表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/31

14.魔王様、人間界へ

今回から魔王視点になります!

ミニアちゃんをよろしくね。

 書き置きを残した私は、とりあえず魔力を最小限に抑え、人間界に降り立った。初!人間界である。 


 まずは人が多く集まる場所、と思い浮かべ移動した先は、グランダール大帝国の帝都だった。人間界で一番大きな都市だからだろう、移動のために粒子レベルまで細かくなった体は帝都を見下ろし、引き寄せられた。


 特に人が集まっている帝都の中心に向かい、粒子の状態から人型へと戻る。こっそりとそこに降りたとたん、真っ先に華やかな音楽が私を迎えた。


 さすが大帝国の帝都らしく、そこここで異国の者らしい肌色の違う人間達が行き交うのが見える。街に活気があるところを見ると、勇者が魔王に倒されたことはどうやらまだ伝わっていないようだ。


 帝都の真ん中にある巨大な噴水は涼しげに水を噴き上げ、その脇では音楽隊が、市場からのざわめく声と張り合うように演奏している。噴水から続くレンガ敷きの大通りの両脇には市場が軒を連ね、色とりどりの青果や品物は見ているだけで楽しげだった。


 ここでは金色の髪に薄い青の眼の人間が多いらしく、一目で魔族と分かる黒目黒髪な見た目の私はたぶん浮いている。深く被っていたフードの奥で眼と髪の色を変え、やっとフードを取り払った。視界も良好になった、これで良い!

 

 そういえば以前、魔界から何度か人間界を覗き見ようとしたことがあるがことごとく失敗に終わった。界の境目に何かの法則が働いているのか、特定の人間の位置や動きは伝わってくるが、周りの場景はさっぱりだった。意味がわからん。そのため今目に入るもののほとんどが用途すら分からなく、その分好奇心がおおいに刺激された。


 手始めに、とまず市場の方を見て回ることにした。

 市場は店がごちゃ混ぜなため、常にいい匂いがそこかしこから漂っている。まあ、私は魔族なので人間の食べ物をおいしそう、なんて思わないんだけど。でも間違いなくいい匂いだ。


 まあ物珍しいし見ていて飽きないが、私と至近距離の状態で怒鳴らないでほしい。商人に安くしろとがなる男に思わず顔をしかめた。つ、唾が…………潰してやろうか。


 あらごめんなさいとさっくりやる前に移動をして数分、人酔いを初めて経験しました…やっぱり魔力とかが関係しているのかな?とりあえずこの人ごみから離れようと市場の端を目指す。


 奇妙な匂いの葉っぱやどろどろとした何かを地べたに広げているいくつかの店の脇を通りすぎた時、私とすれ違う者に違和感を感じた。


 そういえば、あっちでは私に近づく者は忠誠を誓ってひれ伏すか、刃向かってきてウェントに斬り殺されるかのどっちかだった。私の傍を、私を無視して通り過ぎていく者などまず居なかったからなあ。慣れなければ、これからやっていけない。がんばろう。


 自分に活を入れつつ人間界のやわらかな土を踏みしめて歩く。魔界とは違うやたら不気味な青い空が改めて人間界だ。思わず顔が綻んでくる。

 私は、ここが人間たちの国というだけで、けっこうな開放感を感じていた。




「……ん?」


 ふと我に返ると、周りには誰も居なくなっていた。


 いつの間にか私は、狭い路地に居た。どうやら無意識に人の気配の無い方向へと向かっていたらしい。ちなみに今の時刻は真昼、それなのに辺りは薄暗くじめついている。仰ぎ見ると納得、両側の屋根がせり出して日の光を遮っていた。


 ここはどこだろう………面倒だけど、とりあえず現在地を割り出そう。大した計画も無く飛び出したせいで寝るところすら決めてはいなかったが、さっきの噴水まで戻ったらどうにかなるだろう、とアバウトに考え、魔力を引き出しかけたとき。


「おい、そこで何してるんだ」


 後ろから声を掛けられ、振り返る。低く響く男の声、そこには、やたらいい体格をした大男が立っていた。

亀更新しかできないなんて……(悲)

でも話は続くよ!がんばるよ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ