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神木の精と結界を守る鬼  作者: 貝石箱
第二章 山守一族と神の護り手
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13.大食の主(弐)

本日二話投稿です。とはいえ、前話は以前に投稿してひっこめたやつですが…………


 目的地は、電車で二駅先まで行き、そこから山道を七、八キロ程登った辺りだ。そこに昨日の子供達の里があるらしい。

 そして、そこから更に山奥へと進んでいけば、問題の『怪物』がいるのだとか。周囲の物を食い散らかしながら里の方へと移動しているそいつを見つけて、大人しくさせれば今回のミッションはクリアだ。


 しかしながら、聞いた話だけではその怪物の大きさも移動速度も見当がつかず、差し引きあと二日ほどの距離を山奥を移動して探すにも、正確な方角がわからない。


 これは、索敵範囲を広げて歩き回って探す必要がありそうだな。


 そう思っていたが、樹里曰く、「本当にそのような化け物が暴れておるのなら、儂が行けばわかると思うぞ」との事。


 さすが頼もしい索敵役兼、戦闘要員だ。これは幸先良さそうだ。


 え!私?……私はただの観戦要員かな。



 だが、地図アプリの衛星写真で里を確認したところ、それらしき開けた場所はあるにはあるが、建物の影らしきものが一切見当たらない。


 うーん……これは一体どういう事だ?……巧妙に里が隠されているとか?


 ここ最近、身の回りでこうも立て続けに非現実を目の当たりにしていれば、この際、何か不思議な力で里が隠されていると言われても信じてしまいそうだ。


 まぁ、行って見ればわかるか。行って見て、何もなかったとしても、この辺では取れない薬草が群生しているかもしれないし……。




 菜子は仕事の為、今日は樹里と二人でのお出掛けだ。


「……じゃあ、サワコさん行ってくる」


 サワコさんに声を掛け家を出る。サワコさんというのは長年家に住み続けている家政婦さんの幽霊だ。以前消えそうだったのが噓のように、どうゆう訳か今では肌もツヤツヤだ。まぁ、ずっといてくれていいんだけどな。家も綺麗になるし。


 サワコさんは以前の名前を忘れてしまい何かと不便という事で私が名付けた。


 思えば、『シロ』『菜子』に続く三人目の名付け親になった訳だがどうゆう流れでそうなったのだったか?

 確か菜子が提案して樹里がそれに乗っかったんだ。だが、少し妙でもある。菜子に名付けた経緯に至っては自分で名前を付けてほしいと言ってきたのだ。


 シロの事もあるし私の体に何も影響がなきゃいいんだが……。


 こいつら絶対私に何か隠してやがる。すぐにでも問い詰めたいところではあるが、まぁ、出かけ際に聞く話でもないよな。


 駅まで三人で行き、そこで菜子と別れてから電車に乗り込む。


 樹里は「聡太と二人での電車旅行じゃ」とはしゃいでいたが、二駅だからな。15分ほどで目的の駅へと辿り着いた。



 電車を降りてしばらく進むと、山麓に人家が点在している。


 おっ、あそこ、何やら人が集まっているな。麓の住人なのだろう。老人達が焚火を囲って話をしている。少し異様な光景ではあったが少し情報収集でもしておくか。


 老人達に近づき話を聞いてみる。


「70年ここに住んでおるが、あの山に人が住んどるっちゅう話は聞いたことないのぅ」

「昔、山にはタヌキがおって、麓に下りては人を化かしておったそうじゃ」

「イモ、食うか?」

「タヌキに化かされたんちゃうんけ!」


 フム、麓の住人が里の存在を知らないのも妙だな。

 タヌキか……私も化かされたのだろうか。


 ちなみに、イモは有難く頂いておいた。住人たちにお礼を言い、歩きながら樹里とイモに噛り付く。


 やはり、この時期の焼き芋は最高に美味いな!


 後、私の名誉の為に言っておくが、決して焼き芋の匂いにつられて住人たちに近づいたわけではない、とだけ言っておこう。


 山裾の道をしばらく進むと登山道に出る。そこから山道を10分程歩くと何やら標識らしきものを発見。……『⇐ぽ〇ぽこ里』と書いてあるが、なんだこれ。

 道しるべ……で、合ってるか? 麓の住人たちの知らない里への案内板が、やたら真新しい木で立ててあるんだが……まるで昨日、今日立てたと言わんばかりに……。


 ……な?怪しいだろ? しかも、『ぽ〇ぽこ』って……今、私たちは現在進行形で化かされているのだろうか?


 だが、化かす為だけにわざわざ二駅先の民家を訪ねて来るだろうか?


 私と樹里は互いに視線を交え、共に頷く。よし!樹里も私と同じ意見みたいだな。私たちは登山道を外れ、案内板の指し示す獣道へと入っていった。


 ……え!?どうして喋らないのかって? だって口さんは今、焼き芋頬張るのに忙しいだろ?



 獣道は、普段あまり利用されていないらしく、しばらく行くと草が生い茂り、道も完全に途絶え、これ以上進めなくなってしまう。

 この辺りは辛うじてまだ携帯端末の電波が来ており、迷子になることこそないが、道なき道を進むのも骨が折れそうだ。

 そう思い、周囲を散策していると、目の前に『⇦ぽ〇ぽこ里』と書かれた立札が……。


 おかしいな、ここには確か草しか生えてなかったと思うんだが……まぁ、いいか。


 立札が指し示す方角へしばらく進むと再び獣道へと出る。

 そして、大量の落ち葉で道を見失えばまた立札があり、土砂で道が塞がってれば『まわれ道⇨』と書かれた岩があった。


 そんな事を何度か繰り返し、やがて……



 ……『ぽ〇ぽこ里へようこそ』


 と、大きく書かれた看板が視界に入ってくる。



「…どうやら着いたみたいだな」

「……着いたのぅ」


 看板の立っている場所まで坂道を上ると、かなり拓けた地形が広がっており、衛星写真で確認した場所に間違いなさそうだ。


 だが、やはりというか…………


「……見事に何もないのな」

「……ないのぅ」


 そんなオウム返しのようなやり取りをしながら周囲を散策する。


 昔、ここに集落があったのだと言われれば、あったのかもしれないが、実際、子供たちの言っていた里などないし、やはりタヌキに化かされたのだろうか? それならもう、ドッキリも成功したことだし姿を現せばいいのにな…………いや、樹里がこわくて出てこれないのか。


「……さて、どうすっかな」

「どうする……とは?」

「子供たちの里もなかったことだし、怪物だって本当にいるんだかどうだか……」

「いや、おるぞ!……怪物」


 ……え!?……そうなの?


「……マ、マジか!?」

「……マジじゃ!ここから先の山は(わし)の領域じゃからの。おそらく居場所もわかったぞ!さっそく向かうか?」


「お、おぅ、向かってくれ」


 ホント、役立たずの私がついてくる必要なかったんじゃなかろうか。


 私が一緒じゃないと樹里が頑張れないっていう話だったけど、なんか元気そうだし、もう一人でも平気なんじゃないの?

 私なんて山登りだけで、もうヘトヘトだよ。最近は家から一歩も出ない日だって結構あるくらいだよ?


 後、その怪物の移動速度がわからないから何とも言えないけど、約二日分くらいの距離が離れている訳だろ? それだけ離れてて樹里が感知できるって事は、それ程敵が大物って事なんじゃないの?そんな場所に私がついていって大丈夫?……死なない?


 そんな私の心配事などつゆ知らず、樹里は草をかき分け山の中へと突き進む。そして藪の中へ入ると完全に姿を見失ってしまう。


 ……はぐれてしまった。


 しかたない。『ぽ〇ぽこ里』とやらで帰りを待つか。そううち樹里が怪物とやらを倒して戻ってくるだろう。


 よし、そうしよう!



「……聡太!早く付いて来るのじゃ!」


 藪から顔だけ出した樹里がこちらに向かって叫ぶ。


 ……はいはい、行きますよ。

 行けばいいんでしょ、行けば……。




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