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身売りっ娘 俺がまとめて面倒見ますっ!  作者: エール
第11章 優の妊娠?
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第百六十四話 (番外編) 妹の初恋

 俺の両親への挨拶と妊娠の報告を済ませた優は、翌日、江戸時代へと帰った。


 俺も送っていったのだが、こちらでは高校の授業があるため、とんぼ返りだった。


 その日の夕方、妹のアキが、リビングでぽけーっとテレビのニュースを見ていたが、アナウンサーの言葉はあまり耳に入っていないようだ。

 母は買い物に出かけていて、俺とアキの二人きりだった。


「どうしたんだ、アキ。心ここにあらず、って感じだな」


「うん……お兄ちゃんと優さん、いいなあって思って」


「そうか? うん、まあ……そう言ってもらえると嬉しいけど。おまえも彼氏とか、いないのか? 結構もてるっていう話じゃないか」


「うん、たまに告白されたりしたことはあるけど……仲の良い友達っていう感じで、恋人としては付き合うところまでいかなくて……」


 めずらしく、恋愛について真剣に悩んでいるようだ。


「そうか……まあ、あせらなくても良いんじゃないか? 好きな人とか、いないんだろう?」


「……」


 なぜか返事が返ってこない。


「……好きな人、いるのか?」


「好きな人って言うか……また会いたいなって思う人はいるんだけどね……でも、たぶん……ううん、絶対無理」


 妹にそんな男がいるなんて考えたこともなかったので、なぜか俺はちょっとあせった。


「絶対っていうことはないだろう……あ、ひょっとして芸能界の誰か、とか? いや、もう一度っていうことは、前にあった事がある人だな……年上なのか?」


「うん。たぶん、二十代前半ぐらい、かな?」


「なっ……それって、犯罪じゃないのか?」


 また焦って、ちょっと変な事言ってしまった。

 アキはまだ十六歳だから、二十代の大人と付き合うと、青少年なんとか条例に引っかかる可能性があると思ったのだ。


「犯罪って、別にそういう関係になったりしてないよ。ただ、私が困っているときにとても親切に、優しく接してくれたっていうだけ。それに……カッコ良かったなあ……」


 と、うっとりした顔になっている。


 これは、まずい。

 もしその男と再会して誘われでもしたら、あっけなく陥落してしまう可能性がある。


 俺はゴクリ、と唾を飲んだ。


「その……相手って、会社員か何かか?」


「ううん、そうじゃないけど……でも、ちゃんと働いてて、若いのにかなり上の役職の人だったよ」


 もう完全に大人じゃないか!

 でも、話を聞く限り、アキは相手にされていないのか……。


「へ、へえ……俺もその人と会ってみたいな」


 なんとか会話をつなごうという思いと、アキが好きなのはどんな人だろうなって思いで、ついそんな質問になってしまった。


「……お兄ちゃんも、会ったことある人だよ?」


「へ? 俺が? 二十代前半で、カッコ良くて、管理職で……そんな人、心あたりが……あっ!」


 と、ここでたった一人だけ、思い当たる人物が頭の中に浮かんだ。


「ひょっとして、江戸時代、明炎大社の宮司代理……」


 と俺がそう口にすると、アキは顔を赤らめ、ぷいっとそっぽを向いてしまった。


「なるほど、確かにイケメンだし、俺達を現代に返すために協力もしてくれたし……突然現れたおまえを大切に扱ってくれたんだったな。なるほど、分かるような気もする……」


「でしょう!?」


 アキは嬉しそうに再びこちらに視線を戻した。


「……けど、そうなると難しいな……時空の壁を越えなきゃならないから、遠距離恋愛どころの話じゃない。俺や優みたいにラプターが使えるなら別だけど……優といっしょになら……いや、また事故になったら取り返しがつかないしな……」


 俺がぶつぶつ言いながらなんとかしてやれないか考えていると、


「……いいよ、お兄ちゃん。さっきも言ったように、『いいな』って思っているだけで、『ラプター』があっても恋愛になるとは思えないし。だいたい、光宗様は私に同情はしてくれていたけど、それ以上の感情が無かったの分かっているし。お兄ちゃんが真剣に相談に乗ってくれただけで、嬉しいよ」


 と、微妙な笑顔を浮かべてそう言ってくれた。


「……それに、どのみち恋愛禁止だし」


「恋愛禁止? そんな、アイドルグループみたいな……って、ひょっとして……」


「うん、今年もコンテストに応募したの。去年は最終選考で落ちちゃったから、今年は一次で落とされるかなって思ったけど、アイドル部門と女優部門の二つで通ったよ」


 今度は満面の笑みで嬉しそうに話した。


「女優部門? それだったら、ある意味去年よりすごいじゃないか」


「うん。写メ何枚か送ったんだけど、表情が豊かだって、褒められたよ」


 確かにアキは、喜怒哀楽の差が激しく、表情がころころ変わる。それを自然に表現できるのが女優の条件の一つなのだろうが、それだけで演技が上手くなるとは思えないのだが……まだ一次だ、そこまでは見てないのだろう。


「一次審査って、競争率、どのぐらいなんだ?」


「えっと、今年は十五倍……だったかな?」


「十五倍? 一次でそんなにあるのか?」


「去年は二次も通ったじゃない。その時は全応募数からすると、百倍超えてたんだからね」


 妹がちょっと呆れたように話した。

 うーん……アキって、そんなにかわいいのかな……。


「だから、どのみち恋愛は封印しなきゃダメなの……ま、片思いなら大丈夫だけどね。私は私で頑張るから……お兄ちゃん、絶対に優さんと、赤ちゃんのこと、幸せにしてあげてね」


「あ、ああ……ありがとう……」


 なんか、励ますつもりが逆に励まされてしまった。


 ちょっとずつだけど、アキは確実に大人になってきている。

 そして今、恋愛感情を封印して、自分の夢の実現目指して努力している。


 なんか、負けていられないな、と感じたし、心から応援してあげたいな、と心から思った。


 がんばれ、アキ!


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