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小説とは奇想天外なり!(はじまり方としてね)

なんやかんやで三話目突入ですねw


まあ、まだ序章的な感じです。徐々に、俺がこの二年間で習得した小説の極意的なものを披露していきますのでお楽しみにw

 ピリリリリリリリリリリリリリ


 枕元で鳴る携帯の目覚まし。


 僕は感覚だけを頼りに、携帯を探り当てて目覚ましのタイマーを切る。


「学校……」


 そう、今日は月曜日。一番、うつになる、そんな曜日。そして日曜日に夜遅くまで遊ばなければ良かったと一番後悔する日でもあったりする。


 季節は春。僕は高校一年生。といっても学校は始まって、もう二週間ぐらい経つ。


 もそもそと布団の中で一番くつろげる体勢になってから、携帯の液晶画面を眠気眼でぼんやりと眺める。


『まだ、十分は寝れるな……』


 なんて余裕こいて二度寝しなきゃよかったな~、なんて思っても遅いのは百も承知のことだったんだな。














『僕のバカーー!!』


 と、自分嫌悪に打ちひしがれながら僕は学校の支度を猛スピードでこなす。でもこういうときに限って物事ってうまくいかないよね……。


 制服に身を通し、顔を洗って、歯を磨く。財布と鍵を右ポケットに、携帯とウォークマンを左ポケットに。鞄に缶コーヒーを一つすべり込ませて、僕は家を出る。出際にお姉ちゃんに「いってきます!」と伝える。


 ま、家といってもアパートだけどね。二階からの階段をカッカッと急いで降りて速足で学校へと向かう。学校までは徒歩で20分。まあ、微妙な距離なのだ。軒道に咲く桜はすでにシーズンが終わって散り散り……けど僕はこっちの方がおしとやかっぽくて好きだな。


 って、そんなこと言ってる場合じゃなかった……。


 ウォークマンのイヤホンを耳に入れて、僕はなぜか春なのにお気に入りのTSUNAMIなんかを聴きだす。


 年齢は16で身長は170cm。中肉中背で、うーん特徴と言ったら左手首に巻いてるリストバンドぐらいかな……? 髪はボサボサで、眼鏡をかけてる。制服は茶色いズボンに白いワイシャツに赤茶のネクタイ。ブレザーは、今日は暖かいから着てこなかったけど群青色なんだよね。


 っと、そんなこんなで学校についちゃった。


 僕の通う万条高等学校。まあ、何が特徴的かって聴かれたら……この高校で一番偉いのが校長先生や理事長じゃなくて生徒会長だっていう点かな。なんか、そんな感じの話をどっかでも聞いたことあるけど……。


 同級生や先輩達の群れと共に校門に差し掛かると毎朝、ここ二週間で聴き慣れた明るくて元気をもらえる声が聞こえてくる。そう、僕に至福の時間をくれる天使の声を発するは生徒会長ご本人のもの。生徒会長は毎朝始業ベルが鳴るぎりぎりまで生徒達を校門で迎え入れているのだ。


「おはよう、葉ちゃーん」

「あ、藤原君おはよう~」

「今日は元気がないぞ、どうしたー亀井さん?」

「放課後の試合、頑張ってね高宮くんっ!」

「なんの音楽聞いてるのめいっち?」


 万条高校生徒会長、神薙かんなぎ綾乃あやの先輩。彼女はこの高校に通う全ての生徒の名前を含めプロフィールをインプットしている。その数なんと1200人分。


 抜群のプロポーションに加えてさらさらのロングな黒髪。最近になって友人や先輩から集めた情報によると、先輩が着用している帽子は毎日違っていて、どれもお店で見かけることはないのだという。そして綾乃さんはまだ二年生……僕よりたった一つ上なのに生徒会長を務め、成績も常にトップ……まさに雲の上の存在。


「おはよう瀧野くん、あら寝坊かな? 今日はいつにまして髪がぼさぼさだよ?」


 と、僕の心臓は止まってしまいそうになってしまうぐらい、彼女の笑みは女神のようで、先輩の声は僕の耳の中に沁み込んでいって脳の中で溶けてしまう。


「ね、ね…………寝坊しちゃいました」

「ちゃんと睡眠は取らなきゃだめだよ? あ、五郎くんおっは~」


 僕のバカバカ、こんなんじゃ折角話しかけてもらえたのに失礼だよ! と自分を責めてみても、綾乃あやのさんに話しかけられるといつもこんな調子に口下手になってしまう僕……バカ。


 綾乃あやのさんはそしてすぐさま他の生徒へと向かっていく。そう、自分だけ特別ではないとわかってはいても、僕は毎朝先輩と会話した文字の数を数えて記録してしまう程になっている。


『今日は金曜日より十五文字たくさん喋れた!』


 たったそれだけのことで、僕の学校での一日の気分は変わる。だって、僕にとっては至高のアイドルのような人が毎朝、しかも僕の名前を覚えていて話しかけてくれる。それだけのことで、僕は幸せになれるんだ。


 校門を抜けて、少しばかり歩いて玄関になるわけなんだけど突然僕の肩に腕を回して来る人物が出てきた。


「よお、海瑠かいる~。おっすでっす~」

「なんだ、ヒデか……」

「なんだとはなんだよ、えー、お前俺にそんな口利くようになったんかい、あ~?」


 こいつの名は刈谷かりや秀明ひであき、通称ヒデ。僕の幼稚園の頃からの友達である。身長は若干ヒデの方が高くて、ボクシング部期待のエース。茶色の短髪で制服を通してでも適度についている筋肉には僕は憧れを抱く以外何の嫉妬心も生まれてこない。


「やっぱ綾乃あやの先輩はかわいいよなーー。ゲットしたいぜー」

「ちょっ、何言ってんだよ!」


 毎朝ヒデの暴言(僕にとっては)に僕は毎度あわてさせられ、ヒデは知った上で笑みを浮かべて僕をからかう。


「そうだよなー、海瑠かいるは生徒会長に溺愛だもんなー。今日は何文字喋ったんだ?」

「きょ、今日は53文字だったよ!」


 と、ヒデがからかってきてくることをわかってはいても、僕の口調はキーが高くなり、ヒデは口をあけて笑う。


「あはは、そっか、そりゃ良かったな海瑠かいる

「うん」


 そして僕達は二人揃って教室まで行く。


 聞いてもわからない古文と一生理解しえることのできない数学の授業を聞き流す。なんだか、高校に入ってから更に難しくなったのはなんでだろう? というか、受験勉強が何の意味にもならないくらいに難しすぎるよ……。


 そうしてる内に念願の昼休み。


「ヒデ、今日も勝負だ!」

「おうよ!!」

「「最初はパーのグッチョキチョ!!」」


 まあ、ジャンケンであるわけなのだけど、勝者が敗者に購買に行かせて昼飯を買ってくるという罰ゲームである。


「はい、俺十連勝~」

「なんで?! 確率の法則に従えば、僕は今日までに最低三回は勝ててるのに!!」

「ミックスサンドにコーヒー牛乳x3」

「うう……またしても瓶もの………」

「とっとと行ってこいよな~」


 自分の席で踏ん反り返りながら僕はヒデに見送られて購買まで歩いていく。


 まだ学校は始まって二週間……まだまだ部活の勧誘とかも先輩方が熱心に働いていた。


 そして僕は一つの出会いを、画期的な出会いを、この購買へと続く廊下でそれは起こった。


「おい瀧野たきの海瑠かいる

「は、はい?!」


 突然の背後からの大声。僕は背筋をぴんと伸ばして硬直、他の人たちは皆して僕の後方を見つめている。


 ゆっくりと僕も後ろを振り返る。


 僕が歩いてきた廊下のど真ん中に仁王立ちで、なぜかヒデご要望のミックスサンドとコーヒー牛乳x3を頬張り飲みほしている、二年生を示す校章をつけた先輩がいた。


瀧野たきの海瑠かいる、お前は今日から【小説部】だ!!」

「…………は?」


 何をいきなり言ってるんだろうこの人は? あの、もしかしてあっち側の人とか、そういう感じなんですか? だったら僕は遠慮させていただきます。


 二年の先輩は最後のコーヒー牛乳の入った瓶を飲み干して僕に放り投げてくる。


「え、わっ、ちょっ!!」


 なんとか瓶を受け止めるも、先輩はその間に急接近、僕の首に腕を回してヘッドロックしてくる。


「おいおい、またりゅうの奴が新入生捕まえてるぜ」

「あ、本当だ……真白君懲りないね」


 なんだか二年生の先輩方の会話が耳に入ってくるんだけどね、なぜでしょう微妙に嫌なフラグが立っているのは僕の気のせい??


「おめでとう、お前は俺の眼中に目敏めざとくも止まった。だから入れ、【小説部】に。今部員がいねぇんだ。お前が入れば生存できる!!」

『僕はどこに突っ込めば……?!』

「ってなわけで行くぞ」

「あ、え、ちょっと、ま、待ってください!!」

「あ?」


 何を普通に自然に、まさしく平然と物事を運ぼうとしているんですかこの人は?!


「急にそんなこと言われても困ります!」

「俺に付いてくれば綾乃あやのに会わせてやるぜ?」

「え?」


 いきなり出てきた言葉に、僕の思考は中断される。


綾乃あやのって、綾乃あやの先輩?!」

「ああ、そうだ。俺に付いてくれば綾乃あやのに毎日のように会えるぜ。それも五十文字なんてもんじゃねぇ、五十行なんてあっという間に通り越すようなぐらいの時間がお前を待っている」


 そこで僕の頭に桃色スイッチが入って、そこからは僕の忌々しい本能の忠誠心には後であきれるんだけど、この時はまだりゅう先輩の口車にまんまとのせられた。


「ついてこい」

「ついていきます、どこまでも!!」


 僕は先達せんだって歩きだすりゅう先輩の後ろについていき、背後で交わされた二人の生徒の会話は耳には入ってはこなかった。


りゅうりゅうだけど、あいつも相当変だな」

「類は共を呼ぶって言うしね」


 …………。


 こうして僕は、【小説部】に(強制的に)入ることになった。


 というかこの時の僕はなんでりゅう先輩が僕が綾乃あやの先輩のことが好きで毎朝彼女との会話の文字数を数えていたことを知っていることに何の疑心も抱かなかったのだろうか?


 まあ、そんなもの今更思い返しても何の意味にもならないんだけど。


 でも、あれ、なんか忘れているような……?














「腹減った……」


 昼休憩が終わって僕が教室に戻った時、ボクシング部所属期待のエースのボディブローが僕の腹にクリーンヒットされるんだけどそれはまた違うお話。

次話は学校についてもう少しきめ細やかに書いていきます。

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