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ショートショートの詰合せ  作者: 志操 友博


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92/100

タイムマシンでいこう

「やった! ついにタイムマシンが完成したぞ」


感涙にむせび泣く博士を、助手は誇らしげに眺めていた。


「やりましたね博士! まさか実現できるなんて、自分でも信じられません。

まずはどの時代に行きましょう?」


「うん、実は前から決めていたんだ。タイムマシンが完成したら、まずは1895年に行こうと」


「なぜその年なんですか?」


博士は一冊の本を取り出した。


「私の尊敬する作家、H・G・ウェルズが小説『タイムマシン』を発表した年なのだよ。私はこれを読んで、タイムマシンを発明しようと決意したのだ」


助手は再び感動した。


「素晴らしい! ぜひ行きましょう! ならば行くのは19世紀のロンドンですね」


二人はタイムマシンに乗り込んだ。


「ついに夢見たヴィクトリア朝のロンドンを、生で見ることができるのか」



「さあ、到着したぞ」


恐る恐るタイムマシンのドアを開け、二人はあっと驚いた。


目の前の世界は白黒だったのである。

それだけではない。人々の動きが妙に機敏なのだ。


「これはまるで……」


博士は手にしていたスマホで辺りを撮影してみた。


「こ、これはよく見る昔の映像そのものじゃないか!

まさかこの時代は本当に世界が白黒だったとでも? ましてや、人の動きが速いのはコマ数が少ないのではなく、本当に動きが速かったのか?」


「落ち着いてください博士! いま植木鉢を落とした老人がいましたが、その落ちる速度も速かったです」


二人は途方に暮れた。時々、視界にノイズが入る。

この時代は空間にノイズが入っていたとでもいうのか。


誰かに話しかけようとも声は聞こえない。

この時代はまだトーキーではないのだ。


絶望して、ただ時が過ぎていった。

日が暮れ、人々は家路につき、街は静かになった。

二人はただ、その様子を微動だにせず見届けていた。


すると突然、世界が色づき始めた。

二人は驚いて顔を見合わせると、再び世界は白黒になった。


(動くんじゃない)


いつしか声が出なくなっていた博士は、助手に合図した。

すると世界は再びカラーとなった。


(そうか。この時代は映像は白黒だが、カラー写真はあるんだ)


いよいよ恐ろしくなり、博士と助手はタイムマシンで現代へと急いだ。


「驚きました。なんだったんでしょう?」


「まったくわからん。時空か何かが歪んだとしか思えない」


「いやあ、当時は本当に世界が白黒だったのかと、一瞬思ってしまいましたよ。

でも現代なら気づきませんでしたね。映像も高画質で、見分けがつきません」


「さらに大昔に行っていたら、絵の世界だったかもしれないよ。いや、恐ろしい」



現代に戻り、二人は愕然とした。


動物がしゃべり、人が空を飛び、同じ顔の政治家があちこちで真逆の主張をしている。

UFOが空を飛び、一部の男女は顔の半分くらいが目となり、辺りの空間が歪んでいる。

人々はそれを互いに偽物だと罵り合っていた。


助手はポツンと呟いた。


「フェイク動画だ」


2025.12.31

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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