異世界転生したら、秘密を抱えた家族の愛猫になりまして。ミケのひみつ観察日記〜猫かぶりなニャンとも不思議な一家〜
土砂降りの雨が、アスファルトを叩きつける。路地裏の水たまりに、丸くなってうずくまっていた。
「うー、やばい。このままじゃ死ぬ。こんなところで」
心の中で呟くが、もちろん猫の姿だ。声に出して言えるわけがない。ごく普通の人間だったのに、ある日突然、異世界に転生した。それも、モフモフした白い毛並みを持つ猫の姿で。どうやら理を外れた妖精という存在らしい。
妖精には寿命もなければ、空腹で死ぬこともない。しかし、人間だった頃の記憶が、猫の本能的な欲求を強烈に呼び覚ます。腹ペコで、冷たくて、とにかくみじめ。そんな私に、一筋の光が差し込んだ。いや、光ではない。傘だ。
「あれ? ねこ?あ、猫なの?」
娘の声だった。魔法学院のローブをマントのように羽織った少女が、水たまりにいるこちらを見つめている。彼女はそうっと手を伸ばした。
「こんな雨の中でどうしたの?」
弱々しく「ニャー」と鳴く。ためらうことなく抱き上げた。
「冷たい。ごめんね、気づくのが遅くて」
温もりに身体は安堵で力が抜けていく。そのまま、娘は家に連れ帰ってくれて、家に辿り着くと娘は母親に見せた。
「お母さん、この子雨の中で震えてたの」
母親はすぐに柔らかいタオルで拭いてくれた。
「かわいそうに。こんな小さな身体でよく頑張ったわね」
手つきは優しくゴロゴロと喉を鳴らした。そこに父親が帰ってくる。
「ただいまー! おや、新しい家族かな?」
娘は嬉しそうに猫を差し出す。
「うん! 私が拾ってきたの!」
父親は猫を見て目を輝かせた。
「なんて美しい毛並みなんだ!よし、今日から君の名前はミケだ!」
私は心の中で固まった。え? ミケ?この全身真っ白な毛並みを見て、ミケだと?
娘が呆れたように言う。
「お父さん、ミケって。白いのにぃ?」
「ああ、いいじゃないか。シンプルで、覚えやすくて平和な感じがして」
父親の言葉に心の中で静かにツッコミを入れた。
「あー。この家、平和とは程遠いの?」
そう、まだ知らなかったのだ。この家族が全員とんでもない秘密を抱えていることを。この時まではこの家を、ごく普通の温かい家族だと思っていたのだ。
「うにゃあ〜」
温かい日差しの中、書斎の窓辺で昼寝をしていた。この家に来てから一週間。日常はまどろみと昼寝と食事に満ちている。こんなに平和な生活は、人間だった頃を含めても初めてかもしれない。庭師たちの会話が耳に入ってくる。
「旦那様は、また夜な夜なこっそり出かけているそうですよ」
「奥様も、小説の取材と称して、物騒な人たちと会っているらしいな」
「ふーん、奥様は人気小説家で旦那様は宮廷魔術師か。素敵な家族だな」
その日の夜、書斎の窓から入ってくる父親を目撃した。息を切らし、服には土埃がついている。
「やれやれ、国王の寝室から機密文書を盗み出すのは骨が折れるなぁ」
私は固まった。
「え……?」
さらに翌日、母親が「新しい小説の取材に行ってくるわ」と言って家を出る。好奇心からこっそり後を追った。路地裏で母親はフードを被った男たちと会っている。
母親は物騒極まりない。この展開、後ろから何者かに殴られやしないだろうか。
「王家の紋章に隠された秘密の記録、無事に手に入れた」
「これで、我々も歴史の真実を掴める」
驚愕する。
「嘘でしょ、この人たちまさか」
そして、娘の魔法の練習。小さな炎の魔法を練習しているはずが、暴走して家の一部を黒焦げにしてしまう。冷静にツッコミを入れる。
「いや、普通、魔法はそこまで爆発しない!」
この家族は全員がヤバい秘密を抱えているらしい。そう悟った次に行動を観察し始めた。なんて事ない日。父親の書斎で眠っていたが、部屋の主人は険しい顔で地図を広げている。
「沈黙の騎士団の情報が漏れているようだ。このままでは、私の身元も危ない」
その時、書斎の窓に、カラスが止まった。カラスの足には小さな紙切れが結ばれている。飛びつきたい衝動が起こらず、そのまま微睡む。父親はそれを読み、顔色を変えた。
「まずい……! 敵がすでにこの家を特定している!」
父親は慌てて書斎を出ていくとパッと起き上がり後を追った。父親は庭にいた母親に声をかける。
「君に相談したいことがある。私の身元が」
母親は冷たい目で父親を遮った。
「その話は後にして。私の情報網によると、あなたの敵は今夜、この家の近くに潜んでいる。そして、彼らが狙っているのは」
母親は父親に耳打ちをすると、父親は驚いた顔で見つめる。
「ど、どうして、君がそんなことを知っているんだ?」
「私の小説の取材よ。歴史の真実を追っていたら、偶然、あなたの秘密に辿り着いたの」
「はぁ?そんなバカなことなんて」
その時、庭の茂みから数人の男たちが現れた。彼らは父親に剣を突きつける。
「沈黙の騎士団のエージェントめ、観念しろ!」
父親の危機に思わず「にゃああ!」と叫びながら男たちの足元に飛びついた。
「うわっ!」
男たちは足元にいる猫につまずき、転倒する。その隙に父親は魔法で男たちを拘束。
「ミケ! 君のおかげだ!」
息を整えていると近付かれる。父親は抱き上げ、頬ずりをした。翌日、母親の新作小説が出版されたタイトルは沈黙の騎士団と影の司書。父親が驚いた顔で小説を読んでいる。
「妻の小説は、まるで私のことを描いているようだな〜」
ミケは心の中で笑う。
「まるで、じゃなくて本当にあなたを描いているんだけどね」
小説は父親のスパイ活動をファンタジーとして巧みに偽装したもの。小説の中には父親の身元を特定した敵の居場所や、彼らが狙っている真実のありかが記されている。娘が母親に質問をする。
「お母さん、どうしてこんなに詳しいの?」
母親は微笑んで答える。
「真実を追ううちに、いろんなことがわかってくるの」
猫の頭を撫でる。
「たとえば、この猫がただの猫ではないこととかね」
心の中でゾッとした。
「え、バレてる!?」
父親は敵を捕らえた後も、自分の正義を疑っていた。
「私は本当に国のために正しいことをしているのだろうか」
ある日、こちらへ語りかける男。
「ミケ、君は何も知らずにただ平和な日常を生きている。私にとって、それが一番の理想なんだ。平和な日常を守るために戦い続けなければならない」
その夜、こっそり書斎に入り、父親の前に、正体である妖精の姿を少しだけ見せた。父親は驚きで言葉を失う。心の中で話しかける。
「大丈夫。あなたのしていることは、間違っていない」
言葉が伝わったのか父親は頭を撫で、静かに涙を流した。
数週間後、家族に平穏な日々が戻ってきたがミケには不穏な空気が感じられる。娘の魔法が以前よりも激しく、暴走するようになっていたのだ。
ある日の夕食後、娘が自分の部屋で魔法の練習をしていると突然、部屋から光が漏れてくる。
「きゃあああ!」
慌てて娘の部屋に駆け込んだら部屋の中は、娘の暴走した魔法でめちゃくちゃになっていた。
「ごめん!また、やっちゃったなぁ」
娘は泣きながら、抱きしめる。
「どうして、こんなに魔力が暴走するんだろう。うっ、もう嫌」
その時、部屋の窓から黒い影が現れた。
「禁忌の魔術師の魔力を受け継いだ者め。我々の元に来い」
それは娘の魔力を狙う、禁忌の魔術師の一団。娘にも隠された秘密があったらしい。
「どうした!」
父親と母親が娘の部屋に駆けつける。
「お父さん」
「これは……娘に何をする気だ!」
父親は魔法を構え、母親は男たちを睨みつける。
「ほう、騎士と司書か。面白い組み合わせだ」
禁忌の魔術師の一人が嘲笑する。
「黙れ!」
父親は攻撃魔法を放つが魔術師たちはそれを軽々と防いだ。
「無駄だ。我々の魔力はお前たちごときが及ぶものではない」
娘が絶望の表情で叫んだ。
「もう嫌だ! 私のせいで!」
猫の毛が逆立つ。娘の魔力が暴走し、部屋中を破壊していく。
「ダメ!」
暴走した魔力に自分の妖精の力を重ねた。
「大丈夫、私に任せて」
力が娘の魔力をコントロールし、一つにまとめる。
「な、なんだ?!」
禁忌の魔術師たちは娘の魔力が急に安定したことに驚く。
「今よ!」
母親が叫ぶ。
声に反応するように父親は、娘の魔力を利用した強力な魔法を放った。
「光よ、敵を打ち砕け!」
光の魔法が禁忌の魔術師たちを包み込む。ドーン、と鈍い音が部屋の外から聞こえた。
「ぎゃああああ」
禁忌の魔術師たちは魔法に敗れ、撤退していった。
「うわああああんんん!」
娘は安心したように泣き崩れる。
「ご、ごめんね!ミケ!お父さん、お母さん。私のせいで」
父親は娘を抱きしめる。
「違う。君は、家族を守ってくれたんだ」
母親は娘の頭を撫でる。
「そうよ。あなたの力は、決して悪いものじゃない」
ミケは家族の温かさに胸が熱くなるのを感じ、この一件で家族の秘密は明らかになった。
父親はスパイとして国を守っていること。母親は司書として真実を記録していること。娘は暴走した魔力を持つこと。ミケは妖精として家族を見守っていること。
夜、書斎の窓辺で眠っていたら父親が優しく抱き上げる。
「ありがとう、ミケ。君のおかげでまた平和な日常が戻ってきた」
ゴロゴロと喉を鳴らし、父親の手に顔を擦り付けた。彼らは知らない。平和な日常はミケが作り出したものだということを。
ミケは今日も家族の秘密を抱えながら、温かい日差しの中で昼寝をする。恩を返し続けるのも、家族として当たり前なのだ。
「このヘンテコな家族と、このめちゃくちゃな日常。うん。悪くない」
こうして、猫とスパイと、司書と暴走魔法使いの奇妙で愛おしい毎日はこれからも続いていく。
ある穏やかな午後、ミケは書斎の窓辺で昼寝をしていた。まどろみの中で父親と母親の会話が聞こえてくる。
「ねえ。最近、あなたの隠し場所から王室の紋章が入ったペンが見つかったんだけど」
「い、いや、それは! 娘の描いた絵の、えー、モデルにしただけで」
「ふうん。それにしても、私の歴史的文書の写しがいつもミケのベッドの下にあるのはどうしてかしら?」
「それは……ミケが……その……寝心地が良いから……かな?」
ミケは、心の中で(いいえ、私は知りません)と呟いた。どうやら父親と母親はお互いの秘密を知らないまま、知らず知らずのうちに互いの持ち物を交換してしまっているらしい。
父親はスパイ活動で手に入れた機密情報を、母親が使う真実の図書館の隠し場所に母親は取材で得た歴史的文書を。父親の沈黙の騎士団の隠し場所に、それぞれうっかり置いてしまっているようだ。
ミケは秘密の交換ゲームが、いつか大騒動に発展するのではないかと心配になる。
夕食後、娘が自分の部屋で魔法の練習をしていた。小さな光の玉を出す魔法だが娘の魔力が暴走して、光の玉が部屋中を飛び回る。
「やば!きゃあああ! 止まってえええ!」
ミケは娘の部屋に駆け込んだ。すると、光の玉はミケの全身に吸い込まれていきミケの全身が、キラキラと光り輝き始める。
「うにゃああ?」
「ミケ! どうしちゃったの!?」
ミケは全身が光る猫になってしまった。いや、これは単に娘の魔法がミケの妖精の力に反応して、こんな風になってしまっただけ。しかし、ミケには自分が一番輝かしい存在になったかのように感じられた。ゲーミングキャットだ。
その時、父親が部屋に入ってきた。彼はミケを見て目を輝かせる。
「おお、なんて美しいんだ。ミケ、星のようだ」
父親はミケを抱き上げ、頬ずりをした。
「パパ、ミケが変な光を放ってるんだけど」
「いいんだ! これもミケの魅力!」
ミケは心の中で(いや、これ、娘の魔法の暴走のせいなんだけど)と呟いた。
ドタバタは続く。父親はスパイ活動から帰宅し、愛猫を抱き上げた。
「今日の任務は大変だったんだ。でも、君の顔を見たら疲れが吹き飛んだよ」
ミケは父親の顔をじっと見つめ、ゴロゴロと喉を鳴らした。
別日。母親は執筆中の小説の取材で危険な男たちと会った帰り。散歩していたら出会った。
「ミケ、今日の取材は大変だった。でも、ミケの頭を撫でたら心が落ち着く」
ミケは母親の手に顔を擦り付けた。娘は今日も魔法の練習で失敗する。
「ミケぇ、またやっちゃったぁ」
ミケは娘の足元にすり寄り、娘を慰めた。全員がとんでもない秘密を抱えているが、根底には互いを思いやる深い愛情がたっぷりある。
愛情はミケをも包み込んでいた。晴れた午後、庭で日向ぼっこをしていた。娘は庭で魔法の練習をしているらしいけれど、小ささな光の玉を出す魔法だが魔力が暴走して、光の玉が庭中を飛び回る。
「わぁあ!また!きゃあああ!止まってえええ〜」
慌てて魔法を止めようとするが、うまくいかない。そんな時、庭のフェンスの向こうから一人の男の子が娘の様子をじっと見ていた。彼は猫でも知っている、名門魔法学院の制服を着ている。
(誰だ、あいつは?)
男の子に警戒心を抱いた。男の子は娘の魔法の暴走をじっと見ていて、娘が魔法を止められずにいると手をかざして暴走した魔法を、一瞬で収束させる。
「え? なんで?」
娘は魔法が止まったことに驚き、男の子の方を見たが男の子は何も言わずにただ微笑んでいる。一言も話さず、すぐにその場を立ち去った。男の子が何者なのか気になり、彼の後を追うことにした。
(何者? 娘に気があるの? だとしたら、ただのストーカーになる)
ツッコミを入れながら後を追う。きゃつは、どうやら真っ直ぐに魔法学院に向かっていた。
(よし、何者か、探ってやろう)
魔法学院に入っていくのを確認し、ささっと後を追う。男の子は魔法学院の中でも、特別なクラスに所属しているようだった。魔法学院の中で男の子の情報を集め始めると魔法学院でも、天才として知られているようだ。
あの子のことが気になっているらしい。
(なぁんだ。ただのストーカーじゃなくて、気があるただの男の子で。思春期男子なだけか〜)
心の中で呆れた。だが、その時。男の子が娘の描いた絵を大事そうに持っているのを見つけた。
(なんだろうか。本当に娘のことが好きなんだ……まぁ、私的な持ち物くらいはよくあることだし)
真剣な眼差しに心の中で微笑んだ。学校をあとにする。時間は経過して、ミケは娘の部屋で眠っていた。娘は窓の外を見つめながらぽつりと呟く。
「今日、魔法を助けてくれた男の子、誰だったんだろうね?」
ミケは娘の言葉に心の中で(それは、恋してるただの男の子)と呟いた。
暑い夏の午後。ミケは書斎の窓辺で昼寝をしていた。リビングからは嬉しそうな声が聞こえてくる。
「きゃー!見て! 魔法でアイスクリームができたよ!」
娘は魔法で作り出したキラキラと輝く光のアイスクリームを嬉しそうに食べている。ミケは冷たくて甘い香りに、じっとりとした汗をかいた。
(うがぁ! 美味しそう〜!)
猫の姿のままではさすがに大きなアイスクリームを一人で食べることはできない。それに家族は猫に人間の食べ物を与えないという方針だった。家族にバレないように、アイスクリームを手に入れる方法を考え始めた。
「よし、あの手を使うしかない」
誰も見ていないのを確認してリビングに忍び込み、娘がよそ見をしている隙に魔法でアイスクリームを小さく、猫でも食べられるサイズに分割する。うまくいった!
「ねえ、お母さん。私のアイスクリームが減ってる?」
娘が不思議そうな顔で母親に話しかける。母親はアイスクリームを見て首を傾げた。
「おかしい。誰かがつまみ食いしたの?」
その時、猫の姿のまま小さくなったアイスクリームを満足そうに舐めていた。
「ふふ。アイスクリームって、こんなに美味しいんだ」
アイスクリームを食べていることに夢中になり、家族の存在を忘れていた時、父親が部屋に入ってきた。彼はミケを見て、驚きの表情を浮かべる。
「おいっ、ミケ!君、それは!」
ミケは慌ててアイスクリームを隠そうとするが、口の周りに付いたアイスクリームは隠せない。
「……ミケ、それはアイスクリームかい?って聞かなくても、アイスクリームだね」
父親はミケを抱き上げ、優しく尋ねる。ミケは心の中で(しまった!)と呟きながらただただ、父親を見つめることしかできない。娘がミケに近づき、ミケの頭を優しく撫でた。
「ミケ。アイスクリーム、食べたかったの?」
ミケは心の中で(うん、食べたかった!)と頷いた。
「ふふ。大丈夫よ。怒らないから」
父親がミケの頭を優しく撫でた。
「私たちの家族なんだから、みんなで食べたいわよね」
母親もミケを抱きしめた。ミケは心の中で(優しい。この家族に、絶対に秘密をバラさない)と誓いながら、家族の温かさに胸が熱くなった。
日曜日。ミケは書斎の窓辺でいつものようにまどろんでいた。今日は父親が珍しくオフらしく、一日中家にいる。普段は秘密の任務で忙しい父親が、家族のために特別な一日を計画しているようだった。
「よし、今日は家族でピクニック。最高の家族サービスにする」
父親は張り切ってバスケットにサンドイッチやジュースを詰めている。手つきはどこかぎこちない。ミケは心の中で(そのサンドイッチ、なんだか爆弾みたいだな)と怪しむ。父親は娘に声をかける。
「今日のピクニック、楽しみか?」
「うん!パパと一緒なら、どこに行っても楽しいよ!」
満面の笑みで答える。その笑顔に父親は照れくさそうに微笑んだ。外へ出て猫もキャリーケースに入れられる。
場所は、家の近くにある公園。父親はピクニックシートを広げ、サンドイッチを並べた。
「さあ、お母さんもどうぞ!」
母親は父親が作ったサンドイッチを一口食べ、静かに微笑んだ。
「ふふ。見覚えのあるこのサンドイッチ、まるで爆弾みたい」
「だ、だって、君の小説に出てくる爆弾の構造を参考にしたから」
父親の言葉にミケは心の中で(やっぱりそうだ)とツッコミを入れた。爆弾サンドイッチだったらしい。その時、公園の木陰から怪しい男たちがこちらをじっと見つめていることに、ミケは気づいた。
猫は耳がいいから。彼らは父親が所属する秘密組織、沈黙の騎士団のライバル組織の人間だったがそれを知らずにミケは、父親に危険を知らせようと男たちの足元に近づきニャーと鳴く。
男たちはミケに気を取られ、その隙に父親は魔法で男たちを拘束した。瞬殺とはこのこと。
「ミケ!君のおかげだ!」
父親は猫を抱き上げ、頬ずりをした。撃退した後もピクニックは続く。父親は娘とボール遊びをしたり、母親と談笑したりと普段は見せない穏やかな表情を見せていた。そんな父親の姿を見て、心の中で微笑んだ。
(この人はスパイ活動をしていても、家族のことを一番に考えているんだな。いいパパさんだ)
夜、父親の膝の上で眠っていた。父親はミケの頭を優しく撫でる。
「ミケ、今日のピクニックは君のおかげで最高の一日になったよ。ありがとう」
ゴロゴロと喉を鳴らし、父親の手に顔を擦り付けた。どこにでもあるような父親が家族に捧げた、ちょっと変わった、でも愛に満ちた休日は終わる。
ミケは今日もヘンテコな家族とめちゃくちゃな日常を守るため、ひそかにひげを動かして猫の尻尾を揺らした。
猫になりたい方も⭐︎の評価をしていただければ幸いです。




