#3 B地区マーケット奪還 ー公園エリア①ー
B地区マーケットはかつて200ほどのショップが入ったショッピングモールを中心に、タワーマンションなどが建つ住居エリア、広大な敷地に並木道や噴水がある公園エリア、行政や学校と言った建物が集まる公共エリアで構成された再開発エリアだった。
古代の遺跡かのように建物は蔦に覆われ、緑が生い茂り、公園エリアは森の様に薄暗く、不気味ささえ感じられていた。
しかし、生活するため、文明を築くための要素が詰まったB地区マーケットを奪還することは、荒廃した世界でその日暮らしとなっていた日々からの脱却となり、安心して暮らせる地を手に入れられるかどうかの明暗を分けることに繋がる。
「まずは公園エリアからの攻略を開始する。視界は悪く、どこにヘルが潜んでいるか分からない。油断せず連携を取り合って一体一体確実に仕留め、ヘルどもを根絶やしにするんだ。」
各隊に緊張がはしる。
失敗できないプレッシャーのなかでのヘルとの総力戦。
撤退はあり得ない。
この地区を除き、1年間で周囲の食糧はそこを尽き掛けていたからだ。
安定した地を手にできれば、自給自足の基礎を作ることが可能かもしれない。
土に種、肥料や土を耕す道具など、ショッピングモールには全て揃っており、タワーや公共施設の建物は安眠できる要塞とすることができる。
作戦はこうだ。
敷地は広大だが一面だけの公園に一時的な攻略拠点を作り、次にショッピングモールを攻略。
そこで中長期の拠点を築いたのちに、建物の階数が低い公共エリア、そしてタワーマンションなどが建つ住居エリアでこの作戦が完了する。
もちろん電気など通っていない。上下階の移動は全て階段。
非戦闘員を含む20名足らずで一気に攻め落とせるはずもない。
総勢20名程度のFehdeにとっては一大作戦。
戦闘力の高い戦士はたったの4名。
あとは現代人よりは戦えると言った程度の異人と非戦闘員と言わざるを得ない現代人。
銃器でもあればまだ戦えたのかもしれないが、ここは元日本。
易々と手に入る代物ではない。
自衛隊の駐屯地には多数の銃火器はあっただろう。
しかし救助が来る気配はこれまでなかった。
日本は恐らく壊滅したのだ。
日本がこの有様で他国からの救助もない。と言うことは世界的に同様の事態なのだろう。
世界の終焉から1年経過してたどり着いた一つの予測。
あくまで経験、状況からの予測なため、外れてくれることを祈るばかり。
いよいよ歴史の1ページ目第一章公園攻略の始まりだ。