4.『空間』貰ったは良いが、もう引き返せなくなっていっているような・・・
続きなので少し短めです。
「それで、結局千影さんの用って何だったの?」
「そういえば、わたしが君を呼んだのよね。忘れるところだったわ。ポイントはあまりお気に召さなかったみたいだけど、わたしからもう一つ、便利収納術式をブレゼントしておくわ。さすがに武器を持ち歩くとなると物騒だからね」
菜子が刃物をしまっている不思議空間の事だ。刃を持ち歩くようになってから、それなりに苦労を経験してきた身としては、便利に使える空間が持てるとすごく助かる。
いろいろな物をしまって持ち運べるという事は、新しい武器だけではなく保険として刃もいつも持ち歩けるし。依頼の時はお弁当や飲み物、寝袋に、テントに、バーベキューセット……おっと、いかいんいかん。レジャーを楽しむわけではないのだ。もっと気を引き締めねば……。
「千影さんありがとう。そのプレゼントすごく嬉しい!」
礼を言われるのが意外だったのか、一瞬、千影さんの表情が緩んだような気がしたがタブン気のせい、いや、気のせいじゃないな。この人すぐ表情にでるんだった。
さっそく設置しちゃうから、しばらく動かないでと言われ、座ってじっと待つ事、約五分。指を動かしたり何か呪文の様な物を唱えたり、最後は私の頭の上あたりで何やらやって「もう動いていいわよ」と言われたが、何をされたのかさっぱりわからなかった。ともあれ、これで私も今日から不思議空間使いになった。
不思議空間の構築には希少アイテムが使われていて、私が貰った広さは畳一畳分ほど。アイテムを増やせば空間を広げる事も可能らしい。
「ねぇ、空間って平面じゃないでしょ。高さってどのくらいあるの?」
「そうね、物干し竿を立てて、ギリギリ入らなかったから押入れの天井くらいの高さかな」
……こうして私は、押入れ空間使いとなった!
運用テストを兼ねて、もう調整が終わっているという私の新武器『飛剣』を仕舞ってみる。
「……おっ、はいった!」
十二本すべての飛剣と、取扱説明書と書かれた手書きの紙も一緒に仕舞う。この綺麗に揃った字は、千影さんではなく妹の陽葵さんのものだろう。
陽葵さんは戦闘はからっきしだが、武器の調整や新たな術式の構築などが得意らしい。
「武器の起動テストも、今日やっておきたいんだけど……」
程なくして菜子が帰ってきたので、式契約を執り行う。
意外とすぐに終わり、一体何が変わったのか分からなかったが、まぁ、そのうち分かるだろう。
◆◆◆
一足先に事務所を後にした私は、武器の起動テストを行なう為、石神神社に来ていた。
……さて、じゃあさっそく始めるか!
空間から『飛剣』を取り出し、先程読んだ説明書通りに動かしてみる。
十二本の飛剣が私の周囲に展開していく。
……おおっ、動いた。
飛剣が私を中心に円を描くように等間隔に広がり空中で停止する。
これが基本形態。攻撃に使用している飛剣以外は常にこの状態を維持し、外部からの攻撃を感知すると自動で防御してくれる。
万能ではないらしいが、常にすべての飛剣を私が操作する必要はなく、攻撃にも集中できる。
山歩きの時に樹里がつけてくれていた植物は、完璧に私を守り迎撃していたが、あれの劣化版だと思えば良いだろう。
防御は相手がいないと試せないので、今日は攻撃の方を少し試して終わりにする。
並んだ三つの的に三本の飛剣を同時に射出する。飛剣は真っ直ぐ飛んで行き、それぞれの的の中心を貫いた。その後、攻撃を終えて戻ってきた飛剣は、周囲に浮く飛剣の円の中へと加わった。
その結果に満足した私は、にんまりと微笑んだ。




