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 薄黒い尾を引いて、零戦れいせんが落ちてゆく。海面にたたきつけられた翼は根元から折れ、水に飲み込まれていった。

 空を飛び回っている日の丸は極端に少なく、ほとんどが星だった。グラマンの新型が出てから零戦は負け続け、開戦四年目に入った今では航空戦で主導権を握ることは不可能に近くなっていた。

 そうこうするうちに再び零戦の機体が、目の前の海面にたたきつけられた。艦首に鈍い衝撃が走り、右舷の白波に緑がかった機体が消えていった。

 足を止めている信濃は先ほどの至近弾で、推進機を吹き飛ばされたらしい。その証拠に煙突からは黒い煙を吐き出し続けている。これほど恰好の獲物はいないはずだ。米軍機は信濃に取りつき、腹に積んだ物を吐き出していた。

 その時、真っ白な霧があたりを包む。次の瞬間に艦体が大きく揺れた。おそらく機関が止まったのだ。足元からの振動は一切なくなった。

 索敵員の声が響く。

「右、巨大な何かがいます・・・」

固まったその声は、明らかに普通ではなかった。城島じょうじまは声につられ、右舷の方に顔を向ける。

 そこには霧の中に動く大きな何かがあった。

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