NO4 バ先
少しずつ世界観が固まってきました。
新宿駅の食堂街を抜け、地上に出る階段がある。
そこを登らずに脇の地下の道をまっすぐと進むと古びたドアがある。人によって見えるか見えないか分かれてくる。新宿の地下に運良く……いや運悪く取り残された人はまれにそのドアをくぐり抜ける事ができる。そしてドアの先にある少し湿っぽい通路を進むと活気のある屋台等が並んだ通りに出る。
そこの屋台は非常に活気があり、あちらこちらで元気のいい声が飛び交う、思わずその雰囲気に安心感からか笑顔が綻ぶ。しかし、売り物を売ってるのは妖怪であり、その姿に見慣れない人は綻んだ笑顔を戻さなければならない。
そしてその屋台を抜け地上に出る階段を登ると妖怪の行き交う町に変貌した新宿に出る。
その道をひたすら真っ直ぐ進んだ先に栄司のバイト先の温泉旅館がある。そのお店を仕切る人物は非常に頭が長い。古来よりぬらりひょんと言われ親しまれてきた人物である。栄司は自分が妖怪かどうか分からない年の時この街に迷い込んだ。そしてその時お世話になったのがぬらりひょんの「いとま」であった。
迷い子になり途方に暮れてた栄司にとって陽を昇らせてくれた人物である。自分の存在への疑問、つまり妖怪の血筋であるという事を魔法を半ば強制的に使わせることにより変化した瞳の色をもって証明してくれた。
栄司にとって恩人となった彼のもとで働きたいと思う事は至極当然であろう。
いとま、も最初のうちはいやがりはしたものの最終的にはその願いを受け入れてくれた。
ある晩、酔ったいとまは栄司にこんな事を言った。
「いいか、栄司。本来妖怪が人間の街をかっぽして歩き悪さをする百鬼夜行というのは、他の縄張りの妖怪どもに力を見せつけるためのものであって、決して人に不幸を与えるものではないのだ。それなのに異国の妖怪、……悪魔とか言ったかな?あれ魔物だっけかな?……まあいい、そいつらが来たら途端に百鬼夜行が悪の象徴になってしまった……。儂はこいつらをなんとかしたいのじゃ…。」
と言うと少し黙ったのちに
「そうじゃ!!組織を作るぞ!選りすぐりの妖怪達だけを集めて、そ奴らに人間の世界をパトロールしてもらう!!どうじゃどうじゃ!明暗じゃろ〜?」
「いとまっ。俺、俺それに入りたい!!入れろ!」
「何を言っとるんじゃ、おまえが戦力になるか!
ふんっ。まあいいじゃろー。席だけは準備しといてやろうかの…!そうじゃなー。組織の名前じゃがのう……。徒然奇譚の会ってのはどうじゃ?
表の活動は退屈な日常を嘆いてやまない人間達の奇妙な行動を話し合う会じゃ!ようするに暇つぶしの会じゃ!!」
「なんか、ピンとこない名前だけどまあいいっか。」
「うるさい小僧。ゴホンっ…そこでは、お前は0番目の会員という事になるな。それ以外の選りすぐりのメンバーは俺が決めるからお前は特に何もするな
もしも腕を磨いたのち儂がいいと見定めたら正式に0番目を名乗るがいい!!!」
酔った席とはいえこの言葉は栄司を強くするには充分すぎた。それ以降、魔法とは何かどういう原理なのか、いかに自然の気配を大切に感じるか等様々なものに触れ、学んだ。その結果中学に上がる頃には魔法の戦闘で栄司に敵うものは無くなった。もちろん人間との戦闘ではだが……。
そして徒然奇譚の会のメンバーの一員である。
細長いのが特徴の「もめん」と火を操る「ひょっとこ」との武者修行や妖怪との様々な戦闘を経て見事に氷魔法の真髄に辿り着いた。
そんなある日、
「ようぅし!今日からお前はゼロ番目の会員を正式に名乗って良い!!そして会員番号が上位の数名は虚の称号を与える!ようするに精鋭部隊じゃぁ!」
との許しを経て正式に徒然奇譚の会員になった。
バイトが終わり、いとまと栄司はある部屋に集まった。
「栄司。町に変なものがでたらしいのぅ、やつはどんな特徴であったか分かるか?」
「なんかね、普通のウォッカーより魔力濃度が高くて、意識なんてないはずなのに殺される間際涙を流していた……。つまり、感情があったんだ。」
「おい、いとま!ってことは、そいつ操り人じゃないか?って事はあいつらそろそろ来るのか?」
とその部屋に集まっていた茨木童子のわっぱが言った。
「少し早い気もするが、考えられるのはそんくらいだな…。」
ともめんが呟いた。すると、重い空気の中いとまが声を出した。
「うむ、、、。そのようじゃの…。みんな心して臨戦態勢を整えるんじゃ…」
一同「オオォオォ!」
なんとも不穏な空気が漂ってき始めましたね……。
新鮮な設定になるよう頑張ります!




