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神木の精と結界を守る鬼  作者: 貝石箱
第二章 山守一族と神の護り手
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17.大食の主(陸)


 ……まるで巨大なイノシシ??

 いや、あの特徴的な長い鼻は、ゾウなのか?

 しかし、バタバタさせることで体温調節するという大きな耳が無い。

 そして、なにより全体のフォルムはといえば、やっぱりイノシシなのだ。


 まぁ、よく考えてみれば、これまでの『獣』の中に真面に森の動物の姿をしたやつはいなかったな。

 シカも角10本あったし、サルも腕の本数が若干多かった気がする。


 要するにだ。この場所ではロケットのようにパンチを飛ばすウサギや、超神合体してバトルタヌキマンになるタヌキがいたとしても全然おかしくはないのだ。


 目の前の怪物も然り!!

 そういう訳なんで、ゾウイノシシと命名しよう。

 …………って、名前なんて考えてる場合じゃなかった。


 怪物は寝ているところを乱暴に起こされて大層ご立腹のようだ。


 まぁ、あの一撃で倒せるとは思っていなかったけどな。樹里としても蹴り起こすつもりだったんだろう。私としては一撃で仕留めてほしかったけどな。


 樹里の次の行動を見守るも、怪物と向き合ったまま動かない。相手の出方を待っているのだろうか。


 なんか、嫌な予感がする。

 『猪突猛進』これは、ただひたすら目標を目指し全力で突き進むという意味だが、イノシシと言えばその突進力に定評がある。人間が襲われて死亡したケースもあると聞く。

 そしてゾウ。踏みつぶす攻撃を連想しがちだが、ゾウの突進でバスやトラックを破壊したというニュースを何度も耳にしたことがある。

 そんな特徴を合わせたような怪物はゾウの大きさを遥かに超える。生き物の大きさとして想像できないサイズなのだ。

 その破壊力の凄まじさが容易に想像できてしまう。


 今更だけど、私、本当に樹里の後ろにいて平気なのだろうか?

 例えば、樹里はゾウイノシシの突進で吹っ飛ばされても平気な気がする。だが、私は……? 悪い予感というのは当たるもので……。


 樹里も何かを感じ取ったのか後方へとバックステップして――バフッ! 私の顔面に樹里の尻が見事にクリーンヒット。私は後ろに数メートル飛ばされてダウン。

 地面に後頭部を打ち付けて(こぶ)ができたが問題ない。問題なのは……

 ……こいつ、今、私が後ろにいる事を完全に忘れていたよな?


 気まずそうに振り返った樹里と一瞬だけ視線を交わすと、樹里はゾウイノシシに向かって両手を上げて構える。


 ゾウイノシシが動き出したのは、それとほぼ同時だった。


 地面を蹴り、突進してくる山のように巨大なゾウイノシシ。対して樹里は160cmくらいか? ぶつかればどちらが勝つか誰の目にも明らかだろう。

 自動車に()ねられても普通に死ねるのに、山に()ねられるという貴重な体験だけは是非ともご遠慮願いたいものだな。

 樹里はともかく私にはそのま即死体験になってしまいそうだ。


『儂が聡太を絶対に危険から守る!約束じゃ!』昨夜の樹里の言葉が頭をよぎる。


 だ、大丈夫かな? さっきのバックステップ。もしかして、樹里は一旦戦闘モードに入ると周囲が見えなくなるタイプなんじゃないだろうか。


――よぎる不安。


でも、さっき樹里なんか軟らかかったな。人生最後の思い出が樹里の……感触とか。うん、悪くないな。


――現実からの逃避、そして諦め。


……いや、違う。生きてさえいれば、さっきの感触をもう一度!いや、何度でも!…………頼む樹里!私はオマエを信じているからな!!


 その可能性に気付きつつも最後まで人任せな聡太であった。




 眼前に迫りくるゾウイノシシの牙。

 今、絶体絶命のピンチ…………かもしれない。


 そして……

――その瞬間、激しくぶつかり合う音がした直後、

 世界から全ての音が消失した。




 痛みも、跳ね飛ばされたという感覚もなにもなく、

 私はといえば、そのままの状態でそこに存在していた。

 感じる間もなく一瞬で死んでしまって、今あの世にいるという訳ではないだろう。

 恐る恐る樹里の方を見上げてみる。



 その光景は信じられないことに樹里が先程の場所を一歩も動くこともなく巨大な山の突進を受け止めていた。


 まるで足の裏に根が生えているかのようだ。

 いや、実際に生えているのかもしれない。

 それほどの非現実が目の前にあった。

 まるでアリがゾウの突進を止めたみたいな。


 最初、山のような怪物が向かってきた時はどうなることかと思ったが、さすが樹里というべきか、怪物の突進など物ともしていないようだ。

 この様子だと安心して観戦が出来そうだな。


 そう思って見ていると、樹里がこちらに振り返り言い放った。



「聡太っ、今じゃ!!」

「…えっ?……何が?」



 ……何が、今なの?? 逃げるなら今!って、言われているのではない事は理解できたけど……えっ!? もしかして私に攻撃をしろと!? 状況からしたらそんな感じだけど……いや、無理無理無理無理。私の攻撃なんて怪物に通用するわけないし……そんな期待の眼差しで見つめられても、私、何も出ないよ?

 それに、なんだか樹里さん余裕そうだし。


 せっかく来たんだし、せめて一撃くらい……とか、私そんな参加型のやつ期待していないから。ちゃちゃっと倒してくれて大丈夫だからな?



 ……すると、樹里の顔が次第に苦悶の表情へと変貌する。


「…くっ、は、はやく……するのじゃ!」

「いや、急にそんな苦しそうな演技したってバレバレだからなっ!」


 ……すると、わずかに樹里が押し込まれはじめた。


 あれっ?これはまさかの本気のやつなのか?


 一度は動きを止められたゾウイノシシだが、更に地面を蹴る事で押し込もうとしているようにもみえる。

 一方の樹里は演技なのかどうか判断がつかない。もし、これが演技じゃないとしたら躊躇している間にも状況が悪くなるのではないだろうか。


 よ、よしっ、こうなったら訓練の成果を存分に見せてやろうじゃないか!


 懐からすべての『石ころ』を取り出すと、それらを地面へとばら撒く。

 今日、持参したのが10個でシカに1個投げて紛失したので残りは9個。

 集中して、地面の『石ころ』9個すべてに対し力を行使する。すると、すべての『石ころ』が浮き上がり空中で静止する。


 これは通力の使い方を探る過程で発見した能力なのだが、シロによるとこの能力には通力とは別の力が作用しているらしい。その力とは何か?まぁ、心当たりがあるっちゃある。今朝、出かけ際にもチラッと考えたのだが、私にはおそらく、自分が名付けた相手の能力の一部が使えるのだと思う。

 何故使えるのか?それはわからないが、どうせ私の一族が関係しているのだろう。

 そして物を浮かせたり飛ばしたりするこの力は、まぎれもなくサワコさんの『浮遊』の能力だ。

 『通力』もおそらく石神様の力ではなくシロの能力の一部が使えたに過ぎないのだろう。石神様の力でないなら最初から咎められる理由も何も無かったのだ……たぶん。

 後は菜子の鬼の能力だけど一体何だろう?『憎まれ口』は能力とは言わないし、帰ったら本人に直接聞いてみるか。


 今はこっちに集中しないとな。


 空中で静止している石ころすべてに力を行使する。

 目標は、怪物ゾウイノシシ。

 狙いは……うん、特に狙う必要ないかな。目標が大きすぎる。

 よしっ!でわ、行きますか。


 いっけぇええっ、一斉掃射ぁあああああ!!!!!


 一斉に射出された9つの石ころすべてが弾丸となって飛んで行く。


…………って、あれっ?なんか、飛んでく速度やたらと速くない?

 訓練の時と比べて倍の速度出てる気がする。

 私ってば、今日たまたま絶好調な日なのかな??



注.書いててごちゃったので動物の名称をすべてカナにしておきますね。ごちゃったってなんだ?笑。


猪、象、鹿、猿、兎、狸...ete


途中で分けたので続きは近いうちに乗せると思いますノシ

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