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ブラック・ハット 〜徒然奇譚(つれづれきたん)〜  作者: フラワダルマン
第1章
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NO.1 げんこつ

是非楽しんでください!




布団の上に寝ていた青年は定時に流れるように設定されてあるTVの音で意識を戻した。

「おはようございます。今朝の速報です。

昨夜未明、東京都世田谷区にあるマンション内の事務所で三名の遺体が発見されました。

警察は殺人とみて捜査を進めています。また現場に黒い帽子が残されていた事からブラック・ハットによる犯行だと思われます……殺された被害者の男性は…。」

寝ぼけたまま台所に立ち簡素な朝食を作る。

朝食に選んだウィンナーの味が、少し薄くなったような感覚がした。気のせいだろうか。

大学の講義のレポートを鞄に入れて

青年、金子 栄司は家を出た。

マンションの8階にある彼の部屋からも見える距離に大学はある。自分専用のデバイスで今日の予定を確認する。夜からバイトが入っている。

(うん、夜飯はまかないでなんとか済ませるか…昼飯は要らないな…。)

「ちょっと、金子様また昼食抜きですごすつもりなんすかぁー?そんなんだとすぐ身体壊しますよ!」

と栄司の横に飛んでいたフクロウのQDが話しかける。

「うるさいなー。寝付きが悪かったからな、あんまり食欲がないんだ…。」

「うるさいとはなんですか!毎回毎回!私だって私なりに…」

スッとヘルメットに備え付けのイヤホンの音量を上げて栄司は電動スケートボードにまたがる。腰につけた鈴がチリンと音を出す。

決して名探偵のある少年が使っているものほど速さが出るものではないが、それでも充分なスピードを出して車道を走らせる。


大学に入る手前でQDは何処かへと飛び立っていった。栄司は全く気にしない様子で教室に向かう。

少し急いだおかげで講義開始間際に席に座る事が出来た。



1限は[魔導工学の歴史]についてだ。

「前回の続きから話をします。魔導の真髄は魔法濃度の濃さによるものと先週話しましたが……」

先生の講義を聴きながら栄司は重力に負けて頭を机につけた。昨夜の疲れがまだとれていなかった。

そのまま景色はゆっくりと暗転していった。

意識が戻った時、周りは既に昼ご飯の準備をしてガヤガヤしていた。

「栄司ー!一緒にご飯食べよ!」

サヤ(霧ヶ峰 沙耶)がいつもと同じ様に声をかけてきた。内側に巻かれたロングの髪と今時のファッションに身を包んでいた。彼女と栄司は大学入学時に知り合った。

なんとも慣れない大学で迷子になっていた所に、同じ様に迷子になったサヤが声をかけてきてくれたのだ。なんというか妙な縁だ。

「なんだお前また寝てたのかー?、まあ来るだけマシだろうけどよ」

そしてサヤと同様にもう1人、遠藤 大貴も入学時たまたま隣の席でそのまま仲良くなった。

栄司は大学でよくこの2人とつるんでいる。


「なんだよ、また夜遅くまでバイトだったの?

御苦労なことで。」


「さっ、食べよ食べよ。わたしこの後、麗子と一緒にレポートやるから急いでるの!あっ栄司はうちのお弁当半分あげるから。」


麗子とはサヤと仲が良い他学科の女の子だ。そして恥ずかしい事に栄司はよくご飯をサヤから分けてもらっている。


「そーだ。いつも分けてあげてるんだから、1つ頼み事していい?」


突然のサヤの発言に日々の恩を返すべく頷いた。


「おう、いいよ。できる範囲の事なら。」


「今日さ、私の大好きなKKOのメンバーのナオト君の写真集が発売なんだけど!駅前の本屋に取りに行って欲しいんだよね!」


「………,。分かった。」


「なによ、その間。いーい?

傷とか付けたらご飯あげる回数減らすからね!」

「なんとしても、成し遂げます。」


人は食べ物には弱いのだ。仕方がない。


「お願いね!じゃあね!!」

とそう言ってサヤは用事に向かっていった。

「そういえば今朝のニュース見た?、また出たらしいよ謎の犯罪集団ブラックハット。やってる事は犯罪だけどなんかカッコいいよなー。」

大貴の言葉に少し耳を傾ける。少し鞄の中が動いた様な気がした。

「そうかー?あいつらのやってる事のどこがカッコいいんだよ?」

「何もわかってねえなー。いいか?

まず奴らは世の犯罪に裏の世界から制裁を加えてるんだよ!警察にはできない事を引き受けてるんだよ!そして噂によるとあの人達の強さはランキング的なもので表現されていて、上位の8人の人達を通称イマジナリーナンバーズって言うんだぜ?」

「なんとも厨二チックだな…」


頭を殴られた。


ブラックハット

メディアの報道によると、裏組織の重鎮や犯罪者、異常者等を裁くための組織であり謎に包まれた武力集団である。

組織の幹部は数字がつけられ、そのランクごとにその人の権限が決まってくるとのことだった。

彼らの詳細は謎に包まれている。


放課後になり、大貴と一緒に帰り支度を済ませた。

帰ってる最中、多数の警備用ロボが空を行き交っていた。

少し不安げに

「また…ウォッカーか」

と大貴が呟いた。

ウォッカーとは魔法の過剰な仕様により自我を失ったものの事だ。民衆を操って暴徒化したり、破壊行為を繰り返すため非常に危険視されている。

「じゃあな栄司、俺こっちだから。」

「おう、また明日な。」

大貴と別れた後、目的地である駅前の本屋で

無事写真集を買った。店員が男でよかった…。

店を出る直前。フードを深く被った。

なにか悪い予感がしての行動だった。

帰り道しばらく雑踏の中を進んだ。


何の変哲も無い帰り道だ。ただ一つ誰かに向けられている視線を除けば……。

読んでいただきありがとうございます。

この作品を通して私自身成長できるように精進して参りますのでなにとぞ今後ともよろしくお願いします!

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