2話
「これも腐っているのか…」
見るもののほとんどが腐っているように見える。パンもカビが生え、野菜も細り、吊るされている魚や肉も腐敗している。
あらゆるところから場所から立ち込める臭いに嫌気がさす。
「もう蒼玉はいないのか…」
同志が既にここにいないとさえ思い始める。
国王が亡くなり1ヶ月が過ぎている。他の場所へ移動している可能性もある。
一番情報が手に入るであろう酒場に入る。
階段を降り、扉を開ける。
中はさまざまなアルコールが混ざる匂いが…しない。
どうやら酒もほとんど無いようだ。
「何を飲む?」帽子を被った女性が聞いてくる。
「甘くてキツイやつ」
「高くつくがいいかい?」
「安めに頼む」
―
「サンテンから良くもまぁ、来たな」
「探し人だ」
「どんなやつだ?」
「知らないな」
「どういうことだ?探し人なんだろ?顔や名前も知らないで探しているのか?」
「そういうことだな」
「はぁ…無茶言うもんだ」
「やっぱりそうか…すまないな、それじゃこれで頼む」
「ん?こんなんじゃ足りないよ?」
「そうか…だがこれ以上は持ち合わせていない」
「そう言う時はどうなるか知っているか?」
「いや、こういう場所で飲んだのは初めてなんだ」
「兄さんいい顔しているからいい仕事ができると思うよ…」
店の奥から3人ほど厳つい男が出てくる。
「これが俗にいうオモテナシと言うやつか」
「あら、面白いこと言うじゃん。余裕って感じ?」
「余裕も何もただ大柄な男が出てきただけではないか」フードを戻し、口元も隠す。
「そんな余裕いつまで持つかな?」帽子を目深に被る。
「さぁ…」
「遊んでやりな!」