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神木の精と結界を守る鬼  作者: 貝石箱
第一章 神木の精と結界を守る鬼
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9.Side―鬼の少女2


 いつもの誰もいない教室。

 静まり返った教室の自分の席にウチは座っていた。

 目の前には、相変わらず花を生けた花瓶が置かれていた。



 首のチョーカーにそっと指で触れる。


 あの日、ウチが屋上から飛び降りた日に出会った姉さんは、頭部の損傷の激しいウチの遺体を回収して去っていった。「もう少し学生生活を楽しむのも良いと思うよ」と言って。

 きっと、「卒業はともかく最後まで通いたかったなぁ」とこぼしたウチへの配慮なんやと思う。


 何でも、最初の修復には手間と時間がかかるのだそうだ。あと(たくみ)(わざ)も。二度目からは鬼の再生能力が働いて、飛躍的に修復時間が短縮されるとかなんとか……それって二度目、三度目があるっちゅうことかいな?


 そういう訳でウチの体の修復が終わるまで、もう暫く学生をエンジョイしようと……思えへんわ!

 ウチ浮遊霊やのに、どうエンジョイすればええねん!


 ……と思っていたが、その日からの生活は意外と楽しめた。ウチ結構、人間観察すきやったんやな。生前は気付けへんかったわ。


 それともうひとつ、ウチの首には姉さんに貰ったチョーカーがついとる。これは、悪いものを寄せ付けないようにして、ウチが悪霊化するのを防いだり、同業者にいきなり除霊されるのを防ぐ『印』的な役目を果たす物らしい。


……って、いきなり除霊って恐ろしすぎやろっ! そないな同業者ばかりなんやろか。そういえば姉さんにも仕事手伝ういわへんかったら除霊されとったかもしれひんし。ホンマ、物騒な業界やで。


……っと、経緯は大体こんなもんかな。






 早朝、まだ誰もいない教室。

 廊下の方から足音がして、だんだん教室へ近づいてくる。

 教室の前で一旦足音がとまり、スライド式のドアを開けて入ってきたのは、ウチの一番の親友の『美優』ちゃん。とは言ってもウチには親友一人しかおらへんのやけどな。一度は言ってみたいセリフやんか。堪忍したってや。


 『美優』ちゃんは新学期に登校してきてから、毎朝一番に来て、ウチの机の花瓶の水をかえてくれている。

 今日は替えの花を持参らしい。いま刺してる黄色い花もええけど、今日持ってきてくれた紫の花もええなぁ。花の名前知らんけど……。


 後、気付いたけど、浮遊霊って『嗅覚』がないらしい。

 花の香が嗅げんのは別にええねんけど、『美優』ちゃんの匂いが嗅げへんて知った時は、めちゃショックやったわ。見えへんのをいいことに『クンカクンカ』しよう思うとったのに……って誰が変態やねん!

 女の子同士ならええんや。セーフなんや。


 それと『クンカ』は親友の特権や!



「美優、おはよう」


 次に教室に入ってきたのは、美優の幼馴染の男の子。名前は……知らん。忘れた。覚えているのは一人称が『私』って事だけだ。男やのに何で『私』なん?て聞いたら「内緒」って言われた。美優は知っているみたいやったが困った顔をしよったんで聞かんやった。ちなみにコイツ、男子の前では『自分』が一人称らしい。まったく意味わからん。つまらんことに頭使わせんなや!

 もう、以後、コイツ呼びでええやんな。


 そんでコイツ、一学期はいつもぎりぎりで登校してきよったのに、今では美優の登校時間に合わせて登校しよる。

 ウチの死をええことに、親友を亡くして落ちこんどるところを優しくして、仲良くなろうって魂胆見え見えやん。

 ……って、この二人、昔から仲ええんやった。


 そして二人ともウチの味方や。


 あれは、一学期の給食時間やった。

 ウチが自分の給食を食べ終えて、まだ物足りなそうな顔していると「よかったらこれ食べて」と美優ちゃんが、自分の分のアジのフライをウチに差し出してくれた。

 それから給食にお魚が出る度、ウチにくれるようになった。美優ちゃん、お魚嫌いやんな。アカンよ好き嫌いせんときちんと食べんと。まぁ、くれる言うもんは貰うとくけど。

 少し経つと、美優ちゃんは、お魚が出ん日には他のおかずを一品くれるようになった。ウチがいつもお腹空かせとるのバレてたんやな。美優ちゃん、優しいねんな、マジ天使やで。嫁にほしいくらいやわ。


 そして、それを知った『コイツ』君は、ウチに『プリン』をくれた。

 女の子に甘味をプレゼントするコイツは、もしや、ウチのこと好きなんやろか。

 ……そう思うてた時期がウチにもありました。


 この二人みとったら嫌でもわかるわ。コイツら相思相愛やん。

 コイツにウチの美優をやるのはおしいけど、プリンくれたし。

 別に邪魔せんといたるわ。それどころか協力したるわ。もう、二人はよ結婚すればええのに。そんでウチを養うてや。


 ……ふと、ウチ餌付けされたんちゃうか思うたんはきっと気のせいやんな。


 それからコイツ、給食の冷凍ミカンやら他のデザート類をみんなウチにくれよったんやけど、『コイツ』呼びしてバチ当たらんやろか。

 けど仕方ないねん。名前思い出せへんし。


 そないな事があって二人ともウチの味方に認定されたっちゅう訳や。






区切りとしてはどうかわからないけど、まだまだつづきます。

次話「鬼の少女3」

……話の着地点がなかなかみえてこない・・・どうしよう。

「鬼の少女1」を第一話として新作30話くらいを書いた方がよかったんじゃないか……なんと全然思ってないんだからね!

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