9話
「ここがラスファか…あそこよりは綺麗そうだ」
「あそこが異常だったんです」
「娘よ、ここはお前の街か?」
「ううん、わからない」
「目立ちたくはないが…」
「警備隊に渡すのが早いかと」
「そこへ向かうか」
―警備隊駐屯所―
「どうした?」娘が服の端を掴んでいる。
「わからない。わからないけど怖い」
「ここが一番安全だと思いますが…」
「この娘には見えないものが見える。ならここは危険なのだろう」
「どうしますか?」
「まずは宿屋を取るしかないか」
「そうなるんですね…はぁ」
「そう急くな」
「大丈夫です。呆れているだけです」
―
「ここなら大丈夫そうだな」
「この街最後の宿屋ですね」
「蒼玉、この娘を頼めるか」
「かしこまりました」
―
「表面上は綺麗な街か…あの街より腐っているのかもしれないな」
―
「お姉ちゃん、何か怖い」
「大丈夫です。金剛様にあなたの護衛を承りました」
―
「警備隊は盗賊とズブズブな関係。分前を貰って見逃すのか…なるほど。それに…あれはいちゃもんをつけて金をせび
る…それを警備隊が見逃すと…あの娘が嫌っていた理由はこれが原因だったのか?」
―
「お姉ちゃん…」
「大丈夫です。全て返り血です。このような野盗には負けません」
―
「上辺だけの平和か…正さねば同じような子供が生まれてしまうのか」