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神木の精と結界を守る鬼  作者: 貝石箱
第二章 山守一族と神の護り手
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14.大食の主(参)


 道なき道を突き進む樹里の足取りは速い。

 まったく迷いがないといった感じである。


 なるほど、怪物の居場所がわかっているというのは本当らしい。

 まぁ、最初から疑っていたわけでは無いが、私にしてみれば、それは、確実に危険に近づいて行っているという事を差すわけで、何というか…………少し、樹里についてきたことを後悔し始めている。


 『ぽ〇ぽこ?』の里とやらを出発してかれこれ五時間ほど歩き続けているわけだが、正直、辛い、しんどい。もう歩けない。私の精神力と体力は既に限界に来ていた。


 一方の樹里は至って元気そうだ。疲れ知らずというか放っておけばこのまま何日でも歩き続けそうな様子である。


 まぁ、見た目通りの体力ではないのだろう。

 人を見た目で判断するわけでは無いが、そもそも樹里は人ではなく神なのだ。それもかなり美人さんの女神様だ。しかもスタイルも抜群に良くて……ぢゃなくって!! 結局何が言いたいかというと、神を人と同じ物差しで測るべきではないという事だ。

 そんな神様に遅れまいと必死に後ろをついて行っている私なわけだが、美人の女神様より先に根を上げても決して恥ずかしいことではないのだ。


 でもまぁ、だからといって、このような場所で休憩しようなどとは到底思えないのだが。


 なぜなら…………


 私は後ろを振り返るとその視界に映る光景に長嘆息する。


 やはり、これって樹里がやっているんだよなぁ。


 ……また一頭、触手のように伸びた蔦に捕まった大猿が肉片となって飛び散る。


 ここ数時間の間に、これもすっかり見慣れた光景になっていた。

 見慣れたからと言って決して平気になった訳ではない。実際、周囲に漂うむせる様な臭いと、内臓や体液が飛び散るスプラッタな光景を見ては、五回くらい嘔吐したし。


 出発前に私の事を絶対に守ると宣言した樹里だが、実際きちんと守ってくれているようだ。


 安全だとわかってからは安心して蔦に守られているわけだが、最初、横の茂みから鹿が頭を出して向かって来た時には本当に焦った。

 鹿といっても体は通常の三倍のサイズで頭の左右からそれぞれ十本以上の角を生やした鹿もどきだ。

 そいつが茂みから駆け出し、残り数メートルの距離まで詰めると跳躍して私に飛び掛かって来るまでがほんの一瞬の出来事である。


 この時、樹里から少し遅れて歩いていた為、頭をよぎったのはなぜか某ロールプレイでおなじみのシーン『おお、聡太よ。死んでしまうとは何事じゃ!!』と言う神父のコスプレをした樹里の姿だ。


 この身を危険に晒している時に変な想像してしまう私自身が可笑しくて、この時、気持ちに少し余裕が生まれたのだろうと思う。


 冷静に思考を巡らせる。

 このまま角で体を一突きされれれば、まず助からない。

 だが、今この瞬間をやり過すことが出来れば、後は樹里が何とかしてくれるはずだ。

 その為に私に何ができるか、どうすれば鹿もどきの角を躱せるかを考える。


 左右どちらかに飛ぶか?


 いや、だめだ。それだと私が動いた方向へ鹿もどきが頭を向けるだけで巨大な角から逃れられず一突きにされてしまうだろう。


 躱せないなら角を両手で掴んでみるとか?


 いやいや、相手は普通の三倍サイズの鹿なのだ。上手く掴めたとしてもそのまま押し込まれ串刺しにされてしまうだろう。


 それなら、こいつの出番だな。

 念の為に持ってきた物だが、持ってきて正解だったようだ。

 重たくて、途中何度捨てようと思った事か……


 懐に手を伸ばして、ソレを取り出す。

 取り出したのは『石ころ』だ。

 また懲りずに石ころな訳だが、前回他に適当なものが無くて石ころを武器にしたのとは違い、今回は敢えての石ころなのだ。


 それにはちゃんと理由がある。


 私に通力を授けたとされている神様、石神神社に祭られている石神様はおよそ百年前に遠く岐阜市から寄贈された石に宿る神様で、石との親和性が高い。

 親和性が高いという事は通力を使う際に石製品を使用すれば効果が高まるという事でもある。

 それなら、石製品で良いなら無理に『石ころ』である必要もない。

 他にもっと武器に適した物もあるだろう。

 だが、それでも敢えて『石ころ』なのは、単に私が未熟だからに他ならない。


 あれは数日前、シロのもとへ通力の使い方を教わりに行った時の事だ。

 とりあえず何でもいいから『力』を使って見せてくれと言われ、使い方がわからないから教わりに来たのだと答えると困った顔をされてしまった。

 通力を授かった直後から普通に扱えていたシロにしてみれば、私が力を出せないのではなくて上手に扱えないから教わりに来たのだと思っていたらしい。


 シロには私がどうして『力』が出せないのか皆目見当がつかないようだ。


 では、以前に石神様の通力を使った時の再現をしてみようという事になり『石ころ』を投げてみた。すると、『石ころ』は以前に鬼として現れた菜子にトドメの一撃をさした時さながらの勢いでシロの作り出した的に飛んで行き、その命中精度で、その威力でもって的の中心を見事に貫いた。


 なんか、『力』でちゃった訳だけど、どうしてだかわからない。


 わからないなら、今使える力を高めるところから始めようという事で訓練の結果少しだけ力も上がった。


 まぁ、以上の経緯から今の私には投石でしか通力を引き出せない事がわかってもらえたと思う。


 他にも『力』についてわかったことがいくつかあるが、もっと時間的な余裕のある時にまとめて話そうと思う。


 とにかく今は、コンマレイ一秒が惜しいのだっ!


 取り出した石ころを両手で構える。

 狙いは鹿もどきの目。気持ちを集中して握りしめた石ころに力を込める。

 力がこもる感覚はよくわからないが、練習で何度も何度も投げて来たのでその辺の心配はしていない。

 シロはイメージする力が大切なのだと言っていた。

 イメージ力で命中や速度、距離、貫通等の補正値が決定するのだそうだ。

 なので、より明確にイメージする。


 イメージ……

 石ころが鹿もどきの目に命中して、眼球が破裂して、そらへんに飛び散って…………って、もう無理グロいなこれ。


 なんとか集中力を保ちつつ、腕を振り、眼前へと迫る鹿もどきに向かって、石ころを投げつける。力が肩から腕そして指先へと伝わり解き放たれていく。


 指から離れた石ころは以前より増した速度で弾丸のように飛んで行った。

 狙いも正確の様だ。

 眼球の飛び散るところは見たくないが、まぁ、こういうのはそうそう上手くは行かないものだ。

 目の近くにでも命中して一瞬怯んでくれさえすればいい。

 それで十分時間が稼げるはずだ。




 果たして……


 それは絶望へと変わる瞬間だった。

 石ころを投げる私を冷静に見ていた鹿もどきが、頭を下げるとその軌道上に角を合わせてきたのだ。

 私の投げる石ころには命中補正なるものがあるらしいが、何分距離が近すぎる。


 ……だめだ! 角に弾かれる!!


「聡太ァー!!」


 樹里の声に反応して視線を移すと、視界に映ったのは、遠くから私に向けて手をさし伸ばす樹里の姿だった。


 それはまるで、届かないものに必死に手を伸ばしているかのような……


 私にはそう見えた。






久々に続きを書いたのですが、以前に自分がどういうふうな書き方をしていたのかよくわからなくなっていて、どうしようかと思いました笑。

今回すこし話がそれた感ありますが次はいよいよ怪物との戦闘ですかね?……多分ですが。

戦闘シーン、ノープランですが。まぁ、もともと大まかな話の流れしか考えてないので書きますよ。書けるかな?笑

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