隠される事実
少し投稿が遅くなりました。
最後まで読んでくだはれば幸いです。
ーーーーーー時間を少し逆戻りーーーーーー
サイレンを鳴らし裏路地へ向かうべく一台のパトカーが街を疾走している。
パトカーの中には二十代前半の二人の男の警察官が乗っている、一人は黒色の髪の男である、もう一人は髪の色が茶髪で前髪を分けている、もう一人の男よりは少し幼い印象を受ける。
「黒磐先輩、近々物騒ですね、この御時世にこんな大量殺人が起きるなんて……」茶髪の男は運転している黒髪の男に話しかける。
茶髪の男に呼ばれた男の名前は白岩陽治、三年前に警察官になり、次々に凶悪事件の犯人を逮捕し最近、巡査長にスピード昇進した。
そして茶髪の男は金澤優也、彼は陽治の始めての部下であり、陽治には可愛がられている。
「そうだな、第一発見者によるとあちこちを切断された男の死体が山のようにあったらしいな、犯人は本当に人間かどうか疑うレベルだ……」
「全くですね、どうします? 犯人が化物だったりして」
「まさかな、にしてもこの事件の凶悪犯は必ず捕まえなくては…」
陽治は強く胸に思う
しばらくパトカーを走らせその現場の裏路地へとつく。
辺りには自分達以外の警官達が先に来ていたようで既に数人の警察官が辺りを捜索していた。
「これはひどいな……」
陽治達の目の前には衝撃的な光景が広がる。
辺りにはバラバラに刻まれた男の死体がそこら中に広がり血の海を形成していた。
「やっときたか黒磐……」
陽治と優也の目の前に一人の中年の男がやって来る。
彼の名前は霧島弘文、陽治の先輩に辺り巡査部長である。
「霧島さん……いったいこれは?」
「とてもじゃないが人のできる事じゃねぇ、全く訳が分からねぇよ」
「確かにこれは人がやったとはおもえないですね……」
優也はボソリと呟く
「これは犯人を何がなんでも捕まえないと行けないな」
それから路地裏を捜索すると壁には何かをおもっいきりぶつかったような後がひとつ、同様の後が地面にもあった。
何よりも驚いたのが被害者の殺され方である、被害者の全ては首や四肢をまるでとても鋭利な糸鋸で切り裂かれたかのように綺麗に切断されていた、そこで問題は犯行に使われた凶器である、ナイフでも刀でもただの糸鋸でもこのような綺麗な切り傷にはならないからだ。
その後死体を全て死体運搬車で死体解剖医の元に運ぶことになったが10人そこそこの死体を運べるだけの死体運搬車が無かったため明日に回収ということになった、それまではこの裏路地は封鎖ということになった。
時間的には6時頃の日が傾いて来た頃
「おい、陽治」
霧島が陽治と優也に話しかけてくる。
「どうしたんですか? 霧島さん」
「この今段階の調査結果を捜索本部の方に優也と一緒に出しに行ってくれ」
そう言うと陽治に何枚かの書類を渡す。
「分かりました、それでは今すぐ行ってきます、行くぞ優也」
「はい、分かりました」
二人は路地裏を出てパトカーを停めていた道路の脇へと向かう、他にも何台ものパトカーが一列に並んでおり、その光景は異様そのものであった。
陽治と優也は自分達のパトカーに乗り込もうとしたとき歩道を歩く三人の十代くらいの男女三人が歩いていたのを陽治が見つける。
「おい、ちょと話を聞くぞ」
「はい、分かりましたよ」
陽治と優也は三人の男女にちかずき話しかける。
その三人の男女は一人は薄紫の髪の小学生程度の少女、もう一人の少女は十代中半程度で青色の髪、もう一人の少年も十代くらい出会った。
「すいません、少しお話聞かせて貰ってもいいですかね」
「はい、構いませんよ?」
青色の髪の少女が平然とした態度で答える。
「まずは名前を教えて貰ってもいいですかね」
優也が人当たりのいい笑顔で話しかける。
「私の名前は四季唱、それで隣のは妹の京香です」
陽治はメモ用紙にボールペンでメモを取る。
「それで隣の君は?」
「あっ、出雲湊です。」
「それで今そこで殺人事件があってさ、知ってることは無いかな?」
唱は驚いた様子で話しかけてくる
「殺人事件⁉ そんな事が近くであったんですか⁉」
唱は少し混乱しているようだったが近くで殺人事件があったと聞かされれば誰でもそうなるであろう。
「それで些細な事でもいいから何か会ったら教えてくれないかな?」
「そんな事を言われても何も分からないですね……」
「それで、そっちのきみは?」
「自分もよくは分からないです」
湊はボソッと答える
優也は気づいてはいないが陽治は湊の視線があちこちを泳いでいる事にきずく
「そうですか、捜査ご協力ありがとうございました」
陽治と優也は三人の事を尻目にパトカーへと戻る。
「おい、きずいたか? 」
パトカーへと乗り込むと陽治は優也へ語りかける。
「何がですか?」
何も分からなかったと言う様子の優也に対して陽治は呆れる。
「あの男の方だよ、目が完全に泳いでた」
「え⁉ てことはあの人たちが犯人ですか?」
「いや、何かを知ってるって感じだな……確かに突然警察に話しかけられたら戸惑うのも当然だが、あの目の泳ぎようは何かを知ってないとまずならない、だからと行って犯人って分けでも無さそうだしな」
陽治がペダルを踏むとパトカーはゆっくりと動き出す。
殺人現場から三十分程度、車を走らせたところにこの湊達の住む一宮市の警察署がある、警察署の中には既に路地裏大量殺人事件の捜査本部が既に設立されていた。
その捜査本部がある部屋の前に陽治と優也の姿があった。
「にしても、入るの緊張しますね……」
「そう言えば優也はこうゆう捜索本部に来るのは初めてか?」
「そうですね…」
「まぁ肩の力を抜いていけ」
陽治はそう言うと扉をあける
部屋の中は教室三つ分程度の部屋にオフィステーブルがところせましに並べられており、何人もの警察官が慌ただしく作業をしている、部屋の奥にはホワイトボードに何やら事件に関する様々な事がかかれていた。
陽治と優也はここで一番偉いと思われる人物の元へと向かう。
「一条警部、報告書をお渡しに来ました」
陽治は一条という五十路そこそこの男に報告書を渡す。
「嗚呼っありがとう」
一条は報告書を受けとるとため息をつき呆れた口調で口を開く。
「たっく、こんな忙しい時期に大量殺人なんてな……犯人も相当な野郎だぜぇ…」
一条は報告書をペラペラとめくり目を通す。
「何だって? 犯行に使われた凶器は不明……被害者は全員近くの三崎セラミック科学工場の従業員だったと……となると犯人は複数か……これは難事件入りしそうだな……」
一条は頭の後ろに手を回しかきむしる
「それでは私達は現場に戻るとします」
陽治と優也はその場を立ち去ろうとすると一条は引き止める。
「嗚呼っ待ってくれ、今人手が足りなくてな、悪いが君たちには本部の仕事に回って欲しいのだが……」
「しかし、私達は事件の書類のまとめ等の仕事はしたことが無いのですが……」
「いや、そういうのじゃなくてな、相当な人数が今この殺人事件に割かれてるわけで他の事件が発生したときのバックが少ないんだ……だから君たちにはそっちに回って欲しいのだが」
「そういうことならばおまかせください」
「頼んだぞ、君達は優秀な警察官だからな」
*
ーーーーーーそれから一週間ーーーーーー
時間は夜の九時、陽治と優也が警察署の休憩室で一服いれている時であった
霧島が陽治達の元へ訪れる
「どうしたんですか? 霧島さん、そんな暗いかおして……」
陽治は缶コーヒーを片手に喋りかける。
「それがな、路地裏殺人事件の事なんだが……捜査が打ち切りになった」
「どうして⁉ こんな凶悪事件をもう打ち切りですか⁉」
陽治は動揺を隠せない様子であった、普通、殺人事件の時効は25年である。それを捜査が始まって僅か一週間で打ちきりになったのである。
「俺も分からねぇ 上からの何らかの圧力がかかったとしか考えられねぇ……他の奴等も動揺してるさ…」
「そんな、俺は納得出来ません‼」
様子は打ちきりに納得できない様子であった、彼は正義感も強く、警察の仕事に対する熱意も人一倍であった、それゆえこの打ちきりと言う結果に納得できなかった。
「俺は一人でも、捜査を続けます」
「すまねぇな、俺は力にはなってやれない、家族がいるもんでな、余計なことして首にはなりたくはないんだ………」
「大丈夫です、霧島さんは俺たちより家族の心配をしてください」
「………すまない」
そう言うと霧島はその場を立ち去る
「……なぁ優也、俺はこれから被害者の勤め先である、工場に行ってくる」
「待ってください、今夜ですよ⁉ もう工場誰もいないですって、それにその工場は1度取り調べを行ったじゃないですか⁉」
確かにあの工場には二人の警察官が取り調べにいった、そこの工場長である三崎解と言う男が応じたらしいがそれ以外の情報は陽治たちには伝わってない、更にはそこへ行った警察官二人の行方が分からなくなっている、明らかにその工場に何かがあるのは素人でもわかる事である。
陽治は何も答えない
「……止めても行くんですよね? なら俺も連れてってください」
「……これは俺のわがままだ……お前を巻き込む分けにはいかない」
「そうですか……分かりましたよ、本当に貴方は頑固ですね」
優也は肩をすくめ呆れた様なそして何処か憧れているような複雑な眼差しで陽治を見つめる
「嗚呼 俺が帰ってきたら俺の奢りで飯でも食いでも行くか?」
「おっいいすね、楽しみにしてますよ」
陽治は手をふって見送る優也を尻目にその工場へと向かうべく警察署を後にした、(これが最後の捜査になるかもな……)そう心の中に思いながら。
陽治は一宮警察署から車で一時間程度の所にある工場にへとつく、
工場は大規模なものではなく中小企業の様な感じである、ボロボロのトタンでできた建物は工場と言うよりは廃倉庫の様に見える、体育館程度の大きさの建物の一角の窓から電気の光が零れている。
陽治は工場の駐車場に車を止める、夜空には自分をまるで祝福するように満点の星空が広がっている。
「とりあえず、灯りが付いているし、誰か人がいるようだな」
陽治はその倉庫の様な工場の出入り口と思われる扉の前に立ち尽くす。
(ここが入り口か?)
扉に手をかけると鈍い音をたて扉が開く。
陽治は躊躇することなく中へと突き進んでいく
辺りは暗く何も見えない、陽治はポケットから携帯用のライトを取り出し辺りを見渡す。
教室程度の部屋に石鹸やセメントを精製する機械やら何やらがずらりと並べられており、埃を被っている、長らくは使われてはいないのではないのか、と言う印象をうける。
陽治は奥へと進むと更に奥へと進む扉が目に飛び込む、扉の隙間からは光が漏れ出している、
(この先が明かりの付いている部屋か⁉ とりあえずきずかれないように行くか……)
陽治はライトの電気を消して扉をきずかれないようにソッと開く。
中はさっきまでの部屋と同じ様に教室程度の部屋に沢山の精製用の機械が並んでいるが部屋は灯りが灯っており明るい、そして何より腐った何か酷い臭いが立ち込めている、そして部屋の奥からは複数の人の話し声が聞こえる。
陽治はきずかれないように機械の物陰に隠れ奥の様子を見る。
「……何⁉」
陽治の目の前に衝撃的な光景が広がる。
12人の灰色の作業服を来た男達とそれのリーダー各らしきスカジャンを来た長身の男がいる、そして樽につめられ顔だけを樽から出している二人の警察官の死体があった、男たちは柄杓で樽の中から腐った肉が混ざった血をすくいそれを旨そうに飲んでいる、リーダー各らしき男は「あの糞野郎が、今度こそは殺してやる」などの愚痴を溢していた。
「お前ら何をしている‼ 殺人犯で逮捕する‼」
陽治はその残酷かつ凶器的な光景に耐えきれずその場を飛び出し男たちへ拳銃を向ける。
スカジャンを来たリーダー各らしき男はおもむろに口を開く、
「おいおい、もう一人旨そうな餌が来やがったな……今晩は御馳走だな、」
「三崎さん……俺に殺らせてくれよ……」
一人の男が前へとでる、
「いいぜ、殺れ」
「はいよ……」
そう言うとナイフを片手にその男はスタスタと歩き陽治へとちかずいてくる。
「お前‼ 止まらなければ撃つぞ‼ 止まれ‼」
男は忠告を無視する
(仕方がない……)
バァァン
身の危険を感じた、陽治は男の右足に一発の銃弾を撃ち込む、男は一瞬動きを止めるが何事も無かったように再び歩き出す。
「糞‼ 何だこいつ⁉ 仕方ない」
バァァン バァァン バァァン バァァン
陽治は男に四発の銃弾を浴びせる、弾は全てが命中した、一発は頭に、二発は胴体に、もう一発は右腕に当たる、銃弾を浴びた男はその場に倒れこむ、
「……殺ったか?」
しかし数秒後男は再び起き上がる、
「効かねぇなぁ……」
起き上がった男は走りだし陽治の腹部にナイフを突き刺す。
「グフゥ⁉」
ナイフが刺さった箇所からドバトバと赤い液体が溢れ出す。
「まだまだ、終わらねえよ‼」
男は透かさず凄まじい回し蹴りを食らわす、陽治は人間が出せるとは思えない威力の蹴りを喰らい数メートル吹き飛び、凄まじい音をたて扉のすぐ横の壁へと衝突する。
壁に衝突した陽治は口から吐血しその場に倒れる。
「お前……らは………いったい………なんなんだ?」
「俺等は只の吸血鬼だ、気にする必要はねぇよ、これから死ぬんだからな」
男は陽治へ止めを刺すため陽治の元へと向かう。
「ここに来たのが運の付きだったな……」
男はニタァと笑みを浮かべ、手刀を作り陽治の首筋めがけて振りかかろうととしたときだった。
扉を開けて一人の女性が姿を表す、年齢は二十代前半程度、いや、下手したらもう少し若いかも知れない、紺色の髪に、髪型はポニーテールでこめかみの両側から触角が垂れている、容姿はとても整った顔立ちで、そして両手には直刀を持っており、片方は黒光りしており、もう片方は白銀の輝きをまとっていた。
「おい吸血鬼共、お前らを殺しに来た………」
女は塵を見るような目で吸血鬼達を睨み付ける。
三崎は悔しそうな表情を浮かべると男に命令をくだす
「おい、この警官より先にあいつを殺れ」
男は舌打ちすると陽治に一言いい放った。
「お前を殺すのはあの女を殺してからにしてやるよ………にしてもあいつも旨そうだ」
男はそう言うと女に噛みつこうとする、
女は噛みつかれる直前に霧になり消える。
「何処へ行った?」
次の瞬間男の背後に突如としてその女が現れる、
「お前の後ろにいる……」
女はそう言うと黒色の直刀を首筋に突き刺す。
「黒炎……」女はそう呟き、直刀を抜く。
「ああぁぁぁ‼‼‼ 熱ぢぃぃい‼‼」
次の瞬間、男の体全体が黒色の炎で包まれ数秒間悶え苦しんだ後に灰になり消えて行く。
「お前は三崎解で間違いない様だな…」
女は表情を代えずに三崎に視点を会わせ一歩前へとふみでる。
「なるほど……単騎でこの三崎様に挑んで来た、愚かな狩人か……」
男は不適にケタケタ笑う。
「お前ら行け、相手は狩人とはいえ一人だ、集団で突っ込めば勝てるさ、」
しかし、先程の光景を見ていた彼等は誰ひとりとして動かなかった、いや、動けなかった、自分もあの様に成るのでは無いかと言う恐怖心からである、普通狩人と相対すれば、優れた装備や経験を持つ狩人が怪異達を一方的に虐殺する展開になる、三崎等の上位種の者達の様な例外もいるのだが。
「お前ら本当に使えねぇ‼ 雑魚は雑魚らしく縦になれっつーの、」
三崎は思いどうりに行かないもどかしさ等から相当イライラとしている様だ。
「そっちから来ないならこっちから行くぞ……」
女はポツリと呟き霧になり消える。
次の瞬間、一人の男の後ろに姿を表す。
白銀の直刀で男の首を跳ね落とす、男は首から血渋きを上げ地面にガクリ倒れる。
女はその勢いでその近くにいた、男の首を黒色の直刀で切り裂く、そうすると黒色の炎に包まれ焼け死んで行く。
「殺せ‼ 死にたく無ければこの女を早く殺せ‼」
一人の男が叫ぶ、その男の掛け声と共に数人の吸血鬼達が一斉に飛びかかった、何人かは恐怖心からか動かなかった者も数名いた。
「浄化……」
女はすかさず地面に白銀の直刀を突き刺す。
そうすると飛びかかった吸血鬼達は瞬く間に光の粉になる、光の粉になった吸血鬼出会ったものはしばらく空気中をさ迷い消えていった。
「化物が……‼」
その光景を見ていた一人の吸血鬼は、恐怖心に刈られ、殺した警察から奪ったであろう拳銃を懐から取り出し女に向かい乱射する。
「防御壁」
そう呟くと女の体を覆うように透明の膜に包まれる、銃弾が何発も当たるが全て、まるで厚い戦車の装甲板にあったた様に鋭い音をたて弾かれる。
「おぉぉぉぉぉ‼」
別の吸血鬼が背後から斧で女をたたき斬ろうとするが大きな鐘を棒で叩いた様な音をたて跳ね返される。
女は不適な笑みを浮かべその男を白銀の直刀で胴体を真っ二つに切り裂く。
すかさず拳銃を乱射してきた吸血鬼に霧になり消え背後に現れ、男を切り裂き殺す。
束の間にして辺りには死体が転がり落ち、辺りを真っ赤に染める血の色で染まっていた。
「後はお前だけだな……三崎……」
「雑魚を倒したくらいで調子に乗るんじゃねぇよ……」
三崎は苛立ち隠せない様子であった。
(三崎解……目標危険度A+2級の上位吸血鬼、鋼鉄のような固さに加え残虐性を兼ね備える、並の殲滅者では敵わないのも無理はない、けど私は違う……)
女は心の中でその様な事を考え直刀を構える。
三崎は女に飛びかかり、協力な蹴りを入れる、しかし女の回りに展開する透明の膜に防がれる、三崎はすかさずもう一撃蹴りを食らわす、そして何度も拳を降り下ろすがヒビすら入らない。
「何でだ⁉ お前はいったいなんなんだ⁉」
三崎は驚きを隠せなかった、今までの狩人達の防御魔法の大抵は三~四発の蹴りを食らわしてやれば突発することができた、しかしその女のそれはびくともしないのである。
「はぁ……」
女は溜め息をはく。
「A級の上位吸血鬼って聞いてたけど、これは予想以下……まぁいいや、どうせ殺す事には代わりはないし」
女は三崎に白銀の直刀を向ける。
「何だ⁉ 何をするつもりだ⁉」
「この白銀の剣…………魄白、殺した相手の魂を蓄積することができて、それをエネルギー源に放出することが出来る……ここまで言えば分かるでしょ?」
三崎に向けられた白銀の剣が少しずつ白色の光を帯はじめる。
「糞‼ こんな奴相手に出来るかよ⁉」
三崎は逃げようとその場を立ち去ろうとする。
「逃がさない………防御壁」
女がそう言うと部屋全体が女の回りを覆う膜と同様の物が部屋を覆う。
三崎は踏んだり蹴ったりして膜を壊そうとするがびくともしない。
「なぁ……ここは俺を見過ごしてはくれないか?」
三崎は恐怖で怯え、さっきの威勢が嘘の様に無くなり、ビクビクと体を震わせていた。
「貴方を見逃すメリットは? 見逃した所で私にはデメリットしかないのだけど」
「そ、そうだ‼ 他の奴等の情報を教えるってのはどうだ⁉ 例えば鎌鼬は⁉ 他にも色々いるぞ⁉」
「それで? 言いたいことはそれだけ?」
女は無情にも残酷に答える。
「待ってくれ‼ なら金はどうだ⁉ 持ってる全財産くれてやるよ、なぁ⁉」
「お金には興味はないわ」
女が三崎に向けた白銀の直刀の白色の光は更に光度が増して行く、バチバチと白い雷を帯はじめる。
「なぁ⁉ どうか命だけは⁉ お、お願いします、頼むからさぁ……頼むよぉ」
三崎は眼には涙を浮かべ表情はひきつっている。
三崎に向けられた白銀の直刀の先から雷にも似た白い光線が放たれる、放たれた光線は三崎に命中する、その光線は三崎の心臓の辺りを貫通し防御壁の張られた壁へと突き抜ける、防御壁は硝子が砕けた様な音をたて、容易く突き破られる、それと同時に壁に辺り、轟音をたて壁に大穴を開ける。
三崎は光線が心臓部に命中しその辺りに大穴を開け、血が滝の様に溢れ出している。
「……あ……あぁ………」
三崎は呻き声を上げその場に倒れる。
「さてと……」
女は一言呟くと壁にもたれかかってその光景をぼんやりと眺めていた陽治の元へと近寄る。
「ねぇ……まだ生きてる?」
「あんたは……何者だ? ………いったいなんなんだ?」
陽治は息も絶え絶えで女へ話しかける。
「別に知らなくてもいい……どうせここで会ったことは忘れるんだから、」
女は陽治のナイフが刺さり血を流している腹部を見つめる。
「にしても、酷い出血……放置したら死にそうね……」
女の両手に持つ二本の直刀は2つの宝石の様な綺麗な小石になる、女はその小石を懐にしまい、そして小瓶に入った緑色の薬品を取り出す。
女は陽治の腹部に刺さるナイフを抜き取ろうとする。
「おい‼ 何を⁉」
「ナイフを抜く……」
「おい馬鹿‼ そんなことしたら出血が………ッゥ………‼」
ナイフを抜いた傷口からは血が溢れ出す。
女は徐にその傷口に小瓶に入った薬品をかける。
そうすると傷口は見る見るうちに塞がっていく。
「え⁉ 傷が治った? これは……いったい……?」
「それで歩けるくらいには回復したわ……」
女は陽治に手を翳す。
女の手から青色の美しい六芒星の魔方陣のような物が展開される。
「精神魔方、忘却……気絶……」
女がそう呟くと魔方陣が少しずつ小さくなっていく。
「へ? 今何かしたか?」
女は何かしらしたようだが陽治の体には何も異変は起きなかった。
「何で………もしかして貴方………はぁ………」
女は深いため息を吐く。
「貴方、もしかして、人とは違うこと無かった? 人より怪我の治りが速かったりとか……人とは違う何か特別な能力とか?」
「嗚呼、昔から怪我の治りは速かったし、運動神経も人一倍良かった………それ以外はない………」
「まぁ、精神魔法が聞かないんだから、確定ね」
女は再び溜め息を吐く。
「一応少し長い付き合いに成りそうだから名前を教えとくわ……私は神崎麗乃、神崎でも麗乃でも何でもいいわ、」
「俺は黒岩陽治………それで麗乃はいったい何なんだ?」
「今はさっきの吸血鬼見たいな奴等を駆除する、業者だと思っていいわ」
「待ってくれ……全く、話の糸がわからないのだが……」
「この世にはさっきみたいな、人外の化物達が存在していてそれを秘密裏に駆除する秘密組織……アルフレッド……私はそこでの駆除係をやっているわ……殲滅者って呼ばれてる…………それで貴方には殲滅者になってもらうわ」