キュクロープスとの戦い
オーガと戦い、勝った日以降俺はひたすらオーガを狩り続けていた。レベルは27になり、ステータスもそこそこ上がった。この世界では剣術を習っていないが、剣道の応用でそこそこ剣の扱いにも慣れてきた。攻撃の避け方、いなし方もだ。もちろん、独学や応用の範囲なのでまだ足りないことも多いが…。しかし、いつまでもここで足を止めるわけにはいかない。冒険者ギルドに行って転職し、お金を稼ぎ、力を蓄えなければならない。だから今日キュクロープスを倒しにいこうと思う。
昼なのに薄暗く、不気味な森の中を歩くこと1時間少しで、俺があのとき戦ったキュクロープスの後ろ姿が見えてきた。即座に俺は詠唱を開始する。
「火の精霊、風の精霊に願う。我が魔力を糧として、彼の者を打ち倒す力を!『炎嵐!!』」
その瞬間赤い竜巻が俺の目の前に顕れ、かなりのスピードでキュクロープスを飲み込んだ!
竜巻に捕らわれたまま、動けないキュクロープスに俺は『焔矢』を打ち込んでいく。
…竜巻が消えた頃、そこには怒りと火傷で体を赤黒く染めたキュクロープスがいた。
「GUuooon!!!」かなりのダメージを食らっているはずのそいつは、そのことを感じさせないように大きく吠えた。とにかく、でかい。身体も武器も。武器なんかは棍棒ではなく、丸太だ。
救いが有るとしたらモーションもでかいことだろうか。気がつくと目の前にキュクロープスがいた。だいたい5メートルだろう、この距離は魔法が一番使いにくい距離だ。威力のある爆発系など使ったときには自分も巻き込まれるし、奴の体にそのまま叩き込む感じの魔法は距離が少し届かない。やむを得ず俺は剣を抜いた。
振り下ろされる棍棒は剣では受けれそうにないので、後方に跳躍することで避ける。振り下ろした直後に出来た隙を逃さず、腕を切り裂くが筋肉に阻まれて浅いところで刃は止まる。
無理に刃を押し込もうとせず、すぐに刃を抜き、キュクロープスの背後に移動。キュクロープスは苛ついたように棍棒を俺の方に投げるが、それを狙っていた俺は左斜め前に跳躍、そのまま地面に転がることで回避。
そして棍棒の持ち手に、料理するときに使う火の継続魔法の『加熱』を使った後、10本もの『焔矢』を目に放ちながらキュクロープスの背後に移動する。
奴は目の中に『焔矢』が刺さったようで、屈んだ体勢になっている。それを逃さず俺はキュクロープスの首に思いっきり剣を突き刺した。そして本気で逃げる。キュクロープスは瀕死になると魔法を使ってくるからだ。しかも何気に回復魔法を使いやがるのが鬱陶しかったりする。
回復魔法を使われては困るため、俺は少し距離が開いたのを良いことに『爆球』を使う。それも同時に5個。キュクロープスが魔法を使う動作に入ったのと同時に一気に地面に叩きつける。俺はその現象を知らなかったが、同じ位の威力の魔法がぶつかり合うとかなりの規模の爆発現象が生じる。かなりの熱量と同時に天をも揺るがすかのような轟音。結構近くでその音と衝撃波を浴びた俺は為すすべもなく吹っ飛ばされて木?にぶつかり、暫くの間気を失っていた。
どのくらいたっだろうか。もの凄く長い間気を失っていた気がする。嫌な夢を見たからだろう。親友だと思っていた人物に裏切られ嘲笑されて…最終的には皆どこかに行ってしまう、そんな夢。まるで今の俺だ。自虐的な思考になりながら俺は立ちあがった
。
嫌な汗をかきながら目を覚ました俺はふらつく足を無理やり動かしてキュクロープスがいた場所に移動する。そこには憤怒の表情で息絶えているキュクロープスがいた。そいつに俺は黙祷した後、森を抜けるために歩き出した。
この森にいるモンスターはキュクロープスを除いて3種類。猿のような体長2メートルほどのやつと、オーガ、蜘蛛を大きくして足の本数を2倍にしたようなやつだ。俺的には蜘蛛が一番強いような気がする。糸で拘束されたり、噛まれたり、足で叩き潰されかけたり…。できるだけ俺はそいつを避けている。
で、今俺の様子を見ている奴らが猿だ。なかなか賢い。腕の長さを生かした拘束や遠心力によるパンチなどが攻撃方法だ。相手が自分より弱いと思うと、今の俺に対する行動のように囲んで殴る蹴るを繰り返す。ひとまず俺は『焔矢』を右斜め前に飛ばした後、剣を腰から抜いて正面にいる一匹の顔目掛けて振りつつ、思いっきり前にジャンプすることで拘束しようとした奴から遠ざかる。ジャンプ中に剣を自分の正面に引き戻し、正面にいる怯んでいる奴の首に突き刺して思いっきり右に振るう。『焔矢』で燃えている奴を切り裂いた後前に転がることで囲まれることを回避。そして威力をそこそこ抑えた『爆球』を投下して殲滅。「グギャァ」「グギャァァァ」」俺を囲んで無かった猿達は逃げていくが、そいつらは追わず俺は歩き続ける。
何日たっだろうか。森を抜けた俺は崖のような場所に来ていた。この崖の向こうには町がある。しかし橋のようなものは無く、降りて登るしかないことは一目瞭然だった。幸いなのは崖の斜面がだいぶ緩やかな事だろうか。山登りの感覚で行けそうなその崖の向こうにある街に俺は浮かれながら下っていった。…その崖が「極悪迷宮」と呼ばれていることも知らずに…。
戦闘の描写がやはり難しい…