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ある猫の一生

作者: 齋藤高雄

1.子猫の頃


彼は生まれたときから、他の子猫とは違っていた。毛並みは白と黒のまだら模様で、目は青と緑のオッドアイだった。母猫は彼を愛情深く舐めて育てたが、兄弟姉妹は彼をからかったり噛んだりした。彼は自分が特別な猫だと感じていたが、同時に孤独だとも思っていた。


ある日、彼は母猫に連れられて、人間の家にやってきた。そこには小さな女の子が住んでいて、彼を見るなり「ミルキー」と名付けて抱きしめた。彼は初めて人間の温もりを感じた。女の子は彼を大切にしてくれた。彼は女の子の部屋で寝たり遊んだりした。彼は幸せだった。

  


2.成猫の頃


ミルキーはすくすくと成長し、立派な成猫になった。女の子も大きくなって、学校に通うようになった。ミルキーは女の子が帰ってくるまで、家の中や庭で自由に過ごした。時々、近所の猫たちと出会っては挨拶したり喧嘩したりした。ミルキーは強くて賢い猫だったので、他の猫たちは彼を尊敬した。


ある日、ミルキーは庭で一匹の白い雌猫に出会った。彼女は美しくて優しくて、ミルキーは一目で恋に落ちた。彼女もミルキーに惹かれていたようだった。二匹は仲良くなって、よく一緒に遊んだり寝たりした。ミルキーは彼女を「スノー」と呼んだ。スノーはミルキーを「ダーリン」と呼んだ。二匹は幸せだった。



3.老猫の頃


ミルキーとスノーは何度も子猫を産んだ。子猫たちはみんな元気でかわいくて、人間や他の猫に引き取られていった。ミルキーとスノーは二人きりになったが、それでも愛し合っていた。女の子も大人になって、家を出て行ってしまった。ミルキーは女の子に会いたかったが、仕方ないと思った。


ある日、スノーが具合が悪くなった。彼女は食べることも動くこともできなくなって、庭の木陰で弱々しく息をしていた。ミルキーは心配して、彼女のそば彼女のそばに寄り添って、優しく舐めた。スノーはミルキーを見て、微笑んだ。彼女は「ダーリン、ありがとう。あなたと一緒にいられて幸せだったわ。でも、もう私は死にます。あなたも元気でね」と言った。ミルキーは涙を流して、「スノー、愛してるよ。私も一緒に死ぬよ」と言った。スノーは「ダーリン、そんなこと言わないで。あなたはまだ生きるべきよ。私はあなたのことを見守ってるから」と言った。そして、彼女は静かに目を閉じた。


ミルキーはスノーの死に悲しみ、しばらく動けなかった。やがて、人間がスノーの死体を見つけて、埋めてくれた。ミルキーはスノーの墓の前で泣いた。彼はもう何もする気がしなかった。彼はただ、スノーと再会したいと思った。



4.最期の日


ミルキーは老いて弱っていった。彼は食べることも遊ぶこともせず、ひたすらスノーの墓の前で眠っていた。彼は夢の中でスノーに会えることを願っていた。ある日、彼は夢の中でスノーに呼ばれた。「ダーリン、私に会いに来て」とスノーは言った。「どこにいるの?」とミルキーは聞いた。「空の上よ。虹の橋の向こうにある楽園よ」とスノーは言った。「そこに行きたいよ」とミルキーは言った。「じゃあ、私の声に従って来て」とスノーは言った。


ミルキーは目を覚ました。彼はスノーの声が聞こえると感じた。彼は立ち上がって、その声に従って歩き始めた。彼は家を出て、道を渡って、丘を越えて、森を抜けて、川を渡った。彼は疲れて倒れそうだったが、諦めなかった。彼はスノーに会いたかった。


やがて、彼は虹の橋に到着した。そこには美しい虹がかかっていて、その向こうには緑の草原や花畑や果樹園が広がっていた。彼はその景色に感動した。「ダーリン、ここだよ」とスノーの声が聞こえた。「スノー!」とミルキーは叫んだ。彼は虹の橋を渡ろうとしたが、何かに引き止められた。「待って」と別の声が聞こえた。


振り返ると、そこには女の子が立っていた。女の子は大人になっていたが、まだ可愛らしい笑顔をしていた。「ミルキー!」と女の子は言って、抱きしめようとした抱きしめようとした。ミルキーは女の子を見て、驚いた。「あなたは…」とミルキーは言った。「私はあなたの飼い主よ。あなたを探していたの。どこにいたの?どうして家に帰ってこなかったの?」と女の子は言った。「ごめんなさい。私はスノーに会いに行こうとしていたの」とミルキーは言った。「スノー?ああ、あの白い猫ね。彼女はもう死んだのよ。あなたも死にたかったの?」と女の子は言った。「うん。私はスノーが恋しかったの」とミルキーは言った。


女の子は悲しそうにした。「ミルキー、私もあなたが恋しかったよ。あなたは私の大切な友達だったのに。私はあなたを忘れなかったよ。私はあなたを愛してるよ」と女の子は言って、涙を流した。「本当に?私もあなたを愛してるよ。でも、スノーも愛してるよ」とミルキーは言った。「わかるわ。でも、あなたはまだ生きてるのよ。スノーはもう死んでるのよ。あなたは私と一緒に帰ってくれない?」と女の子は言った。


ミルキーは迷った。彼は女の子と一緒に帰りたかったが、スノーと一緒に行きたかった。「ダーリン、大丈夫よ」とスノーの声が聞こえた。「スノー?」とミルキーは聞いた。「私はここで待ってるから。あなたが死ぬまでね。それまでは、女の子と一緒に幸せに暮らしてね」とスノーは言った。「本当に?ありがとう、スノー」とミルキーは言って、涙を流した。「ダーリン、また会おうね」とスノーは言って、消えていった。


ミルキーは女の子を見て、「ごめんね。私、帰ろう」と言った。「本当?ありがとう、ミルキー」と女の子は言って、笑顔になった。彼女はミルキーを抱き上げて、「大好きだよ」と言った。「私もだよ」とミルキーは言った。二人は虹の橋を渡って、家に帰っていっていった。



5.エピローグ


ミルキーは女の子と一緒に暮らした。彼は女の子に感謝して、彼女を癒してあげた。彼はスノーのことを忘れなかったが、彼女の言葉を信じて、生きることを選んだ。彼は時々、虹の橋の向こうにある楽園を夢見た。そこにはスノーが待っていて、笑顔で迎えてくれた。


ミルキーは長生きした。彼は老いて弱っていったが、それでも幸せだった。ある日、彼は女の子に見守られながら、静かに息を引き取った。彼は死んだ。彼はスノーに会いに行った。


ミルキーは虹の橋に到着した。そこにはスノーが立っていて、嬉しそうに手を振っていた。「ダーリン、やっと来てくれた」とスノーは言った。「スノー、待っててくれてありがとう」とミルキーは言った。「いいえ、ありがとう。あなたは私の大切な人だったから」とスノーは言った。「私もだよ」とミルキーは言った。二匹は抱き合って、キスをした。


そして、二匹は虹の橋を渡って、楽園に入っていった。そこには他の猫たちや動物たちが待っていて、歓迎してくれた。二匹は仲良くなって、一緒に遊んだり寝たりした。二匹は幸せだった。


おしまい。


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