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7.トンネルの悪霊


 今日受けている依頼は、トンネルの中の悪霊を追い払うというものだ。

 とは言っても、他の同業者に同行する形での参加なのだが……。


 初の依頼任務に対する不安もあり、詳しい情報も集めた。この任務は毎年出されているもので過去の報告書のいくつかをギルドアブリで閲覧する事が出来た。


 このトンネルは高速道路のサービスエリア近くにあるトンネルで、全長約八キロ程。下りはカーブから入るのに対し、上りはトンネルの出口から九百メートルほどの区間が左に緩やかにカーブしている。

 そのカーブ地帯に溜まった大量の霊を追っ払うのが今回の依頼内容だ。


 この依頼が初めて出されたのは今から十年以上前、トンネルのカーブでの交通事故が多発するようになり、依頼内容は、その原因の調査と排除となっている。

 報告書によると、原因はトンネル内に溜まった悪霊が引き起こした事故であるとされている。対処としてはトンネル内の『除霊』とカーブ付近に『悪霊除け』を施して依頼完了。

 その後、事故も極端に減り終わったかに思えたが、数年経って今度は何もないトンネル直線区間で原因不明の事故が起き始めた。

 すぐさま調査が行われ、トンネル直線区間に数万規模の大量の霊が集まっていることが判明。その多くが既に悪霊になりつつあり迅速な対応が要求されるも、悪霊が増えつつあるトンネル内での約七キロにわたる除霊作業は困難を極めた。

 だが、そこに突如、拡声器を片手に現れた『言霊使い』によって霊たちはトンネルの反対出口へ追い払われ事態は一気に終息した。

 後の周辺地域調査により、戦国時代の城跡や焼き場後の残るこの地域を、霊の集まりやすい場所と断定。悪霊除けは取り払われ、この場所を定期的に除霊する事を決定した。




◆◆◆



「聡にゃーーーん。こっち、こっち……」


 ……誰が聡にゃんだ。と、聡太は思った。


 聡太が集合場所の近くまで来ると、既に到着していたミィが大声で手を振ってきた。

 そして、そのミィの隣には大槌を担いだ大男が立っている。

 鎌鼬(かまいたち)戦の時に千影と一緒に駆け付けた男の方だ。女の方は言うまでもなくミィである。ミィはいつも相棒の男性とペアで依頼をこなしている。なので今日は三人での任務となる。


 大男は名を『大槌(おおつち) 堅吾(けんご)』と名乗った。それを聞いて聡太が驚いたのは、その肩に担ぐ鈍器と名字が同じだという点ではなく、中学時代の同級生の名前だったからだ。学校卒業以来だが面影はある。当時から大柄ではあったが更に大きくなったと聡太は思った。


 中学時代の大槌は、体が大きく喧嘩も強かったが、正義感が強く弱い者いじめをすることもなかったと思う。だが、その正義感故に起こす問題も多々耳にする事はあったが、人好きのする好青年で女子にもそこそこ人気があったと思う。誘われても不良グループに入らず一匹狼的な存在だったと、過去を振り返り聡太は思う。


 簡単な挨拶を交わすと、三人は現地へと向かった。


 聡太が「久しぶり」などと軽はずみな声を掛けなかったのは、大槌が自分の事を覚えていないだろうと思ったからだ。大きいだけで目立っていた大槌と比べ、聡太は目立たない生徒だったのだ。


 現地に到着すると、待っていた係員がトンネル内へと通じる非常用通路に案内してくれた。扉を開けてトンネル内へと一歩踏み出すと、同時に澱んだ空気が肌に纏わりついてくる。


「うへぇ、もう帰りたいニャ……」

「同感だ。とっとと片付けちまおう」


 問題のカーブ区間までは、まだ数百メートル歩く必要がある。鼻を摘み、嫌そうな顔をしているミィの腕を大槌が引っぱって歩き、聡太も後に続く。

 進みながら天井に設置された大型ファンを見上げる。

 トンネル内には排気ガスを外へと排出する為のファンが数か所設置してある。


「あそこから霊も一緒に吸い出してくれないかな」

「うんうん。あそこに聡にゃんを括りつけて、霊を誘き寄せるニャ?」

「本当にやりそうで怖いからやめてくれる? あと、石も飛んできそう……」


 聡太とミィのアホな会話を聞き、普段寡黙そうな大槌が笑いを堪え先頭を進んでいく。


 カーブ区間に辿り着くころには澱みは更に増し、天井付近に大量の霊が蠢いているのが遠目にもわかる。壁に目を向ければ無数のシミが歪んだ人の顔を形どり怨嗟の声を発している。


 ……気持ち悪い、吐きそう。


 幸い、聡太は付き添い見学という形で今回の依頼任務に参加させてもらっている身だ。最初は暫く見学して出来そうなら参加して貰ってもいいと言われている。

 それは、出来そうでなければ参加しなくてもいいという事でもあるので多少気が楽ではある。


 ……まずは、様子見だな。



 ミィは小さな箱の様な物を取り出し操作すると、周囲に簡易結界が張り巡らされる。



「さて、始めるか!」


 そう宣言すると、大槌はその手に持つ鈍器を大きく振りかぶった。

 戦闘開始!と言わんばかりに鈍器で壁を叩く音がトンネル全体へと響き渡る。




やっと戦闘開始ニャ。

次回タイトル『鈍器でも除霊できますか?』・・・ではないです。

シンプルに『トンネルの悪霊②』で勘弁してください、お願いしますm(__)m

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