出会い
最近寒いですね…学校までの道のりが遠く感じます(T-T)
いつも通りの駄文ですが、読んでくれると嬉しいです。
「焔よ、我が魔力を糧にして燃え続けよ『炎獄』」
俺がそう詠唱した瞬間、青白い炎が周りを覆った。大体300meter先まで続いているだろうか、細長い通路を覆った炎は途中に居た魔物30体程を全て燃やし尽くした。
「…いや、『炎獄』って肉焼き魔法じゃなかったっけ?」
『なんで『炎獄』を肉を焼いていたんだ?まぁ、宮廷魔術師級が使っても精々500度が限界の使い勝手が悪い魔法なのは確かだが…。』
「宮廷魔術師ってそんなに強いのか?」
『何を言っているんだ?今のお前は宮廷魔術師の数百倍は強いぞ?レベルを上げたらお前はこの世界最強になる可能性すらあるくらいだ。』
まじか…俺は冷や汗をかきながら歩き続ける。端から見れば俺は、迷宮という、死と隣り合わせの危険な地で独り言を呟きながら歩いている奇妙な男だろう。まぁ、ここは殆ど到達者がいない迷宮深部だから、見ている人はまず居ないだろうが。それより会話で魔物をおびき寄せないように注意しなければならない。
レベルが上がって少し多くなったと言えど、俺のHPはたかが2500。ここの魔物が一撃で7000程食らわして来るらしい(魔王の『俺』談)ので、俺なんかはワンパンである。
『おい、俺。扉があるぞ。』
「宝箱か?」
『両方だ。』
両方と言うのは魔物と宝箱が一緒に在る、ということだ。こういう部屋にある宝箱は非常に豪華である。
今の俺は武器が無く、素手である。しかも、深部の宝箱は基本的に豪華であり、そこから導き出される結論は…
「よし、行こう!」
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魔物side
あぁ、暇だ。
何もない毎日。楽しみなど無い生活。
こんな日々が続くのなら戦いに明け暮れていた、あの時に戻りたい。
いつから、このように思えてきたのだろうか。きっかけは分かっている。
私は勇者に捨てられた。出会ったのは迷宮の中。魔物として駄目だと思っていたけど、一目惚れしてしまった。私は魔物だが、人間に角が生えたような容姿だ。だから、彼は私の事を見てくれる、思ってくれている、などとその時は思っていた。
彼は迷宮を攻略しようとしているらしい。だから、私は彼を取り囲む女の子達に負けないよう、迷宮の案内役を立候補した。そうすれば彼はもっと私のことを思ってくれる、そう考えて…。今思うと、当時の私は馬鹿だったと思う。人間と魔物の共存、そんなものは夢物語だ。
私は捨てられた。ボスから逃げるための囮として。私の初恋の人との別れは最悪のものだった。
あぁ、人が入ってきた。何年ぶりだろうか。
「あああぁぁぁぁ!!!!」
力任せに殴ろうとして、失敗した。私の拳が届く前に魔法を撃たれたのだ。私はごろごろと転がり、壁にぶつかって止まる。ここで初めて私は人を見た。そいつは一見少し格好いい、ただの男のように見えた。ただ、身に纏っている雰囲気がただ者ではないと告げていた。私はそのような雰囲気の方を一人だけ知っている。魔王だ。
「ひっ…」
つい、恐怖の声が漏れた。魔王相手に私は喧嘩を売ったのだ。ここで、終わるのか。そんな、諦めのような気持ちとは逆に、私の歯はカチカチと音を鳴らしている。
「おい、
魔王が口を開き、何かを言おうとした瞬間、私は気を失った。
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主人公side
「おい、
大丈夫か?と続けようとした瞬間、彼女は気を失った。
『…魔王の覇気に気がついたんだろう。気にするな、俺よ』
分かったよ、『俺』 心の中でそう続けて、俺は宝箱を開けた。
ギイィという、重厚音が部屋の中に響く。中に入っていたのは一振りの刀。
「へぇ、刀か。『ステータス』」
name:異世界の妖刀
rank:★★★★★☆
異世界発祥の武器。魔力を通すことで切れ味が大幅に上がる。大きさを変化させる事も可能。
ここに居た魔物の女の子は魔王の覇気?なるもので気を失っているし、ここで振り回しても大丈夫だろう。試しに刀に魔力を通してみる。
何の抵抗もなく、俺の魔力を吸収しまくった刀は紫のオーラを纏った。ヒュンと、軽く振り回しただけで風切り音がする。その時だった。
「ハックシュン!…あ…」
くしゃみが出たのは。振り回していた刀は俺の手から離れ、慣性の法則に従って迷宮の壁に刺さり、重力によって壁を切り裂きながら鉛直下向きに運動。そして、途中にあった自らの入っていた宝箱を真っ二つにしながら床に落ち、同時に紫のオーラが霧散した。
「……は?いやいやいやいや流石にこれはやばいでしょ!?」
最後の紫のオーラが霧散して、切れ味が低下したのは分かる。ただ、その前の光景が信じられなかった。俺の魔術にも耐えられる迷宮の壁が、豆腐のように切り裂かれたのだ。…刀恐い…。
『迷宮の壁を切り裂くか…。宝箱を切り裂いたのもそうだが、刀とは凄まじいな!』
「いや、こいつが異常なだけだから。こんなのがいっぱいあったら色々やばいわ!」
視線を感じて、ふと後ろを振り向く。そして、俺が見たのは…ドン引きしてる女の子の顔だった。
そう、俺達からすれば面白すぎるコントを繰り広げているつもりなのだが、端から見れば非常に痛い人なのだ。独り言を呟いて、時々何かに突っ込んでいる男…うん、かなり怪しい。こうして俺は心に絶大ダメージを負った。
暫くして、(その間に『俺痛い人説』の誤解を解いた)彼女は俺にこう言った。
「この迷宮を案内しましょうか?私はこの迷宮の攻略方法を知っているので。」
彼女の整った顔は、何故か笑い泣きのような表情で彩られていた。
ヒロイン候補?登場です。これからどうなるのか、作者にも分かりませんΣ(・ω・ノ)ノ