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イケメンさんの名前はアルヴァス・ハルバート・カイツァー。
順を追って説明するので、少し時間を頂きたい。
あのあと直ぐ、私は少しだけ冷静になったのか、彼を自宅へ招待した。
勿論、その場所から近かったことが大きい。
それ以外には、彼の服装がどう頑張ってもコスプレと言って誤魔化すしか方法がなかったためである。
私は家に招いてすぐ、彼からこの世界についての事を説明するように求められた。
「君の家がこの部屋のみで、この世界には魔法というものは存在せず、科学というものが世界を発展させているーーと」
「はい。仰る通りです。それにしても、見事に纏められましたね……」
長々とした内容になってしまったが、私の言葉でこの世界の事をアルヴァスさんに伝えた。
長さはだいたい30分くらい。
それを、1分も掛からないほどに短く纏めてしまった。
彼は頭も素晴らしく良かった。
少し考え込んだあと、アルヴァスさんはキリッとした御尊顔で私を見つめてきた。
照れる暇もなく彼は真剣な眼差しで話し出した。
「……私は行く宛もなく、頼るべき知人親類もいない。そこで、君に頼みたい。暫くの間、私を置いてはくれないだろうか」
「ーーは?」
思わず、素が出てしまった。
田舎出のちょっとだけお茶目な18歳。
日々、言葉には気を付けているが、たまに荒い言葉が出てしまう。
少し位は大目に見て欲しい。
「そうだな……。無償で置いてくれというのも可笑しな話だ。私にできることなら力になると誓おう」
そう言ってアルヴァスさんは胸に手を当て、少しだけ優しげに微笑んだ。
「は、はい!宜しくお願い致します!!!」
私は心の叫びを抑えながら。
更には涙を堪えながら。
アルヴァスさんに土下座をした。
私が顔を上げた後の彼は微妙な顔をしていたけれど、私の心はとても暖かかった。
ーーイケメンゲットだぜ!!!