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part2『よし、帰れ(前編)』

今日は休日でゆっくりと、ゴロゴロしながらゲームして好きなスナック菓子を食べながら好きなジュースを飲んで好きな音楽を聞きながら1日を凄そうと思ったんだけど……。


「……帰れ」


「良いでしょ?だって魁斗カイト……さんって一人暮らしでしょ?」


なんと、ヒーローが家に遊びに来ました。

新手の攻撃方法かな?


「……帰れ、今日は休日なんだから」


「えぇ、良いじゃん」


「……部屋に入って何をするんだ?」


絶対に部屋を散策とかされたくないから、とりあえず理由を聞いてさっさと追い返す事にした。


「……え?何……を?」


「理由が無いなら帰ってくれるか?」


「……暇だから?」


「駄目だ、帰ってくれ」


暇という理由で中に入れたら絶対にベッドの下や押入れの中を漁られそうで怖い。


「う〜、良いじゃん良いじゃん!」


「……暇以外の理由を言え」


「……じゃあ、一緒にゲームをしよう!うん、それが良い!」


「俺は一人プレイの物しか持ってない」


俺は基本的に1人でゲームがしたいので対戦や協力が出来るゲームを買ってない。


「……それじゃあ、私が料理を作って上げる」


ヒーローは誇らしげにしているが、俺には無意味だ……何故なら。


「ちょっと、待ってろ」


俺は部屋の中からとある物を持ってヒーローに見せる。


「ん?なんの賞状?これって……?」


「調理師免許を持っている人の為の賞状だ……しっかりとそこに名前が書いてあるだろ?」


「……本当だ、中山魁斗って書いてある」


俺はヒーローから、賞状を返して貰うとゆっくりとドアを閉めようとする。


「あ、こら!何勝手に閉めようとしているんだ!」


「……うるさいなぁ、お前の作る料理よりも俺の作る料理の方が美味しいって言う結果は出てるだろ?」


「あ、そうだ!部屋の片付けして上げる!うん、そうしよう」


「却下だ」


俺は部屋を荒らされたくないからな。


「それじゃ-」


「ファミレス行くか?」


「え?」


たぶん、これ以上この話し合いを続けてもこいつは帰らないと思う。

だから、気分だけ良くしてさっさと帰らせる。


「……え、良いの?」


「ちょっと、財布取って来るから待ってろ」


俺は部屋から財布を取って来ると、ファミレスまで歩いて行く。

ヒーローはしっかりと後ろをついてくる。

出来れば途中で帰って欲しいものだ。

それと、俺は外に出るとヒーローに対して敬語になってしまう。

1つの職業病って奴かな?慣れって恐ろしいですね。


「……さて、好きなもん頼んで良いですよ」


「それじゃ、お言葉に甘えて」


ヒーローは、すぐに店員を呼ぶ。


「はい、ご注文がお決まりになりましたか?」


「チョコレートパフェ1つ」


「俺は、コーヒーで後オレンジジュース1つ」


「はい、かしこまりました」


店員は注文を聞き終えるとさっさと厨房に戻って行く。


「あれ?コーヒー?オレンジジュース2つじゃないの?」


「あれ?ヒーローさんって……コーヒーしか飲まないのでは?」


俺は今日の仕返しも含め、この前の事での仕返しも含めて、ヒーローにいじわるをして見る。


「……え、え〜っと、うん!そうだよ!私はコーヒーしか飲まないんだよ!」


「それもブラックですよね?」


「……う、うん!そうだよ!私はブラックコーヒーしか飲まないんだよ!」


丁度タイミング良く店員さんがコーヒーとオレンジジュースを持ってくる。

俺はオレンジジュースを自分の所に、コーヒーをヒーローの前に置く。


「あ、砂糖とミルク入りませんよね?ブラックコーヒーしか飲まないのですから」


俺は、さっさと砂糖とミルクを回収する。


「え!?……うん、そ、そうだよ!私はブラックコーヒーしか飲まないんだよ!」


ヒーローは、じーっとコーヒーを眺めたまま固まっている。


「どうしたんですか?飲まないんですか?」


「…………」


「やっぱり、砂糖入ります?」


「いらない!」


ヒーローは、震える手でコーヒーカップに手を伸ばして、震える手で口に運ぶ。


「あ、俺はオレンジジュース飲みますね」


「え!?……どうぞ」


俺はゆっくりとオレンジジュースを飲もうとストローに口を近づける。

俺がストローに口を近づける度に、ヒーローの口から「あぅ」という声が聞こえる。

俺はそれを遊ぶかのように離して近づけるを繰り返していたら、とうとう半泣きになってしまった。


(……可愛い)


店員が来てチョコレートパフェを置いていくと、ヒーローの顔が笑顔に変わる。


(……かなり可愛い、やっぱり普通の女の子……何だな力さえ無ければ)


「ふふん、私はブラックコーヒーも飲めるしチョコレートパフェも嗜めるんだぞ?」


「へぇ……凄いっすね、苦〜いブラックコーヒーも飲めるし、甘〜いチョコレートパフェも嗜めるんですね」


「……うん」


「さぞかし甘いでしょうね、苦〜いブラックコーヒーを飲んだ後に食べる甘〜いチョコレートパフェは……」


「…………うん」


ヒーローは俯きながらじーっとブラックコーヒーを見ている。


「冷えますよ?コーヒー」


「私……熱いの苦手だから……」


「……ふ〜ん」


俺はさっさとオレンジジュースを飲み干す。


「さて、俺は帰りますね……代金はここに置いて置きますから」


俺は机に万札を1枚置いてその場を後にしようと立ち上がると、ヒーローの目から涙がぽたぽたと落ちていた。


「……どうしました?」


「ごめんなさい……ごめんなさい」


「急に謝らないでくださいよ……」


(……やべぇ、やりすぎた)


俺はため息をつくと、席に座るとブラックコーヒーを飲み干す。


「はぁ……さっさとパフェ食べ終えたら帰りますよ」


「……うん」


ヒーローはゆっくりとパフェを食べていく。

その間、俺はヒーローの前で持ってきた小説の読書を始める。

ヒーローはパフェを食べ終えるが、かなり落ち込んでいるようだ。


「さて、帰りますか……」


「ねぇ……」


「ん?どうしたんです?」


「何で……今日は私にパフェ……奢ってくれたの?」


「……それは」


(最初は機嫌を良くして帰らせようって思ったが、この前の事や今日の事で仕返しをしてしまったから、なんて言おう)


「……う〜ん」


「……ん?」


「気分ですね」


「休日でしょ?1週間に2日だけの」


「……は?」


「……え?」


「何を言っているんです?」


「あ……まさか、1週間に1日だけだった!?」


俺は呆れて1回ため息をついてしっかりと答える。


「……1週間に6日でしょ」


その後、ヒーローが俺の家に遊びに来ました。

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