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フロストシャイン2025

フロストシャイン舞踏会前日譚です

 お前達はお姫様になりたいと思ったことがあるだろうか?悪い、いきなり意味がわからないだろう。では言い方を変えよう、お姫様のような服を着たいと思ったことがあるか?憧れなどの様々な理由で着たいと答える奴は多くいるだろう。煌びやかな装飾、フリフリのフリルがついたドレス。私は今、そんな服を着せられている。私には似合わない可愛らしいドレス。これを着せた犯人は、太陽のような笑みを浮かべてこちらを見ている。その光に照らされながら、私はため息を吐きながら

「どうしてこうなった…。」

そう言って天井を見上げた。


 遡ること数刻、私はとある依頼を受けここノースネイアの地を踏んだ。依頼は無事に成功、寄ったついでにと思い久しぶりにミアムへ顔を出すことにした。数刻移動すると、見慣れた屋敷が目に入る。大きく、堅牢な屋敷だ。私は慣れた足取りでそのまま敷地内へと足を進める。しかし見張りの者は何も言わない。むしろ挨拶までする始末だ。普通に考えれば明らかに異常な状況だが、この件にもう何も突っ込まないでおく。説明で長くなる。ドアを開けると、メイドがまるで私が来るのを予見していたかのように待っていた。

「お帰りなさいませティア様、お荷物をお預かりします。」

そう言うとメイドは手際良く装備を外していく。あらかた装備を外し終わるとメイドは

「お嬢様がお待ちです。」

淡々と告げると、屋敷の奥へと消えていった。すると入れ替わるように屋敷の奥からミアムが現れる。私の姿を見るやいなや、ミアムはキラキラした目で

「ティアお帰り、良いお茶菓子が手に入ったのよ。一緒に食べる?」

そう問いかけてきた。私はそんなミアムの様子に少し微笑みながら、

「勿論。ちゃんとココアは用意してくれよ?」

 その後のティータイムでは、お互いの近況や世間話等で花が咲いた。そうして話していると、私は机に置いてある手紙に目がついた。

「なぁミアム、その手紙は?」

私の問いにミアムは

「この手紙?これは舞踏会の招待状よ。フロストシャインを祝う、ね。」

「ほう、武闘会か。この国にもそんなのがあるんだな。ん?それだとミアムに招待って変な話だな?」

私の純粋な疑問にミアムはため息を吐く。

「…多分思ってるティアが武闘会と違うわ。それに主催はマグナス殿下達よ、招待されたからには行かなきゃね。あ、勿論ティアの分もあるわよ。ルミナとして。」

「!?」

ミアムの突然の発言に私は咳き込む。そんな私を気にも留めずミアムは続ける。

「ちょうど良かったわ、そろそろ連絡しないとって思ってたところだし。」

ホワホワとしているミアムに私は眉を顰めると、僅かな希望に賭けて問いを投げる。

「ちなみにそれに行かないという選択肢は…」

「ないわね。」

ピシャリと言い切られ、私は頭を抱える。まずい、この流れは…。私はすぐさま逃げる準備を整える。しかし既に背後にはメイド長がニコニコと満面の笑みを浮かべながら立っていた。逃げようとする私の肩をガシッと掴むと、メイド長は真剣な表情で

「お嬢様、少しティア様のお召し物の準備をしますがよろしいでしょうか?」

そう言ってミアムに熱い眼差しを送る。それに対して私はミアムに助けて、と必死のアイコンタクトを送る。そんな意思が伝わったのだろう。ミアムはにっこりと笑うと

「うん、良いわよ。しっかり準備してあげてね。」

ミアムのその言葉に私の顔は絶望に染まる。片やメイド長は目を輝かせている。そんなやりとりをしている間に他のメイド達も集まってきており、いつの間にか包囲されていた。私はそれでも諦めずに逃げようとするが多勢に無勢、そのままメイド達にひょいと担がれる。恐らくあそこに連れて行くつもりだろう。それだけは避けねば、と抵抗を続けるがメイド達は全く意に返さない。メイド達に担がれ、暴れる私を見ながらミアムは気にせずティータイムを続ける。そんなミアムを見て私は思わず

「う、裏切り者〜!!!!!」

そんな慟哭を屋敷に響かせた。


連れてこられたのはドレスルーム。私専用の。この前ここに来た時よりも明らかにドレスの種類が増えている。明らかに増えている。だってあんなキラキラしたドレス知らないもん。いつ増えたのだろうか?考えるだけで恐ろしい。そうして最初にと用意されていたドレスを渡され、それをまじまじと見つめる。

「…これ着なきゃダメか?」

私の問いにメイド長は

「もしお気に合わないのでしたら別のものもご用意いたします。」

ニコニコしながらすぐに答えた。私は逃げられないと言うことを悟ると、用意されていた何故かサイズがぴったりなドレス達に袖を通し始めた。


しばらくするとミアムがメイド長達に呼ばれて私のドレスの確認をしに来た。メイド長達は眩しい程の笑顔で、満足気だ。それとは対照的に姿見越しに映る私の目は死んでいた。赤いリボンを頭につけ、白を基調として差し色に黒を混ぜたドレスに身を包んでいる。ドレスの形状自体も動きやすさが重視されているのか、タイトスカートの上にフリルのついたマーメイドドレス状のものを履く形になっている。サイズも何故かぴったりなので不快感もない。…肩と足が見えているのは気になるが。しかしこれ以上突っ込むとまだまだ残っているドレスに着替えさせられる。それだけはごめんだ。ため息を吐く私にミアムはまじまじと見ると

「ティア、似合ってるわよ。とっても可愛い。」

そう言って私に微笑みかけた。その言葉に、私は頬を赤くして目を逸らした。

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