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封魔伝説  作者: 棋星
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第2章 王都陥落


かつて世界を闇が覆いつくそうとした時代があった。



人はなすすべもなく破滅の一途を辿ろうとしていた。



しかし人は対なる力を手に入れ、それに対抗した。



それより幾千の時が流れ…



今となっては伝説に残るのみ…












「伝令です。」

「うん、教えてくれ。」

晴天。

もう、すべてが気持ちよく進みそうな青空が広がり、ほのかに吹く風が気持ちいい…はずだったが…

「現在王都は危機的状況にあります。王女ミレット様は無事に出港されましたが、我が軍は敗勢にあります。」

セルメン王国王子ルードは、表情の変わらないまま聞いていた。

「わかった、今すぐ戻ろう。父上、姉さん、無事でいてくれ…」

心の乱れが死につながる。

それが戦争である。

いくら劣勢でも、負け戦でも、心がまとまりあっていれば相手にとって脅威となる。

たとえどんなに心配でも、辛くても、心が乱れては軍の壊滅につながる。

必死にこらえる。

戦場でどれほど大きな悲しみが生まれようとも。

指揮官というのはそういうもの。

そう習ったのだ。

そして今までの実戦でわかったのだ。

早く父の元へ。

はやる気を抑え、1歩1歩王都へ戻る。

しかし…












「セルメン王、カウレッド…だな」

まるで闇の底から発しているような声で緑髪の男は言う。

「貴様の首、俺がもらう。」

「そう簡単に取れると思ったら間違いだ、アグリード将軍キラ。」



王城は完全に包囲されていた。

帝国八将のうち3人もがセルメンに出撃し、そのうちの一人キラの軍が包囲している。

絶体絶命…というより、壊滅状態である。

残ったのは王と近衛の兵が数人だけである。



「この殺気、この間合、剣王と呼ばれるいわれか。」

「ゆくぞ」

凄まじい勢いで王が飛び出す。

あまりに速く影すらも見えない。

「ぐっ」

金属音とともにキラが吹き飛び柱に激突する。

止まらない。

一瞬で間合をつめ、一気に切りかかるが、ぎりぎりというところでキラが飛びのく。

柱が真っ二つに切り裂かれている、異様な光景。

「さ、さすがだ、剣王。だが貴様は四度も我が槍に近づき…」

暗く笑い

「生気を吸われた」

「…」

「どうだ?命が短くなったのがわかるだろう」

カウレッドが膝を地面につく。

「剣王も俺にかなわない。この槍にかなわない。…とどめだ。」

剣王カウレッドの顔は最後まで勇ましかった。









ルード…

運命の子、ルード…

悲しいことなどない。

悩むことなどない。

進むのだ。

まっすぐ。

まっすぐ…



ほら、見えるだろう、あれが落神山だ。

―――らくしんざん?

そうだ。昔伝説で英雄達が戦った場所だ。

―――えいゆう?

ああ。お前もそうなりたいか?

―――うん。

そうか…そうだな…お前はきっと最高の英雄になれるぞ。



ルード…

運命の子、ルード…

そんなところで悩んでいていいのか?

お前は進む。

前へ。

前へ…

今見えない道も

もうすぐ見える。

立ち止まるな…

ルードよ!






「父上!」

突然の声に目を開ける。

「父上!ああ、父上…」

「ルードか…」

我が子の声だ。

「父上…」

言葉が…

「ルード…運命の子、ルード」

勝手に…

「父上、しっかり!!」

「自分の道を歩くのだ…たとえ、そこに闇が待ち受けようとも…」

「ち…」

「行くのだ。先へ。まっすぐ。未来、へ…」






そう、たとえその先に闇しかなくとも。

立ち止まってはいけない。

とめてはいけない。

未来はお前が切り開くのだ。

ルード……















光は闇を払う。


世の道理だ。


すべてはそこから始まる。


すべてはそれが原点である。


英雄は光で、悪が闇。


ならば今この世界は英雄に満ち溢れているのか?


英雄に…


光。


この光に満ちた世界が…


闇に


勝てるとでもいうのか?




投稿かなり遅れました。第2章 王都陥落。この物語の真髄である闇と光について触れてみました。まだまだ話の序盤ですがね。

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