決戦
とうとう最終回です、短いですが恐らくもう終わります
要求
「要求を伝える!」
地球防衛軍司令部にISS軍総指揮官新井の冷たく、よく通る声が響き渡った。
「これは地球連合政府に対する反逆である!今すぐ降伏せよ!」
長官も無駄と分かっていながらも対抗する。
「無駄足掻きはよせ、お前たち地球に戦う力がどれだけのこっている?もはや何も残ってはいない」
長官は悔しさのあまり倒れそうになった。
「私は、いや地球は最後まで戦い続ける!!」
新井は無関心そうに長官の言うことを聞き流していたが、この時口を開いた。
「要求は地球防衛軍の解散と地球連合政府の解体、この条件が飲めるようだったら次の条件を伝える、地球に不穏な動きがあるようだったらすぐさまISSの上陸部隊を市街地に送り込む」
司令部は静まり返った。
「ISSとの通信途絶えました」
「奴は要求を飲むたびにつけあがってくるだろう、しかし要求を飲まなければ無差別殺戮が起こる・・・」
長官は悩んだ挙句何の解決もできない判断を行った。
「・・・時間を・・稼ごう・・・我々にはそれしかできない・・・」
その時、月面基地との通信回路が開いた。
報道
その頃、町では新聞の号外が配られ、テレビは緊急特集が数多く組まれ、インターネットではデマが飛び交った(新聞やテレビもデマばっかだったが)。その内容と言ったら<宇宙人の侵略><地球の最後><この時は予言されていた!><宇宙人の脅威の技術力><銀河を牛耳る宇宙人、ついに地球上陸>
このようにデマばっかだった、デマがデマを呼び、そのデマがまたデマを呼ぶ、噂が噂を呼びその噂がまた噂を呼ぶ、まさにデマと噂の嵐だった、その嵐は地球市民を震え上がらせた。恐怖の嵐とデマの嵐が融合しさらに大きな嵐が起きる、その嵐が作る大きな雲が地球全体を覆っていた。
またどこから漏れ出したのか、それともただのデモなのか?敵による大量殺戮計画の情報は地球市民の耳に入った。
月の裏切り
月面司令部の大和長官は重要な決断をした。
「我々は一時的に地球連合政府から独立する!」
副官は驚いて尋ねた。
「今・・・なんと」
「我々は一時的に地球連合政府から独立する」
(なぜ?)副官はそう思わずにはいられなかった。
「敵は地球が要求を飲まない場合無差別殺戮を行うだろう・・・地球が反撃を開始した場合も同じだ」
「だから…」
「そうだ・・・現在火星宙域にいる第1艦隊と第2艦隊所属になる予定だった第2艦隊航空隊を動員する」
「しかし・・・勝算は?」
「君は戦わずに負けるのか?」
副官は気付いた(司令はこの戦いで戦死しようとしておられる・・・)
「分かりました、まずは何をいたしましょう」
「地球防衛軍司令部と通信する」
副官は通信回路を開いた。
「月面司令部の大和だ、月面司令部は現在から地球防衛軍から独立を宣言する!以上」
その時、宇宙遊泳者を保護したとの連絡が入った、まさかその宇宙遊泳者こそが戦いの命運を握っているとは流石の大和も気付かなかった。
「第2艦隊航空隊は発進用意、第1艦隊は直ちにISSを攻撃せよ!全月面陸軍は対空迎撃戦闘用意」
月面基地は最後の戦いに向け準備を始めた。
高橋の怒り
高橋は新井に疑問を覚えた、「秩序を地球に与える」と言っていたが今新井がやっていることは地球に恐怖を与えているだけだ、そして地球との通信の時高橋の怒りは最高潮に達した(無差別殺戮だと、話が違う)高橋は新井が通信に夢中なうちに船外監視システムの電源を切り宇宙服を着ると船外に飛び出した。
(どのくらい彷徨っただろう、あれ?)僕はふかふかなベットに寝ていた、ここは。考える暇もなく事務的な質問が飛んできた、
「なぜ宇宙を彷徨っていたんですか?」
「僕はISSにいた」
「ISS?!」
僕を調べていた男は立ち去った、その後に来た男には見覚えがあった。
「大和指令!」
「高橋君じゃないかいったいどうしたんだ」
「ISSに居ました、新井船長に説得され、しかし新井のやっていることは間違っていると思ったんです、それで怖くなって・・・」
「そうか、ISSにいたならISS軍の弱点を知っているんじゃないかね?」
高橋はまさにISS軍の弱点を知っている
「ISS軍の兵士はISS本体からエネルギー補給を受けています、なのでエネルギー送信機には常に大量のエネルギーが集中しています、なのでエネルギー送信機を爆破すればISSごと吹っ飛びます同時に兵士もエネルギーが切れ使い物にならなくなります」
まさに目から鱗だった
「ならば艦載機で・・・」
「ダメです、ISSには高度な防御システムをもっています、だから」
「だから?」
「私に行かせてください」
「何?!?!?」
「艦載機でISSの近くまで行きそこで艦載機から離脱します、そこからは手作業で直接送信機を爆破します」
「任せよう」
「ありがとうございます」
決戦
高橋の乗った戦闘機は多数の護衛に囲まれて発進した、ISSに近ずくと猛烈な対空射撃が襲ってきた、護衛が何機もやられた、それらに紛れて高橋は戦闘機から離脱した。
目が覚めて高橋の数メートル先に送信機があることに気付いた、高橋は痛みを堪えながら這って行った、送信機はとても熱かった、高橋は小型の爆弾を取り付けた、(よし、離脱だ!)離脱と同時に送信機は爆発したISSは木端微塵になった、高橋も吹き飛ばされた。
「高橋を収容しろ、」
大和長官の命令が飛んだ。
「探知不能、生命探知機が熱でやられました」
「目視でもなんでもとにかく探せ~!」
大和は必死だった
「地球を救った英雄を殺すか~!」
しかし高橋は見当たらなかった、地球は救われた、高橋はどんな気分で死んでいったのだろう読者にも考えていただきたい。 作者・大和昇介より
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