8話
「結局その子を連れてきたんですね」
「蒼玉、こいつを連れて行けばいい金になるとは思わないか?」
「本心から言っていれば悪党ですね」
「何を言う。我々は悪党だろう」
「そうですね。誰かにとっての正義で誰かにとっての悪党ですね」
―
「うーん…ここはどこ?」
「金剛様、娘が起きました」
「そうか、お前は何者だ?」
「私は…誰だっけ」
「記憶喪失か」
「過度のストレスに晒されたのでしょう。この年で」
「お姉ちゃん達だあれ?」
「ほう、見た目に惑わされず見抜くとはさすがだな」
「黒いローブで体型を隠して声も篭っているのによく分かりましたね」
「お姉ちゃん達お胸大きい」
「ほう…お前には他のものには見えないものが見えるのか」
「どういうこと?」
「気にしなくていい。蒼玉、ご飯を作ってやれ」
「そうですね。先見の明によるお肉が余っている様なので」
―
「美味しい…」
「だそうだ」
「当たり前です」
「それにしてもこの娘、どうするか」
「考えなかったのですか?」
「…」
「はぁ…まずはラスファに行って、親を探すのが賢明でしょう」
「親?私に親がいるの?」
「さぁな。行ってみないことにはわからない」
「連れて行ってくれるの?」
「致し方あるまいな」
「元々そのつもりだったのにわざわざ…」
「何か言ったか?」
「いいえ、何も」
「お姉ちゃん達ありがとう!」