迷宮にて
久しぶりに書きました!
色々と忙しいです……。
稚拙な文章ですが、読んでもらえると嬉しいです。
極悪迷宮こと、『オレク迷宮』には様々の話が残っている。完全装備の軍隊が一週間で全滅した、とか一度入ったら出て来ることができない、とか…。崖の中腹で一方通行のワープゾーンが存在し、殆どの迷宮に共通する事だが入り口と、ちょうど半分の層、最奥層以外に出口が存在しないことなども「極悪」の名を付けられる理由になっている。
ただ、やはり自分の力に溺れた冒険者や、迷宮の神器と呼ばれる魔道具、武器を得るために軍隊を探索させる国などによって攻略が進められている。
俺は今なぜかゲームなどでよく見る迷宮っぽい所にいる。崖下りてたら目の前が真っ暗になって気付くとここにいた?意味分からん。
まぁ、暫くは食糧があるから動かずにここにいるべきなのかもしれないが、なんか嫌な予感もするし先に進もうかと思う。
こうして俺は迷宮を降りていった。まさかあんな事になるとは思わずに……………。
1時間はたっただろうか、体感時間では5時間ほどにも感じる。永遠と続くかと錯覚させる魔物との死闘に、俺はもう精神的にも肉体的にもぼろぼろだった。服は返り血で真っ赤に染まり、未だに自分の血で汚れ続けている有り様だ。
レベルは上がったが、立ち上がれないほどの疲れに負け、俺は意識を手放した。
目を覚ますと人、人、人。そして俺に向けられる槍、剣、杖……。そして、嘲笑の表情。
奴らは………あの憎い国の軍と、別の国の軍だった。多分帝国であろう、その軍隊も嘲笑しながら武器を向けてくる。
「お前がフトダだな?」
「なぜ俺に武器を向ける!?俺が何をしたんだ!?」
「当たりみたいだな。ここは無法地帯だ。これが意味することが分かるか?」
「ふざけるなっ!!なんでこんな事を!?」
「共同訓練だが?」
「は?」
「帝国軍との共同訓練の相手にお前が選ばれたんだよ。誇りに思え。んじゃ、訓練開始!!!」
同時に突き出される槍と剣を俺は転がることで回避する。殺意を持って振るわれるそれは死の恐怖を感じるには十分で………。転がった先には魔法による火や水、雷などが襲いかかり、俺はさらに転がることとなる。
「あいつ芋虫じゃねぇか。」
兵士が言う。それはあっという間に広まり、笑いの渦に包まれる。嘲笑、嘲笑、嘲笑。
そして俺が感じるのは憎しみ。憎悪。そして狂気。
何回転がっただろうか。笑いながら突き出される武器を転がって避ける。起き上がったらリンチされ、ひたすら転がさせられる。
憎悪は溜まり続け、ある一定の域まで到達する。
称号『全てを憎む者』を発動します。憎悪値あと5、4、3、2、1、0。 発動しました。
次の瞬間、俺の身体が赤黒いオーラに包まれる。そして剣を一振り。それだけで何人もが吹っ飛び、動かなくなる。
「何事だ!?気をつけろ!本気でいくぞ!」
魔法が轟音を吐き出しながら近くの壁にぶつかり、爆発するが剣を振ることで爆炎はかき消される。踏み込み。それだけで石で出来た床のタイルが吹き飛ぶ。そして目に見えないほどのスピードで剣を振る。後ろからの突きはジャンプし、壁を蹴って三角跳びをする事で回避。空中で剣を振る。剣を振り続ける。途中で仕切ってた奴、多分軍曹であろうそいつが逃げ出したのを見たが、放っておく。一人では生きられない。この迷宮はそんな所だ。気がつくと軍は全滅していた。
残るのは虚しさ。そしてつらさ。憎しみは残らない。少しも。恐れを感じるほどに……。
俺は軍を全滅させることでかなり上がったレベルを頼りに迷宮を歩き続ける。未だ虚しさを感じながら。