アルラウネさんは今日も水を散布する
お花にお水をあげましょう~
パンゲルア大陸の中央部、魔の密林。中心部から南に1000kmほどずれた所に私ことアルラウネのニーナは咲いている。
魔の密林の中央部は魔王さまの一人が治め、貴族として竜王さまのご子息(独り立ちで追い出されたそうだ)や、上級魔族の皆様が(有り余って捨てるしかない)魔力や(バカ)力でもって都市を築き政治を行い生活をしている。
魔の密林中央部は高度な(現存の人族最大規模国家 グリムリッツ皇国と比較して200年分くらい先を行く最先端技術の)超情報化未知社会。噂では聖地アキハ??とかって所から堕天した魔王様が整えたとかなんとか?よく知らないけど。
まーどうでもいいや。根っこ埋まってて動けないから魔都とか行けないし。
私の住居は森の中にぽっかり空いたフェアリーサークル200m四方。その中心に私は咲いている。
主な仕事は根を伸ばすことと周囲の草の世話。
最近根の方は世界樹の張り巡らしてる根に当たって先へ行けなくなったから世界樹の根っこに巻きついて上に登ってる途中。なかなか良い養分をお持ちで。テヘヘ
周囲の草は私から零れた養分(排泄物ではないわ)のおかげですくすくと育って所々で品種改良が行われている。
例えば人族がポーション?っていうのに使うヒールグラスという薬草。黄色い綺麗な小さい花が咲いてトゲトゲの葉っぱが付いてるんだけど。知ってるかな?
その子、今は紫の大輪の花(直径1m)が咲いて飛んできたハニビー(ハチ型魔物30cm毒持ち)を食べちゃってる。もしかしたらあの子も私みたいに思考とか持ってるのかしら?
例えは人族にとって猛毒って言われてるトリヨロイ。この子も綺麗な小さい白い花をたくさん咲かせるんだけど、今じゃ真っ赤な花弁を持ってる巨大輪(直径3mくらい)。時々ため息?っぽいのを光合成で吐き出して周囲の木々を腐らせて倒してるわ。頼もしい子ね。
今日もいつもと変わらず光合成をしつつ根っこを伸ばす。うーーーーん。二酸化炭素おいしいわ。
早朝の暑くなってない時間帯にお水(世界樹の根っこの下の方の水脈から取ってきた)まかなきゃねー。
鼻歌(呪歌)歌いながらお水を散布。歌魔法って便利よね~。声が届く範囲全域に効果あるんだもん。
半径100mくらいかしら。効果は外敵排除攻勢結界と成長促進と風魔法広域化。風に乗ってミスト状のお水が飛んでいくわ。ほら、まわりのお花さんたちも喜んでる。しゃぎゃぎゃーって。
3種類の魔法複合の歌って凄いのかしら?まぁどうでもいいわ。
その時でした。上空を北から飛んできた大きな物体が私の張った結界に触れたのは。
ぴっしゃーーーーん ズルズル ズルズルズル ズルズルズルズルズルズル ズズーーーン
あらまぁ。
上空に張ってた結界って頑丈ねー。
ドーム状になってた結界に沿って大きな物体、森の中に落ちちゃったわ。
低空飛行はバードストライクとか危ないのよねー。
がっぐぉぉぉぉぉぉん キュィィィィィィィィィ・・・・・・ン
さっきの物体かしら?
叫び声となにか高周波な音が聞こえるわね。
ぐぉおおおおぉぉぉん ぴしゃーーーーーーーーーーーん ぎゃぉぉぉぉぉぉぉ・・・・・・
うーん。多分だけど何か攻撃?っぽいことしたのかな?
攻勢結界で反射されて当たっちゃった?のかな?
まぁどうでもいいわ。
あの大きなのが生物だったとしてもし死んじゃってても養分になるでしょ。
生きててもどうせ私は動けないから助けに行きようもないし。行く気もないし。
それより私は私のお友達(話せるお花さん)が欲しいのよ。
そのために私はお花を育てるの。
アルラウネさん:ポッチ歴268年のポッチさん。生まれた時に森の中にフェアリーサークルが発生。当時は直径1mだった。年々周囲の樹木の根を侵食しサークルを広げる。日々根を張ることと友達作りの一環で歌魔法と水、風魔法、農耕魔法、結界魔法を習得。次期世界樹候補の一人であるが、本人にまったくその気はない。目標はポッチ卒業である。
結界にぶつかった大きい物体:次期竜王。口内より放たれるバーストブレスは当たれば一撃で竜王を屠れるほど。現竜王にハーレムの邪魔ということで放り出された所を異世界からの堕天魔王ユウトに拾われ、魔都アキバラにつれてこられた。150歳成人記念日に調子に乗って低空飛行で密林上空を高速飛行。以後消息不明。魔王による捜索隊が出たとか出てないとか。