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part1『よし、奇襲しよう』

ヒーローは男の子なら誰もが1度はなりたいと思った事があるだろう。

俺も大人になった今もなりたいと思っている。

ヒーローになってカッコイイ武器やカッコイイ必殺技で怪人共を圧倒的な力で倒すヒーローになりたいと思っていた。

もちろん、大人になった今ではヒーローになったら女の子達にモテモテにもなりたいと思っている。

だが、それはもう一生叶わないのだろう。

なぜなら……俺が怪人になってしまったから。


「おい、そこのお前正座を崩すな!」


「はい!すみません!」


現在は、ヒーローに秒殺で負けてお説教タイムになっている。

ちなみに、相手のヒーローは高校生ぐらいの女の子だ。

相手の服装は私服だけどね。

怪人《大人》が束に襲いかかっても呆気なくやられる程強い女の子です。


「だいたい……お前らは連携がなってないぞ」


「すみません、ヒーローさん……」


「ん?何だ?」


「連携をする前にやられたんですけど……」


先程も言ったが……秒殺されました。

出会い頭に俺が襲おうとしたらドカーンと1発の殴りで仲間諸共吹き飛ばされました。


「…………そこを頑張れよ」


「そこを頑張れよ……って奇襲かけても無理だったのに……」


「そうだな、今度からは奇襲かけられたら1度殴られてから本気で殴り返すか……」


「本気で殴り返す?今日みたいにですか?」


「いや?その倍以上でな」


「……は?」


倍?今日みたいに仲間含めて5人を吹き飛ばしたあの一撃が本気じゃないって事ですかね?それってモロにくらった俺が死ぬよね、絶対に死んじゃうよね!?


「あの倍は駄目ですよ!俺が死んじゃいますって!」


「いや、別に良いじゃん……テロリストだから国を征服しようとしてるんでしょ?世界征服をしようとしているんでしょ?」


「……それは、そうですけど。女の子が人殺しなんてね〜」


「「「「ね〜」」」」


仲間達が俺の言葉に相槌をいれてくれる、なんて頼りになる奴らだ。


「お前らのそこの連携腹立つな」


「連携だけは得意です」


「……褒めてねぇよ」


ヒーローは、自動販売機に金を入れて、ジュースを買おうとするが一番上のオレンジジュースのボタンにまで手が届かずに頑張って背伸びをして手を伸ばしている。


(先輩あれ……可愛いっすね)


後ろに正座をされていた俺の仲間が俺の耳元で囁く。


(一応、あれでも女の子なんだな……って、思うよな)


(そうっすね、あの力さえ無ければ普通の女の子って思いますもんね)


「おい」


「ひゃい!」


俺は急にヒーローに呼ばれたので変な声で返事をしてしまう。


(やべぇ……さっきの話し聞かれたか?)


俺はドキドキしながらヒーローの方を見る。


「私の身長ではあの大人のジュースに手が届かん、代わりに押してくれ」


「あ、はい」


(良かった、聞かれたかと思った……ふぅ)


俺はさっきまでヒーローが買おうとしていたオレンジジュースに手を伸ばそうとする。


「おい!」


「はい?」


俺は急に呼ばれたのでヒーローの方を見る。


「誰がオレンジジュースを買おうと思ったんだ?」


「え?ヒーローさんじゃ無いのですか?」


「……コーヒーだ」


「はい?」


「……ブラック……ブラックコーヒーだよ」


(この子は何を言っているんだ?さっきまで甘〜い甘〜いオレンジジュースを買おうとしてたじゃん……何?威厳でも保ちたいわけ?ヒーローとしての)


「飲めないからって俺に渡さないでくださいよ?」


「……〇すぞ?」


俺はヒーローとは思えない様な発言に脅されて渋々とブラックコーヒーのボタンを押す。ヒーローはさっさとブラックコーヒーを取って開けて飲む。

俺は、すぐに仲間全員分のオレンジジュースを買って仲間に渡す。


「「「「ありがとうございます!隊長!」」」」


そう言えば言い忘れてたけど俺は怪人の中で5番目に偉い怪人である。

特技は猫の声真似で、必殺技は猫の声真似をしたらそこらじゅうの猫が寄ってくるという技だ。


「……さてと」


俺は先程の位置に正座すると、ヒーローの前で仲間全員でオレンジジュースを飲み始める。


「いやぁ〜、オレンジジュースって上手いな〜」


「そうっすね、やっぱりコーヒーって苦いから僕苦手なんですよね」


「そうだよな〜」


「「「「「はっはっはっはっは!」」」」」


急に鈍い音と共に地面が揺れる。

俺達はゆっくりと音のする方を見ると、そこには般若の顔をしたヒーローが立っていた。


「コーヒーって大人の飲み物だよな?」


「……はい」


「お前らも大人だよな?」


「……はい」


「オレンジジュースなんかよりずっと美味しいよな?」


「……いいえ、違います」


「……〇すぞ?」


「……はい、オイシイデス」


このヒーロー、本当にヒーローなんだろうかって思う。

だけど、俺が持ってない物を持っているからな。


「あ、そろそろ、ヒーローさんは免許の更新でしたよね」


仲間の1人が急に思い出したかのように質問する。


「ん?そうだな」


「いやぁ、本当に凄いっすね。まだ、若いのにヒーロー免許証を持っているなんて」


そう、俺が持って無いのは、ヒーロー免許証だ。

俺も多少は力もあるし、そこら辺のヒーローぐらいなら軽々と倒せる。


「私は天才だからな」


俺も1回だけヒーロー免許証を取りに試験に行ったことがある。


「どうでした?ヒーロー試験って」


ヒーロー試験は地獄そのものだ。


「あぁ、筋肉ムキムキの男がズラーっといたな、全員ずっとマッスルポーズをしながら筋肉をチラ見せしてきてたな」


だって、筋肉ムキムキの男が俺に向かって筋肉を見せながら微笑むんだ。

そして、部屋の中は男の匂いで臭くって蒸し暑い状況で試験監督も筋肉ムキムキの男だから吐き気がしてすぐに帰った。


「いやぁ、気色悪いっすね、僕ならすぐに帰りますよ」


全くもってその通りだよ。


「私も近寄って来た男の腹を殴って対処していたからな、それをしてたら試験監督が合格をくれたよ……ラッキーだったな」


そのまま、試験落ちれば良かったのに、そしたら今頃は世界征服出来てたと思うのに。


「そう言えば、怪人の試験って何なんだ?怪人……の隊長さん?」


「……怪人の試験?そんなもんねぇよ?」


「……は?」


「怪人はとにかく人手が足りないからな、弱いやつでも強いやつでもとにかく欲しいんだよ……だから、こんな弱い奴らでも怪人になれる」


俺は後ろの仲間全員の方に親指を指す。


「……ふ〜ん、ところでそろそろ帰りたいんだけど良いかな?」


「あ、はい……どうぞ」


ここで、断ったら命の保証は無いと思う。


「それじゃ、帰ろうかな」


ヒーローは、スタスタと帰って行く。


「……ふぅ」


俺達はゆっくりと正座を解く。


「いだだだだだ!」


「ゆっくり伸ばさないと痛いぞ?」


「いやぁ、今回も負けましたね」


「そうだなぁ……」


俺はふらふらと立ち上がるとヒーローが立ってた所を見ると、コーヒーの缶が置かれてある。


(……空き缶を捨てろよなぁ)


俺は、コーヒー缶をゆっくりと拾うと、中にコーヒーが入ってるのが分かる。


(……全然飲んでねぇ)


俺は渋々とコーヒーを飲み干してゴミ箱に入れる。


「それじゃ、お前らお疲れさん」


「「「「はい、お疲れ様です!」」」」


俺達はその場を解散してそれぞれの帰路に向かって歩いて行く。

俺はふらふらになりながらもゆっくりと自宅まで歩いて行く。


(……今日の夕飯何にしようかな)


ちなみに、今日の夕飯は昨日の残りのカレーを食べました。

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