口にされる言葉。

 では、罪人を震えがらせるものはなにか。

 罪人が真に後悔する罰とは何か。

 そして、見ている誰もが自分は罪を犯さないと心に決めるような罰は何か?

 まさにこれではないか。

 そう答えられるとやはり閉口する。


 あぁ、今日もまた刑が執行される。

 幼い少女が泣きながらに何事か訴えている。

 しかし、あっさりと首が刎ねられる。

 それを見ていた彼女の姉は泣いた。

 声を上げて泣き続けた。


 あぁ、今日もまた刑が執行される。

 老夫が目を閉じて時を待つ。

 あっさりと首が刎ねられる。

 それを見ていた青年が声を殺して泣いた。

 震えながら。


 そして、今日も今日とて刑が執行される。

 赤子が処刑台のうえで不思議そうに執行人を見つめる。

 執行人が微笑むと赤子もまたつられて笑う。

 そして、あっさり首が飛ぶ。

 見ていた母は失神した。

 残酷にも命は繋がったまま。


 少女の。

 老夫の。

 赤子の。

 無実の者たちの遺体の元に看板がある。


『罪人の最愛たる者であるが故に刑を処す』


 

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