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この春、田舎の実家から都会へと引っ越してきた。
大学に通うため。
それが一番の理由だけれど、それでも都会での暮らしに憧れる自分がいた。
「この世は地獄かな……」
夢見る少女だった私は、三か月後、地獄を見ていた。
どうしてもと親に頼み込んで、一人暮らしという自由を手に入れ、私はこれから素敵なキャンパスライフを過ごすのだと疑わなかった、あの頃の私を恨みたい。
「大学行って、バイト行って、買い物、洗濯と食器洗い。ほぼ毎日これの繰り返し。辛い。死にそう。もうやだ。たすけてヒーロー」
今まで家事のほとんどを母親にまかっせっきりの生活をしていたせいで、私は家事という一番の山に当たって砕けそうになっていた。
週3日のバイトの休みの日は、ほぼ平日。
私には休みが無かった。
体を休める日が切実に欲しい。
そんなことを考えながら大学からの帰り道をゆっくり歩いていた。
「今日も空は青かった……」
私の心とは裏腹に、清々しいほど晴れた空に、涙が出そうになる。
こんな日は楽をするに限る。
私は今日の夕飯をカップラーメンにすると決めた。
『……っ!…ど……だっ……う…っ!』
空から何か降ってくるのが見えた。
それは音を出しながら降って来ている。
最初はラジオかと思ったが、だんだん近付くにつれ、それが人かもしれないと思ってしまう。
人が空から降ってくるなんてありえないのに。
けれど、こんなときは当たってしまうものだ。
「そこをどけ!」
金髪、碧目が降ってきた。
彼氏のいない歴=年齢の私はこれを逃す手はないと思った。
空から降ってきたのだから、私が拾ったって良いじゃない。
私は可哀想なイケメンを拾おうと、手を伸ばした。
「さあ!私の元へ!!」
そのときの私は疲れていて、正常な判断が出来ていなかった。
空から降ってきたものを手で受け止めるなど小石でも難しいというのに、人を受け止めるなど無理な話だ。