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身売りっ娘 俺がまとめて面倒見ますっ!  作者: エール
第16章(番外編) 花嫁達との絆
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番外編16-6 ユキとの絆

 最近、ユキ、ハルの双子の成長が目覚ましい。


 最初にこの二人と出会ったとき、彼女たちはまだ満年齢で十三歳だった。

 あれから三年弱の年月が流れ、彼女たちは十六歳となった。


 そしてこの日は、ユキが『嫁』の日だった。

 彼女と二人っきりで、一夜を過ごすのだ。


 これまでも一週間から二週間に一回ぐらいの割合でユキと一緒に過ごしてきたが、一度も手を出したことは無かった。


 それは、十三歳の頃から彼女を見てきて、まだ早い、という思いと、娘か、妹のような感情を持ってしまっていたために、手を出しづらいというのが本音だったのだが。


 しかし、この時代において満十六歳ということは、もう十分に一人前の大人だ。

 それどころか、現代においても義務教育は卒業し、法律上、結婚も可能な年齢なのだ。


 まあ、実際にこの時代においては、俺にとって正式な嫁の一人なのだが……。


 最近のユキは、三年前とは異なり、『かわいらしい女の子』から、とんでもない美少女に成長してしまっていた。


 背も伸びて、いつの間にか優を追い越している。

 胸も大きくなり、『大人の体』へと成長していて、一緒に風呂に入っていて、目のやり場に困るほど。


 さらに、以前とは違い、恥じらいを持つようになっていて、俺の視線に気付くと、ちょっと赤くなりながら隠す仕草まで見せるのだ。


 それでいて、これは以前からなのだが、ユキは嫁の中で唯一、俺に対して完全タメ口だ。


「……タク、なんか最近、前よりよそよそしいね……何か、隠してる?」


 一緒に湯船に浸かりながらそんな口調で聞かれると、ドキッとしてしまう。


「そうか? 一緒だと思うけど」


「……やっぱり、何か隠してるね……ちゃんと言ってくれないと、私、拗ねちゃうよ……」


 そんな小悪魔的なことを言うユキに、ますますはまってしまう。


 優が完璧な理想の『嫁』なのに対して、ユキは最も現代風の『彼女』なのかもしれない……と、そんな事を考えながら、一緒の床についた。


 この日も、まあ、今までの流れ通り、ただ一緒に朝まで隣で寝るだけになるのかな……そんなふうに思っていた時だった。


「ねえ、タク……私、他の人のところに、お嫁に出されるの?」


「……へっ?」


 予想外の問いに、俺はすっとんきょうな声を出してしまった。


「……なんか、私がタクになんにもされないの、ひょっとしたら本当の嫁とは認められていなくて……何かの交渉材料として、別の人のところに預けられたり、売られたりする為かもしれないって……」


「……ばかな、そんな事あるわけない! 誰がそんなデタラメを言ってるんだ!」


 自分でもめずらしく、ムキになって言ってしまった。


「……誰っていうか、私とハルちゃんで悩みを話し合っただけだよ」


「……ハルと? そっか……うん、ハルにも何にもしてないからな……けど、だったらそんな事、絶対にないよ。その……ユキを、手放したくないから……」


 この時、俺は感じたことを、そのまま素直に言葉に出した。

 今の話を聞いて、ユキのこと、あらためて独占したいと思ってしまったのだ……他に五人も嫁がいながら、だ。


 けど、それぐらい彼女の事を大事に思っていたし、今まで共に苦労をしてきたことで強い絆で結ばれていたし……なにより、本当にユキのこと、好きになっていた。


「……じゃあ、私の事……ユウ姉みたいに、愛してくれる?」


「ああ、もちろん」


 俺がそう言うと、彼女は、俺に抱きついて来た。


 ドクン、と、大きく鼓動が高鳴った。

 今までの、父親に対するような子供っぽい抱きつき方ではない……ユキの決意が伝わるようだった。


 俺も、そっとその肩を抱き寄せた。


「……ユキ、本当に大人になったな……奇麗になったし、色気も出てきた……」


「……うん、ありがと……私、これでもタクに認めてもらいたくて、頑張ってきたから……」


 本当に彼女は、一生懸命に努力していた。


 姉であるナツに料理をみっちり教えられ、その実力も、新しく『のれん分け』した店を出したとして、新料理長として十分やっていけるぐらいに成長している。


 物事に対する考え方も、ずいぶん大人のそれになってきているし、『愛して欲しい』なんてセリフが使えるようにもなっていた。


 ……そっと、唇を重ねた。


 実は今までも、キスしたことがあったが……今夜は、大人のそれだった。


「……口づけの仕方、誰かに教わったのか?」


「……ちょっと聞いた事はあったけど、タクの事、大好きだから、ずっと長くしていたいって思って……これで良かったのかな?」


「ああ……俺も嬉しいよ……」


 いつの間にか、こんな場面でも気遣いができるようになっていた。

 もうユキは、一人前の大人の女性……。


 その事が、嬉しくもあり、そして少しだけ寂しさもあった。


 時の流れは、少女を美しく成長させる。


 その事を実感し、そしてユキを一人の女性と感じ取って……彼女の思いを受け止めて、俺は、ユキが唯一纏っていた薄い襦袢を脱がせた――。


……。

…………。

……………………。


 ――全てが終わった後、ユキはまた、俺に抱きついていた。


 辛かったのではないか、と思ったが、彼女は涙を浮かべながらも笑顔だった。


「……やっと、思いが通じたね……大人になれた……大好き、タク……」


 ユキはそう言って、俺の頬にキスをし、そしてまたずっと俺に肌を触れ合わせていた。


 人生の中でも、そう何度もない、最大限の幸せを感じた夜。


 いつの間にか眠ってしまった彼女の美しい顔を眺めながら、今後も、ずっとずっと、ユキのことも大事に、大事に守っていこうと、俺は決意を新たにしたのだった――。

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