#4 B地区マーケット奪還 ー公園エリア②ー
1、3隊と2、3隊の混成チームで攻略を開始。
敷地が広大なため二手に分かれて行きたいところだが、万が一のことがない様敵を引きつける先行部隊と追撃部隊とに分ける。
幸いにもヘルの知能は高くない。
「まず並木道から攻める。この先にヘルが5体、その右手奥に3体、ヘルの中でも比較的弱いスライム型だ。先行部隊、手筈通り頼む。見えていないやつにも気をつけろ」
先行部隊隊長ドイルの指示で一斉に動き出す。
一気に一掃するには数が多いため、気づかれない様に近づき一体を倒して引く手筈だ。
スライム型は動きが遅く、万が一にも捕まらない限りやられることはないが、物理攻撃が効きづらい。
ジェル状の体の内側にある核まで攻撃を届ける純粋な力が有れば良いが、戦士以外ではなかなかそこまで攻撃を届かせることは難しい。
ドイルはパワー型の戦士。
身体の膂力に加え、魔力で力を増大して攻撃力を上げている。
「母なる大地の女神、ガイアよ。我に大いなる愛を。さすればまことしやかなる者に鉄槌を。包み込む地母神の愛」
ドイルの体が光り輝き、一気にスライム型のヘルとの距離を縮め、振り上げた大斧が天から地へと振り下ろされた。
ズドンッ!
!?
スライム一体が倒され、後にはヘドロが残り、周りのスライムが音の方へと集まり出した。
「来たぞ、引け!」
先行部隊は集まり始めたスライムがバラけない様に投擲で誘導を図る。
「こっちだ、こっち来やがれ!」
ゾロゾロとスライムが集まり、引き下がる先行部隊を追う形で並木道を一直線に移動し始めた。
よし、予定通り。
先行部隊が傍で待ち構える追撃部隊の横を通り過ぎる。
もう少し。
スライムは動きが遅いため、追撃部隊は息を殺し全てが通り過ぎるのを待つ。
1、2、3、4、5・・・
いまだ!
7体が通り過ぎたところで挟み撃ちに打って出る。
魔法型の戦士である二番隊副隊長テンが詠唱を始める。
「不浄な世に輝く燈よ、我が父プロメテウスの名の下にこの身を捧げよう。根源なる悪を討ち滅ぼしたまえ。滅火焔塵」
集まっていたスライムに唸る炎の渦が迫る。
不意打ちを受けたスライムは為す術なく溶け出し、一掃されていく。
「テン、飛ばしすぎないで。」
二番隊隊長のラシルが声を掛ける。
「まだまだ行けます。一気に行きましょう!」
「その〜・・・公園の木々に燃え移らない様に気をつけてね」
「は、はい!」
思わぬタイミングでラシルに注意を受けたテンは、バツが悪そうに向き直り一人反省するのであった。
「次行くぞ」
ドイルの掛け声と共にFehde一行が歩を進め始めた。