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第一話 黒竜の求婚

今回はいつもより少し文字数少なめです。


 以前旧ストラド子爵邸から金品などを持ち逃げした元使用人たちは、ダロワ殿の情報により全員領主軍が捕らえました。


 彼らはロマリエの両親も含めて(ことごと)く犯罪奴隷に堕とし、定められた刑期を全うするまで労役に服させることとしたのです。その裁きの場に、ロマリエも祖父のトルネスも姿を見せることはありませんでした。



 それはそうと事件です!


 突然の赤竜レシリードロスと白竜シルスキーノエルの飛来から三カ月ほどが過ぎた頃、驚きの知らせが私の許に飛び込んできました。


 コートワール帝国第三皇子のスコット兄上さまが、白竜のノエルと婚約したというのです。


 何でも来たる大陸北側への作戦に際して顔を合わせているうちに、兄上さまが美しいノエルに惹かれ結婚を申し込んだとのこと。それに対し彼女も兄上さまを好ましく想っていたので、惑うことなく了承したそうです。


 ただし、ヘイムズオルド帝国の一件がある現在お披露目は時期尚早とのことで、そちらが片付いてからということになりました。


 リビィの淡い恋が終わってしまいましたわね。ハミルトンさんには恋人がおりますので、スコット兄上さまは単なる憧れに過ぎません。


「竜族と人間は結婚出来るのですか?」

『可能だ。子も作れるぞ』

「そ、そうなのですか!?」


『我々はどの種族とも交わることが出来る。ただし子は竜族の寿命や力を引き継げんがな』


「つまり兄上さまとノエルに子が出来た場合は、普通の人間として生まれてくるということですか?」

『そうだ。人間の器では竜族の能力は収まりきらんのだ』


 ということは、私もダロワ殿と結婚して子をもうけることも可能ということになります。


『前に申したであろう? お前が望むなら我が伴侶としても構わぬと』

「もう! 心を読まないで下さい!」


 恥ずかしいです。しばらくは彼の顔をまともに見られそうもありません。


「と、ところでダロワ殿は、過去に人間の女性を娶ったことはあるのですか?」

『ないな。興味を持ったこともない』

「そうですか……」


『お前とはヴィンスキーグノワが原因で知り合ったが、あの件がなくともいずれは見つけたであろう』

「私が聖女だから、ですか?」

『そうだ』


「その、聖女とは一体なんなのですか?」

『お前だ』


 そうではなくて!


『心を読むなというからそうしてみたが、やはり意図が伝わらないではないか』

「あ……」


『まあよい。聖女とは我々竜族が本能的に護ろうとする存在、と言えば分かるか?』

「親子や親族に感じるようなものでしょうか?」


『似ているところもあるだろうが、そもそも我々と人間とでは種族が異なる』


 言われてみれば確かにそうですわね。


『だから我はお前の傍にいて、お前を常に護っている。それほど大切な存在であることは理解してほしい』

「た、大切……!?」


『どうだ。我ならお前が召されるその時まで傍にいてやれるぞ。そして我が生涯の伴侶はお前のみだと約束しよう』

「ほ、本気なのですか?」


『冗談や戯れ言でこのようなことを言う趣味はない』


 私がダロワ殿を憎からず想っていることは、すでに彼には知られてしまっております。それにジュクロア王子の一件で男性不信に陥っている部分も否めません。


 いくつかの縁談は来ておりましたが、どれも皇族という肩書きが目当てとしか思えないものばかりでした。


 対してダロワ殿ならそのようなものに興味はないでしょうし、他の女性に(うつつ)を抜かすこともないでしょう。


 生涯の伴侶ですか。


 私も今のところ彼以外に心惹かれる男性はおりません。おそらくこの先もそんな殿方が現れることはないと思います。


 ですがそれを私の一存で決めるわけにもまいりません。もっともすでにスコット兄上さまとノエルの前例がありますので、父上さまが反対されるなど考えられませんわね。


「分かりました。お返事は父上さまにご報告してからで構いませんか?」

『よかろう』


 翌日早速ダロワ殿から求婚されたことをお伝えすると、父上さまは大変にお喜びになられました。ただ婚約披露に関してはスコット兄上さまと同様、ヘイムズオルド帝国との一件が片付いてからとなったのです。

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