雨
雨にぬれる。
頭から。
つま先まで。
髪の毛から。
足の先まで。
靴の中に、雨が入る。
髪を伝って、雫になる。
ああ、なんて幸せだろう。
僕の体を、冷やしてくれる。
自分が、自分でないみたいに。
熱を奪って、冷めていく。
加速が止まり、静まっていく。
ああ、なんて寂しいことだろう。
君への熱も、冷めていく。
なんでこんなに熱かったのか。
なんでこんなに焦がれたのか。
一度の雨に打たれるだけで。
雫になって、流れていく。
僕の髪の毛から、抜け落ちていく。
僕から抜け落ちたものが。
僕の足元にたまっていく。
僕の足元にたまったものが、水たまりになったとして。
その水が、乾いてしまったら。
僕の熱は、どこへ行く。
空に昇って、雲になって。
また、僕に降り注ぐ。
そうしたら、僕はまた。
君を好きに、なれるから。
風邪などお引きになりませんように。